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英雄譚誕後日譚

それは何処までもありふれた物語。


曰く王様、「100年前、魔王が倒されて以来姿を消していた魔物が再来したり」。


曰く王様、「何処ぞに我こそはかの偉大なる勇者にも劣らぬという戦士はおらぬものか」。


曰く王様、「嗚呼、そなたこそ現代の勇者としてふさわしい」!



俗に言う「魔王」、そしてそれに立ち向かい世界に光を取り戻したという「偉大なる勇者」。この二者の戦いの伝承を知らない者はまずいないだろう。吟遊詩人が初めに習う物語は「星降る夜の最終決戦の章」であるし、悪徳商人はなにかと「勇者の」を接頭語にしたがるし。世界はすっかり<平和>なる概念を欲しいがままにしていた。


しかしその間、わずか100年。

再び脅威が訪れた。


各地に突如現れた黒い影のような魔物が人々を襲い出したのだ。襲われた人々はその場で干からびたような姿になり、忽ちに命を落とすという。世界は暗雲のような不安に包まれた。そんな世界を案じた大国の王は、とある青年に脅威の根幹を探る「勇者」の役割を託す。


それが俺である。


黒々とした森には霧が立ち込めている。どうにも視界が悪い。踏みしめる地面は腐っているようで、革製の靴の縫い目から厭な湿り気が伝わってくる。常に何処かで何かが蠢いている気配がして落ち着かない。

遥かなる旅の果て、大国の城から遥か北、勇者として旅をした俺が突き止めた最終地であった。

"一度立ち入ってしまえば二度と出ることは叶わない。

そこでは全てが狂っている。"

そんな伝承のある、不可思議な森。どうにも件の影はこの森を母胎として出現するらしい。事実、この森に立ち入って以来、影との遭遇率は格段に増した。長旅で磨かれた剣術を持ってすればそれらは大した敵ではないのだが、どうにも参ったのは、行けども行けども、全ての災厄の元凶らしき何かに行き当たらないことである。もうどれくらい歩いているのかもわからない。

「参ったな」

つい吐いた独り言は、静かにざわついた大気に消える。何とかして突破口を開けないものかと、顎に手を当てたちょうどそのときだった。

「誰かいるのか?」

濃い、真白な霧の向こうから凛とした声が響く。俺は咄嗟に腰にさした剣の柄に手をかける。まるで掌が溶けてその金属と一つになるような、そんな馴染んだ感覚。

「待て。この状況で警戒するなというのも無理な話だが、俺は怪しいもんじゃない。」

ザ、ザ、と声の主が近づいてくる足音がする。全身の毛が逆立っているのではないかと思うほどの緊張感で武装して、彼が姿を見せるのを待つ。


「よお。どちらさんだ?」


濃い霧の中から姿を現したのは、若い男だった。うっかり拍子抜けするような軽い調子で、右手をあげている。

「は、」

その姿が霧から完全に晒されるほどの距離に来て、俺は言葉を失った。

「こんな所に迷い込むとは、お前も運がねえな。」

そう言って声の主はからからと笑った。快活そうな笑顔だった。俺はまじまじとその姿を見て、胸元に幻影破りのペンダントをつけていることを確認して、そして最後に深呼吸をしてようやく言葉を絞り出す。

「あんた、貴方、かの偉大なる勇者様じゃないか!?」



老若男女誰しもが知る「偉大なる勇者と魔王の戦い」。

「星降る夜の最終決戦」における勇者の勝利、それで終わるかに思われる物語には、続きがある。いや、"続きがない"という続きが、ある。

"戦いを終え世界に平和をもたらした勇者は、その後賞賛を浴びることもせずにぱったり姿を消してしまった"のだ。

人々は数々の説を声高に唱えつつも、消えてしまった勇者、その人の姿を忘れることのないように各地に勇者像を建てた。教会や城、街の広場、果ては金持ちの家の守護神。これによって彼にまつわる物語だけでなく、その姿も人々にとって馴染みのあるものになっていた。

