表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/134

4-10

少し短い目です。

 敵を退けた俺たちは、焼死体の処理をして休む事にした。

 首は約3日前に捕虜に運ばせたが、流石に味方の顔から鼻と耳を削らせるのはやり過ぎたのか、かなり呆けていた。

 できれば彼らにはもっと怯えてもらい、敵兵に恐怖を与えて欲しかったが、あの様子から見るに難しそうだな。


「さて、火薬はどれくらい備蓄できている?」


 俺の隣で今回の戦果である物資の分配分を、計算していたコーナーに話を振ると、彼は顔も挙げずに一つの板を手渡してきた。

 相変わらず木の板というのは、不便極まりないが、紙が高いし、作り方を知らないので、どうしようにもならない。


 そんなくだらない事を考えながら、木の板に書かれている数字を見ると、意外な数が書かれていた。


「火縄銃:1030丁、火薬、弾:10000発分」


「え? コーナーたったこれだけか?」


 俺が質問すると彼は、空いてる手で丸を作ってきた。

 こんなもの、戦争一回で一気に消えてしまうぞ。

 やはり硝石の生産量が足りないのだろうか?

 一応でき上がった硝石丘が、今後も生産を続けてくれるだろうが……。


 やはり火縄銃は最後の奥の手にしてしまうのが一番だろう。


「……防衛の主体はやはり弓と槍か。しかし、どうやって守るべきか」


 約1丁につき10発、となると敵をできる限り引き付けて、一気にズドンと撃つのが一番か……。

 いや、いっその事最初からぶっ放して敵が退くようにするか?

 ……それは下策か。

 敵を殲滅しない事にはこの戦い、勝利は無いからな。

 どうしても敵を、一気に殲滅しなければならない。


「やはり敵が攻めるポイントを絞らせ……いや、どうやってそれをする? 敵を引きつけて……となると、どこをポイントにするか……」


 それから俺は、1人地図と睨めっこをしながら敵を誘引するポイントを探した。




 それから2日後、敵の第二軍が攻めて来た。

 ざっと見渡した感じ、恐らく5千程度だろうか?

 いや、もう少し多い感じがするな。

 

「敵は約7千といった所ですね」


 後ろから声が聞こえてきたので、振り返るとそこにはライズが居た。

 おぉ、誰かと思ったらライズか久しぶりに見たな。

 まぁ、彼に森で食料を確保する事や、敗残兵を始末したり、捕虜にする事を命令したのは俺だけど。


「敵兵は7千か、またかなり差が開いたな……」


 しかも前回の様にどうやら、ニュールンベルクの元兵士を連れているわけでは無さそうだ。

 パッと見た感じだが、装備の違う兵が見えないという、根拠の薄い理由だけど。


「さてはて、敵将はどんな奴かな? 猪突猛進タイプならあの立て看板で怒りに任せて攻めてくるだろうし、慎重派なら派手な動きはしてこないだろう。ただ、今回一番嫌なのは、冷静な奴だよな……。あれを冷静に分析して来られると、俺としては恥ずかしい」


「いや、流石にそれは恥ずかしがるところでは無いのでは?」


 ん? 誰かと思ったら爺さんか。


「まぁ、軽口くらい叩いておかないと、俺が震えだしてしまいそうですからね。ワルターはどうしたんですか?」


「ついさっきまで、『復讐戦だ』と息巻いておりましたので、暴走しないように『ツッコミ』を入れておきました」


 うん、この爺さんの『ツッコミ』はまず間違いなく延髄切りだな。

 あいつがおめでたい頭になったの、案外この爺さんのせいかもしれんな。


「で、軽口を叩かれながら、何か策はあるのですかな?」


「策と言う程でも無いが、引き付けて火縄銃でズドンしかありませんね。真ん中は恐らく逃亡兵から聞いているでしょうから、無理に攻めてきませんよ」


「なるほど、確かに現状では堀からになりますな、しかし範囲が広いのでは? 火力の集中もしにくいでしょう」


「えぇ、まぁその辺はしっかりと対策を練りましたので大丈夫ですよ。今回は子ども達にも戦ってもらわなければならないので、正直嫌ですけど……」


 そう、今回の作戦では、子ども達がかなり重要な役割を持っている。

 彼らには、躊躇うことなくやってもらわねばならない。

 まぁ、そう言っている自分が既に躊躇っているのだけど。


 しかし、なんだろうな。

 戦いの後には自己嫌悪しかないのに、この戦う前の気持ちの高揚は……。

 ハンニバルにでも当てられたかな?




帝国軍 第二軍 ベルナンド・ヴィ・ジョルジェ


 さて、敵の砦が硬いとは聞いていたが……。

 なんだ、これは!?


 砦の周りは地面を掘り、兵の勢いを殺し、さらにその中に逆茂木や杭が建ち並び、行く手を阻んでいるし、上からはこちらを安全に狙えるように塀まで作られているじゃないか。


 正面は正面で、いかにも罠ですと言わんばかりの橋と落とし門、そして恐らく敵が狙いを定められる様にあの土塁がずっと両側に続いているのだろう。

 

 ……いやいやいや、無理だぞ、この砦かなりの要塞じゃないか!?

 どうやって攻める?

 

 敵軍の情報は……。

 …………。


「なるほど、それしかないな」


 私は敵軍の情報で得ている物を参考に攻め手を考え、各指揮官級に作戦を通達した。



 翌日、敵の砦に向けて進軍を開始した。

 できる限り早くここを攻略しないと、ハイデルベルク軍を挟撃するという計画が破綻してしまう。


 砦に対して兵達が、両側に広がって攻めかかっている。

 数の上ではこちらが多いのだから、何も1点突破を狙って狭くいく必要など無い。

 ただ、両側から行くとなると、アップダウンが激しすぎる関係で、例の石の盾を持って動けないのが、懸念事項ではあるが……。


 まぁ、敵にそこまで魔術師が大量にいる可能性は低い、と考えて賭けに出たが、どうなるやら……。


連日更新できました。

さぁ、次回かなり濃い戦争になります。


今後もご後援よろしくお願いします。m(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