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魔都に漂う者 黒衣と決着


 突然現れた漆黒の人物に唖然とするショパンと黒衣達、更に次の動作に驚愕する、あまりにも敵意が無い動作で黒衣達の前に数歩踏み出してくる、そこでようやく黒衣達は我に返ったように前後左右隙間無くから各々の武器を振りかざす。


「!?」


 漆黒を斬ったと思った次の瞬間手応えを感じながらあり得ない事を目にする、漆黒を斬ったはずの黒衣達は前後左右で味方の武器が自分を貫いていた。


 ショパンには息を飲んだ目の前で何が起きたのか分からなかった、黒衣達が漆黒に斬りかかって行く時に漆黒は目の前の黒衣をすり抜けたが如く前に歩くと黒衣達は自滅していた、漆黒は未だに背中に背負った長剣を抜かずに黒衣達を無力化した事に戦慄を感じた、今の自分で目の前にいる漆黒と対峙出来るか分からなかった、もしかしたら触れることすらかなわずに終わる可能性に背中から冷たい汗が流れるのが分かった。


 漆黒がこちらに振り返る、反射的にショパンは武器を構えて距離を取ったが漆黒はこちらの意に介さず無防備に歩み寄ってくる、ショパンの間合いぎりぎりで立ち止まると馬車を指差して聞こえるか聞こえないぐらいの声で言う。


「い・・け」


 漆黒に敵意が無いと思いショパンは剣をしまいマリア達の方に歩み出そうとしてから、漆黒の名前を尋ねようと振り返ると漆黒は姿を消していた、周囲を見渡したが影や形すら見えなくなっていた、漆黒は気になるが一刻も早くこの場から移動しなければと思い直しマリア達に歩み寄る。


「ご無事ですかマリア様」


「はい、ソフィアとキティも無事です」


 マリア達を守っている結界を解くとマリアに渡した玉はひびが入って砕け風に舞う、ショパンは三人を馬車に誘導して周囲を警戒しながら三人を乗せ扉を閉めようとする時にマリアが話しかけてきた。


「ショパン様、先ほど助けてくださいました方はどなたなかご存じなのですか?」


「いえ私は存知あげません、魔族の中にあれほど力量を持っているならば国に取り上げられていても不思議では無いのですが」


「そう・・ですか、もう一度お会い出来ればお礼と思いましたのですが」


「姫様、かの御仁は人族特有の匂いがしましたので、もしかしましたら旅の方では無いでしょうか?」


「本当ですかキティさん」


「はい、ですので本国に戻られました誰か知っているかもしてません、ひとまずは無事に帰ることを優先しましょう」


「そうですね、どうにかトワ様と護衛の方々と合流出来ればいいのですが」


「今夜は私の邸でお過ごしください、朝になりましたら魔王様に謁見して今回の事を報告して参ります、そうすれば魔王様がお力添えしてもらえるはずです」


「よろしくお取り計らいくださいショパン様」


「はい、では移動いたします」


 ショパンは扉を閉めて御者の席に座り馬車を走らせる、林の中から漆黒がそれを見届けると踵を帰す様に魔都に向かい始めた。



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