全身を黒いローブのような衣服で覆い、淡い金だったという髪は肩ほどの長さ。両耳には小さなピアス。そして右手に、長い杖を持っている。


そしてそっくりそのままの姿が。今、俺の目の前にある。倒木の上、俺の隣に腰掛けて、笑っている。


「つまり、なんだ?お前は俺のあとの所謂『勇者』ってやつで、ここまで影出現の原因を探しに来たってことか?」

混乱の最中、俺はとりあえず自分が現行勇者であることと、世界を脅かす影の話を彼に語った。

「そうだ。旅をして、旅では...えー、あー、なんと説明したらいいか。始まりから話せば随分長くなってしまう」

少しばかり混乱は落ち着いてきてはいるものの、旅路は長い。訪れた場所も出会った人も聞いた話も、あまりに多い。俺が口ごもって唸ると、先代勇者は薄く笑った。

「ああ、いい、たかだかここ数年くらいのことなんだろ。直接見せてもらったほうが早いから」

直接見る?尋ねようとしたところで、彼の右手が動いた。そこに握られているのは長い樫の杖。捻れた先端と、柄に掘られた魔法文字。彫刻の勇者が手にしているものなら、幾度も見たことがあった。先代はそれを静かに掲げると、俺の目元に向けて止めた。

「現行勇者の英雄譚、手短に見せてもらおうか」

その言葉と共に、眼球に僅かな違和感を覚えた。痛みとも痒みとも違うが、あえて言うならくすぐられたような感覚だ。何事かと思っていると、目の前に薄い煙のようなものが漂った。どうやらそれは俺の眼球からスルスルと出現してきているらしい、蚕の繭から糸を紡いでいくあれに似ている。そしてよくよく見れば、その煙は見覚えのある風景を映していた。城下町、盗賊である俺を追ってくる王の衛兵。謁見の間、衛兵をまとめて倒してしまった俺を罰するどころか、勇者に任命する白髭の王。あぁ、今度漂いだしたのはこれは、あの灼熱の砂漠か。そうして次々煙として現れる景色には、しかし俺自身の姿はない。これは俺が今まで自分自身の目に写してきたもの、旅の記録だと気がつくのにそう時間はかからなかった。

「...へぇ、なかなか面白い旅をしてるじゃん」

先代の軽い声にはっとした。煙は消えていて、先代も杖をおろしている。

「おぉ、突然で驚いたか?」

俺は恐る恐る目元に触れてみる。違和感はもうない。

「瞳っていうのは人間の記憶が1番強く宿るところなんだよ。数年やそこらの記憶なら、瞳からするするっと抜き取れるわけだ。当然時間が経てば風化して消えてしまうけど」

黙って目元をまさぐる俺をみて、先代は苦笑いを浮かべる。

「下手に魔法が使えるとなんでもかんでもそれで解決したくなる。驚かして悪かったよ」

俺はようやく目元から指を離すと、まじまじと目の前の男を見つめた。記憶に関する魔法というのはとびきり難易度が高いと聞く、それを魔法陣も詠唱もなしに目の前の男はすんなりと行ってみせた。

「驚いたは驚いたが、今のであんたへの疑いが完全になくなった。あんたの魔法は伝説の勇者のものだ。俺は同じ勇者でも、魔法というのはてんで駄目だからな」

言えば、彼は声を立てて笑った。湿った不気味な森には似つかわしくない明るさだ。

「魔法は生まれながらの素質が大きいからな。それに俺の魔法だって万能ってわけじゃないんだぜ。死んだ人間の蘇生なんかはどうにもならねえよ」

先代は続ける。

「それよか、伝説伝説って言われるのも、なんだか妙な気分がする。お前の記憶を見てても、ことあるごとに俺の話が出てるじゃねえか。街には像が阿呆みたいに建てられてるし、全く驚いた驚いた」

