魔都に漂う者 14 魔王
魔都の外壁の門から内壁の通用門を通る度に検問があったが、ようやく城門の前に着いた、護衛の一部は闇の巨人シンパの調査の為にここで別れる、城門の衛兵に護衛が手続きをして通行の許可が降りる、城の前に馬車を止めて降りる、馬車から降りるマリアをエスコートして手を差し向ける。
戸惑いながら手を取り馬車から降りてくる、馬車に戻ってソフィアを抱えてもう一度降り城の中に歩みを進めると大扉に執事やメイドがズラリと並んでいた。
「ようこそ御出で下さりました、魔王様がお待ちになっております、どうぞこちらへ」
執事の案内で城内に入ると、城内は不思議な光で輝いていた。
デバイスで城内を調べると城内は入り組んだ構造になっていて、戦を主体に考えられた構造にになっている、差詰め|GimmickCastle(仕掛けだらけの城)だな、執事は入って正面の大扉を開くとこちらに対面して言う。
「どうぞ、こちらが王の間です」
正面の開いた扉の向こう側で玉座に座って待っている人物が見えた、あれが魔王なのか遠目で見ても威圧感を感じる。
トワ以外で、他にもう一人の護衛がマリアの先を歩き、玉座の数歩前で跪くのに習いトワも跪くマリアは一歩出てお辞儀する。
「御初に御目に掛かります、私は人族アーイル王国第1王女マリア・ラン・アーイルです、この度は魔都ヒビクにお招き頂きありがとうございます」
「うむ、よくぞ参られた、この間は王国での騒動が有ったが為に正式に対面するのは初めてになるか、我が都も王国に負けないと自負しておる、滞在の間は不便な事が有ったら遠慮う無く言って構わぬ」
「お気遣いありがとうございますシューベルト陛下」
馬車の中で現魔王の事を聞いていた、玉座に座っているシューベルト・フォン・ヒビクと名で、歴代の魔王の中でも賢王として有名であると、魔王とは襲名制でシューベルトが名前でフォンが家名になり、魔王のヒビクが最後に付くので、フォン家のシューベルトが魔王になり、シューベルト・フォン・ヒビクとなると言う、魔王シューベルトは御年70代後半と聞いたが、髪こそ白髪混じりだが、頭部から生えた2本の角が雄々しく、40代後半から50代前半に見えるほど若々しく生気に満ち溢れた顔付きをしていた。
「マリア王女、ひとつ訪ねても構わんか?」
「なんなりと」
「そっちの少女を抱えている外套を着ている人物は何者だ?」
「こちらは今回、私の護衛をしてくださっているトワ様です、トワ様は私の家族の命の恩人で客人として王国に滞在しておりましたが、トワ様の力量を見込んで祖父が護衛を依頼して今回の旅に同行して頂いています」
「ほーお、あの老耄が認めたならかなりの実力か老耄が盲目したかのどちらかだな、マリア王女よ」
「はい」
「あの老耄に死ぬ前に酒でも飲みに来るように伝えて措いてくれ」
「はい」
「して、トワと申したか?、外套のフードを降ろして表を上げよ」
トワはフードを降ろすと、列席していた臣下が騒ぎだす。
「王の御前であるぞ、何だその仮面はふざけておるのか!?」
トワは|表情の無い真っ新な仮面を付けていた。
「僭越ながら申させて貰います、自分が仮面を付けているのは不快な思いをしないようにと配慮した為です」
「ふん、そう言って外さなくて良いと思うなよ、陛下の御前では顔を見せるべきだ、だから・・・」
魔王シューベルトが手を挙げて臣下を静める。
「トワよ、臣下が失礼したが、臣下が言うこともあながち間違えてもあるまい、ここは仮面を外して事を納めて貰いたい」
「陛下が申されるのであれば、その前にマリア王女様とソフィは御目を瞑って頂きたいです」
「了解しましたですマスター」
「はい」
マリアとソフィアが目を瞑るのを確認して仮面を外すと、王の間に列席していた臣下達が顔を顰めたり、顔色が悪くなったりした、魔王シューベルトが手を挙げてもう良いと合図をしてトワは仮面を付けマリアとソフィアに声を掛ける。
「確かに仮面を付けているのは理由があったな、無理を言って済まなかった、臣下の非礼を詫びよう」
トワの顔は焼け爛れ口は裂けていたが、これはデバイスから投写された映像である、デバイスからの信号を耳飾りに受信することにより肩までの髪を含めた色、顔付きまで変更できるのである、魔王シューベルトはトワに対し謝罪をすると臣下が止める。
「必要な謝罪を出来ない者は上に立つべきでは無いと知れ」
魔王シューベルトは臣下達を嗜める。
「済まないな、長旅で疲れているであろう部屋を用意させたので疲れを癒すがよい」
魔王シューベルトが手を挙げると、執事が入室してマリア達を誘導する。




