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幕間「アンドレアの一日」

すみません、本編考えていたら書けてなかったので、以前書いた幕間をアップします。

 さて、私が過労なのではないかと言われているという話をお聞きしたので、どんな風に村で過ごしているのか、皆さんにお伝えしようと思う。


 月の日、1週間の始まりである。

 朝から学校へ行き、小学校で午前中は読み書きの授業と魔法の授業を行う。

 もちろん彼らの中でも特に素養のある子達は、重点的に居残りという名の特訓を課している。


「先生! 火が出ました!」


 子どもの一人がとても嬉しそうな顔をして指の先から小さな火を出している。

 この子は、1週間前に流民の中から見つけ出した子なのだが、とても呑み込みが早く、普通1ヶ月かかる事象干渉の魔術を習得しつつある。

 もちろん他の子の呑み込みが悪い訳では無い。

 なにせ、最初の方に教えていた子達は、軽く両手から西瓜ほどの大きさのファイヤーボールやウォーターボールを出してお湯を作って遊んでいるのだ。

 

「先生! またマリーおねえちゃんが覗きに来てるよ」


 一番最年少――約8歳――のフラムが指さした先には、読み書きの勉強を外でしようとしているマリー嬢が居た。

 彼女には度々中に入って一緒にしてはどうかと言っているのだが、「この歳で子ども達と一緒は恥ずかしい」と断り続けながら、外で勉強しているのだ。


 その姿をみて、ロイドさんが「生兵法にならなきゃ良いけど」と言っていた。

 生描法とはどんな描き方なのだろう? 今度しっかりと聞いて見なければならない。


 と、そんな事を考えていると、マリー嬢が見つかった事に気づいたのか、そそくさと自分の家に帰ってしまっていた。


「また、今度みんなと一緒にどうかと勧めてみますか……」


 そんな感じで午前中の指導が終わると、待っているのは次の仕事です。

 最近は「石垣」なる物を作り始めたので、そこの監督役を任されています。

 監督役とはいっても、実際に指示を飛ばしているのは、私ではなくマルコさんですけどね。

 

 まぁ彼の方が土木作業や建設作業の指示が上手いので、任せるに限る。

 その間私が何をしているかと言うと、作業員にけが人が出た時の信号役である。

 水を打ち上げれば、打撲などの軽症、雷を打ち上げれば、医者のいる大怪我、火を打ち上げれば大事故という事になっている。


 これは、街の監視員の方で確認されるとすぐに医者を用意、もしくは派遣してくれる手はずになっている。

 幸いなことにこれまで火を打ち上げる様な大事故は起こっていないものの、足の骨を折ったりする大怪我はよくある。


 彼らの監督役が無い時は、午後は比較的ゆっくりと村長観察をして過ごすのが、私の日課となっている。

 もちろん彼は、嫌がっているが気にしない。

 魔術の発展には犠牲がつきものなのだ。


 最近は、石垣の土台作りなんかを私の手でさせてもらった。

 山の形を変えたり、利用したりして城を作るというこれまでの城づくりからしたらハッキリ言って常識外れな作り方になる。


 理由としては色々あるが、一番の理由は山の近くは森が多いからだ。

 森は魔物の巣と考えられていて、基本的に近づかないし、近づきたく無いものとされている。

 そこをあえて開墾し、田畑を広げ、山の形を変えて城を建てるというのだ。

 常軌を逸しているといわれてもしかたがない。

 

 ちなみに石垣は、村長曰く「打ち込み接ぎの乱積み」だそうだ。

 本人としては、「野面積み」とか言うのがしたかったそうだが、アノウシュウがどうとかこうとか言っていた。

 アノウ臭とは何かの臭いなのだろうか?


 打ち込み接ぎは、村長の話では切り出した石を、隙間を空けて積み上げるそうだ。

 これに乱積み――大きさの違う石を交互に重ねる方法――を重ねる事で、より崩れにくく、排水性を高めるのだそうだ。

 なぜ防御施設に排水性が要るのかは分からないが、あまり見ない方法なので、とても面白そうだ。


 そんなこんなで、私の1日は日没間際に終わる。


 もちろん食事の用意などできないのだが、そこはかつて村だった頃からの付き合いもあり、ご近所の方から食事に誘われる。

 というか、食事を作らなさそうだと、心配されてあちこちご招待して頂いている。

 本当にありがたいことであり、助かっている事でもある。


「あ、今日は先生が来る日だったんだ! ほら先生見て! 光も出せるようになったんだよ!」


「な、なんと!? 光を出せるようになったと!?」


 子供とは時として予想外の事をしてくる。

 光を出す魔術は、未だに開発されていない魔術の1つなのだが、生活改善のためにこの子は、1つの魔術を作り出してしまったのだ。

 

「フラム! その魔術どうやってやったのか先生にも教えてくれ!」


「うん! 良いよ! えっとね、雷を出す時にね……」


 フラムは必死になって説明してくれるのだが、子どもの理論なので、正直理解が出来なかった。

 まさか新魔術を開発する子どもに出会えるとは思わなかった。

 私はその後、フラムの家族と共に楽しい食事をいただいてから帰った。


 うぬぬぬ……フラムにできて私にできないのは悔しい。

 今夜は徹夜で光魔術の理論を考えて、できるようにならねば。


こうして私の一日は過ぎていく。


野面積みは通称穴太積みとも呼ばれる特殊な積み方です。

あれは、穴太衆あっての物なので、今回は一般的な石工でもできる打ち込み接ぎの乱積みにしました。

防御力や耐震性では特に問題は無いので、こちらを使わせて頂きました。


石垣は拙作の執筆開始前からかなり悩んでいた部分です。

だって、穴太衆がチート過ぎるんですもんorz

あんな技術者集団滅多にいないので、野面積みは諦めました。


次回は、本編を書けるようにしたいと思いますので、よろしくお付き合いください。


では、今後もご後援よろしくお願いします。m(__)m

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