全く驚いたはこちらのセリフだ、と言ってやりたい。喋って動く伝説は、自覚なるものを持ち合わせていないらしい。

「あんたはまごう事なき伝説だ。あんたを知らない奴はこの世界に一人もいない、あんたの英雄譚に憧れなかった奴はいない」

「英雄譚、ねえ」

先代は薄く笑っている。

「そんなにご立派なものじゃねえや」

黒い木々の間を風が吹き抜ける。先代の髪が揺れると同時に、白くはためくものがある。俺はそれをじっと見つめた。目の前にいる人は確かにあの彫刻そのものだ。しかし、出会ったその瞬間から一点、強烈な違和感を発している箇所がある。俺は少し息を吸い、思い切ってその点に触れてみた。

「なぁ、あんたは本当にあの偉大な勇者なんだろうと思う。

だが、その包帯はなんだ?」

俺が指さしたのは、彼の顔の上半分。そこには薄汚れた包帯がぐるぐると何重にも巻かれているのだった。目はすっかり覆われてしまっていて、伺えない。

「ん?あぁ、これか」

先代は今初めてそこに包帯があることに気がついた、というような顔をした。

「気になるかい」

「当然だ。勇者像にはそんなもん巻かれちゃいない。幻影破りのペンダントがなかったら、それのせいであんたを疑っていたと思う」

先代はうーん、と曖昧に唸る。

「確かに俺がコイツを巻き始めたのは最終決戦のあとだからなぁ。勇者像にはコイツがなくても仕方ないのかもしれん」

彼はくるりとこちらを向いて、軽く首をかしげる。

「なぁ、後世に俺の旅っていうのはすっかり全部伝わってるのかい」

「そうだな、きっと大抵は伝わってると思うが」

「じゃ、星巫女のことは?」

"星巫女"、伝説の後半に登場する言葉だった。その名の通り、巫女を生業としている少女。空に最も近いと言われる幻の神殿に暮らす彼女は、勇者が手に入れたオーブでその力を増長させ、空を裂いて魔王のもとへの道を示した。勇者はその道を昇り、魔王との最終決戦に向かったと言う。

「それだけ?」

俺が語った"星巫女"の話を聞くと、先代は微笑みながらそう聞き返した。俺が頷けば、彼は空を仰いで笑った。

「なんだ、やっぱ全然伝わってねえんじゃんか。じゃあアレだ、俺が最終決戦のあと姿をくらました理由も伝わってないな?それなら包帯のことを疑問に思うのも当然だ」

俺はその言葉にばっと顔を上げる。

「伝説は、あんたが魔王を倒して、それで終わりだ!」

声が興奮で上ずったのがわかった。先ほど先代に告げた、「あんたに憧れなかった奴はいない」という言葉には何の誇張も含んでいない。つまり要するに、俺だってその一人だ。自分の中の子供が、好奇心に身を震わせている。

先代は俺の反応に少し驚いて、それからどこか満足そうな笑みを浮かべた。

「じゃあここまで辿りついた現行勇者殿にボーナスだ。教えてやろうか、英雄譚の続き。まぁとりあえず歩きながらにしようじゃないか」

そう言って先代は倒木から立ち上がる。ローブについた泥を払い歩き出した彼に、慌てて続く。

「俺が姿をくらましたのは、星巫女が理由だよ」

足元で枯葉がカサカサと音を立てる。先代は淡々と語り出す。

「魔王を倒した後、俺はもう一度あの空の神殿に戻った。そこで星巫女に出会い、そして次なる使命を得た。その使命のために俺は此処に来て、そしてまぁ世界から姿を消したってわけだ」

