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2‐8

やっと章のタイトルに追いついてきました。

 ビッグボスの毛皮というなの臨時収入が手に入り、村の予算は現在金13枚、銀400枚、銅多数という状況だ。

 銅多数というのは、ここ最近の取引増加と移住者の衣食住に税を少しずつ取り始めた事でとてもじゃないが数え切れないほどの量になってきてしまったのだ。

 それもここの村では数を数えたり計算ができる人間が少なすぎるのだ。

 ゴードンは現在農作業と測量の受付で手一杯だし、アンドレアは小学校の教員と裏の森を探索している。

 その為、村で計算ができるのは、俺だけになったのだ。

 そんな事をぶつくさ呟きながら考えていると、俺の周囲を飛び回る男が居た。


「村長、村長。計算できる男ならここにも居ますよ? 私読み書き計算に内政までできる官僚にうってつけの人材ですよ?」


 最近俺の事情をどこかで嗅ぎ付けたのか、これがコーナーの最近のうたい文句だ。


「ん~……」


「ほらほら、お金の管理だってできますよ? なんなら出入りの時に身体検査しても大丈夫ですよ? どうですか? ねぇ?」


「……はぁ、仕方ないか」


 俺はコーナーの提案を受け入れる事にした。

 一応彼については村人全員が見張っているが、今のところおかしな所もなく、むしろ運動音痴過ぎて心配されている。

 なにせ、訓練兵選抜試験の時には屋根に登ったは良いが降りられなくなって子猫の様に慌てふためいていたのだ。


「まぁ一応おかしな行動も何も無いようだから、金庫番に昇格してもらおうかな」


「やったー! ありがとうございます!」


 俺の一言にこれ以上ない位の笑顔で飛び跳ねながらお礼を言ってきた。

 まぁ実際金勘定まで俺がやっていたらそろそろ倒れかねない状況に差し掛かってきたので、少しでも彼にしてもらう事にした。


「では、明日から頼んだぞ」


 そう言って別れると、彼はスキップをしながら自分の家に向かって行くのだった。



 そんな事があってから、コーナーは俺の家の地下室に籠り毎日書類整理と帳簿付けを行っていた。

 彼自身かなり要領が良いのか、俺がやっていた頃よりも遥かに速いスピードで仕事を片付けていた。

 どれくらい早いのかと言うと、もうウサギとカメくらいの差がある。

 しかもそれだけではなく、街の開発計画にも提言を持ってくるくらいで、特に目を見張ったのが、利水に関する報告だ。


「この村の水源はアンドレアさんを頼りにし過ぎています。このままでは、アンドレアさんに何かあった場合水不足になる事は確実です。この周辺にもう一本、川があるのは分かっているので、そこから水を引いてきませんか?」


「川がもう一本あるのか? 村の西側にある谷川だけだと思っていたのだが、どこにあるんだ?」


「川はここから東に1キロほど離れた所にあります。アンドレアさんを裏の森の探索をさせるくらいならこの川までの1キロを掘ってもらって堀に水を流しましょう」


 なるほど、川が1キロ先にあるのならそれを利用するのも手か、ただやはり問題になるのは、川までの1キロが森の中を通るという事だ。

 この世界では、森=魔物の巣と考えられるので、あまり楽な道のりではない。

 だが、この支流を作る土木工事が成功すれば、川幅次第だが、村の水問題は一気に解決するはずだ。


「コーナー、川の水量はどれくらいある?」


「近くを流れているライン川は川幅もあり、水量も豊富です。まぁ先日の旱魃では流石に干上がっていましたが、アスピア山の方でかなり雨が降ったのか今は回復しています。それに、元々あの川は暴れ川で有名で干上がったのを信じる人が少なかったくらいです。ですので、今なら支流を作ったくらいでは、他からうるさく言われる事もありません」


「他からうるさく言われるとは?」


 俺が不思議そうに聞き返すと、コーナーは頭を抱えて大きなため息を吐いてきた。


「まさか自覚が無いんですか? すでにドレストン男爵家に喧嘩を売ったじゃないですか。そこに利水まで勝手にしたのがバレたらそれこそ紛争では済みませんよ。戦争になりますよ。戦争に!」


 なるほど、コーナーの言っている意味がやっと分かった。

 昔の貴族等は隣接する領土同士の場合よく利水権や採掘権などで揉めたりするのだ。

 特に敵対関係にある派閥などと隣り合った場合は紛争を起こし、敵国相手なら最悪戦争の引き金になってしまう。


「利水の件は分かった。アンドレアには裏の森の探索を一時中断して支流作りに参加する様に言っておく。労働者に対しても開墾作業を少し遅らせながらさせた方が良いな」


「えぇ、それでよろしいかと思います。後は堀に流した水を分けるための水路をしっかりと確保しましょう」


 ここまで提案してきたと言う事は、コーナーにはある程度の道筋が見えているのだろう。

 ここは彼に託しても良いのではないかと考えた俺は、提案する事にした。


「なぁ、このままお前が利水事業をやってみるか? 俺はどうやってやるのか見ているだけにしようかと思うのだが」


「え? それはその、嬉しいのですが……」


 俺の提案にコーナーは今一乗り気では無さそうな表情をしていた。

 今までの彼の言動から考えると、すぐにでも食いつくと思っていたのだが、何をためらっているのだろう?


「どうした? いつものお前らしくないな、なんで乗り気じゃないんだ?」


 俺の質問にコーナーは少し考える素振りをしたかと思うと、ため息を吐いて話し始めた。


「……実は、森に入るのが怖いのです。先日あんな目にあって、いつ化け物猿に食われるかという状況でしたので、自ら森に入るのはちょっと躊躇いがありまして……」


 あぁ、なるほど、確かに猿を相手にどうにか生還したという感じだし、兵の中には未だに怪我から回復できてない者も居る。

 幸いなことに猿が遊んでいる間にどうにか倒せたが、本気で来られていたら恐らく俺たちは全滅していただろう。

 

「まぁ、そこは恥ずべき所ではないし、仕方が無いな。誰か土木作業のできる奴に計画書を渡して森で仕事をしてもらおう。街中の配水予定図はできているのか?」


「え? えぇここにありますが……」


「ならお前が街中の配水を差配しろ。堀の設計とかも考えながら無理の無い様に計画してくれ」


 俺のその一言に一瞬怪訝な表情をしたコーナーはすぐに嬉しそうに「はい!」と返事をしてきた。

 こうして、村の水不足解消に一定の目処がたってきた。


今後のコーナーの活躍にご期待くださいァィ(。・Д・)ゞ


今後もご後援よろしくお願いします。

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