「その、使命っていうのは?」

もはや靴に腐った水が染みてくることなど気にならなくなっていた。先代はニヤッと笑う。

「まだ影の元凶を退治できてない未熟勇者に与えられるボーナスは此処までかな」

俺はぐっと言葉を詰まらす。実際、森に入ってからなんの手がかりも得ていない。返す言葉がない。するとそんな俺をみて、先代が吹き出した。

「お前、まじめな奴だな!嘘だよ」

この人の明るさが森に潜む何かを祓うのだろうか、先代と出会ってからどこかでなにかが蠕くような気配は弱まった気がする。

「星巫女は、今お前が追ってる例の影の出現を予言したのさ。そしてその元凶がこの森になるであろうことをも言い当て、この包帯にここまでの地図を刻んだ。コイツを巻いていれば、俺にはこの森までの道が見えたんだ」

自分の目が勢いよく見開かれるのがわかった。

「だから俺は迷わず此処に来た、未然に災厄を防ごうとして。生憎そう上手くいかなかったわけだが..」

先代は肩をすくめて、話を締めくくった。俺はいましがたきいた話を咀嚼して、胸のうちの幼い少年に与えてゆく。すると少年はむくむくとその存在を膨らませた。

「そ、そうだ、それから。そもそも戦いから100年は経っているはずだ。どうして戦いのあとの姿のまま今も生きてる?」

湧いた疑問は少年の好奇心から。答える先代は両腕を広げてみせる。

「此処だよ。この森は狂ってるって話を聞いたことあるだろ?時間が狂ってるんだ、ここでは。100年前のあの日から俺の身体の時間は止まってる。俺からすればこの100年間、ずーっと毎日<魔王を倒したその日>のままだ」

この森のことを教えてくれた、エルフのことを思い出す。エルフというのはどうも婉曲的に、詩的に物事をかたりたがる。全てが狂った森とは一体全体どういうことかと思ったが、なるほど時間が止まっているということか。それならそうとはじめから言えば良いものを。

「じゃあ、『この森からは2度と出られない』という伝承は?あれはどういう意味だ」

「あぁ、それも聞いてたのか。生憎だけどそれはそのまんまの意味」

先代はけろっとして答えた。俺は少しばかり怯む。当然、その覚悟でここに入った。何日も何日も歩いても、森の外に出ないことで察してもいた。しかし、まだどこかで希望を持っていた。すると俺の顔色からその色を拾ったのか、先代は付け加える。

「でもだな、俺が思うにそれはきっと影の出現と関係してるんだ。だからきっと影さえなんとかふれば森から出られるんじゃねえかな」

楽天的な、と思ったが、世界を救った男の言葉には魔力的な説得力がある。俺は彼の話した内容を少しずつ消化する。それをすっかり吸収したとき、口からは自然と感嘆のため息が漏れていた。

「世界を救ったその足でまた世界を救いに出かけるとは、勇者というのはどこまでも勇者なんだな...」

ぼんやり言えば、先代はゆるりと笑った。

「お前こそ、当時の俺に負けず劣らず勇者向いてると思うなぁ」

「え?」

あんたに比べられれば俺なんて、と言おうとしたときだった。

「おっとぉ」

先代が、潜めた声をあげた。先程まで蠢く気配としてしかその存在を示していなかった影たちが、唐突に行く手から湧いていた。地面から染み出すように濃い黒が姿を現わす。人の形を模しているようで特定のそれを保たない彼らは、ただフラフラと地面から生えている。俺は咄嗟に剣を引き抜く。が、

「邪魔くせえなぁ!」

俺が斬りかかるのより、ずっと速かった。隣の先代が長杖を目の前に水平に掲げ、既に詠唱を終えていた。杖を回せば、先端から迸る蛍光色の赤。暗い森を照らし出すそれは矢のようになって空気を裂く。風が起きて先代の包帯が揺れる。光はふらつきながら逃れようとする影を追尾して、貫いた。途端影は霧散。一瞬の鮮やかな攻撃につい見惚れていると、先代が言う。

「ほら、現行勇者!後ろだ後ろ、」

ハッと振り返れば、影がその腕らしきものを振り上げているところだった。身体を仰け反らせてそれをかわす。拳が空を切り、体制を崩した影の胴体をすかさず左に薙ぎはらう。それをブラインドにして、もう一体も刺し貫いた。二体はまとめて空気に散った。

「倒しながら進めるな?お前に見せたいものがある」

影が霧散したあとを先代が駆ける。俺はああ、と返事を返してからそのあとに続く。先代は呪文を詠唱しながら軽やかに木の根を飛んでいく。時には長杖を振り回して影を退けてさえいた。魔法の杖を棍の様に扱うその様をみて、どうにも破天荒な人だと改めて思う。俺も負けじと剣を翻せば、銀の光がギラリと反射する。

「どこに向かうんだ!」

「そりゃ行ってからのお楽しみ。だけど..」

先代はいたずらっぽく笑う。

「俺がこの100年間なにをしてたか、を見せてやるから」

金髪は風を受けて靡く。俺は耳の奥でひときわ大きく己の心拍音を聴いて、先代の後に続いた。



「ついてきてるかぁ?現行勇者」

影を薙ぎ払い暫く進みゆくと、先代がふと歩調を緩めた。もう影はついてきていないようだった。こめかみの辺りから一筋汗が垂れたのを、悟られぬよう拭う。先を行く人は全くの涼しい顔であった。

「あんたには魔力切れなんて概念ないのか?」

「ははは、むしろ無尽蔵の魔力だけが取り柄なもんでな」

先代の歩く先から、ほの明るい光が差し込んできていた。茂みをかき分け進む先代に続く。随分と奥まで来たように思える、もしも此処に影の手がかりがあるのだとしたら自分の力でさがし出すにはどれ程の時間がかかったことか、と考えた。その点先代に出会えたことは幸運だったのだろう。

「あぁ、もう着く。けどそうだな、現行勇者、ちょっと足を止めてくれないかい」

先代がふと振り返る。微妙に逆光になってるため、表情が伺いにくい。

「関係のない話だよ、これは。俺が勝手にお前に聞きたいだけ。なぁ、お前、家族っている?」

先代の問いかけは本当に唐突だった。俺は面喰らいながらも、答える。

「弟がいる。それから、一緒に城下町で盗賊まがいのことをしてた仲間がいる。彼奴らのことも弟同様家族だと思ってる」

「そうかそうか」

先代の声は笑みを含んでいた。正直なところ先代の後ろから漏れる光のほうに気持ちが持っていかれる。ようやくそこに影の手がかりがあると思うと、もどかしかった。

「お前、知ってただろ?この森に立ち入ったら二度と出られないって伝承を。怖くなかったのか?家族に会えなくなること」

尋ねられる。森に立ち入るとき、いや、旅の最中それを考えなかったはずもない。影の核心を見せようとしている今、先代は俺の覚悟を問いたいのかもしれない。俺は息を吸って、静かに答える。

「世界を救うためなら、仕方ない。家族にだって世界は代えられないだろう」

言えば、先代はふっと小さく声を出して笑った。

「そうか。真面目だなぁ」

少しの沈黙。先代は包帯の向こうからじっとこちらを見ているようだった。

「妙なこと聞いて悪かったな。さぁ、行こうか」

先代は再び歩を進めた。光の正体は本当にすぐそこだった。茂みを抜けた先、そこは黒々とした木々のない開けた場所。

「どうだ?」

先代が足を止め、振り返る。口元には笑み。俺は目の前の光景に言葉を失った。

そこにあったのは、薄水色をした澄んだ水晶。の、巨大な塊とでも言おうか。地面から生えるようにしてそこに在る水晶は、俺の身長の悠に三倍はあるように思われた。仄かな灯りを放っているのもその水晶のようだった。つややかなその表面が膜を被ったかのように淡く発光している。

「...これは?」

尋ねれば、先代は手招きをする。

「いいから、もう少し近くでみてみろって」

呼ばれるまま、先代の横を通って水晶に歩み寄る。魔法にはてんで疎い俺でさえ強い魔力を感じた。空気が痺れているような感覚がある。薄水色に見えた水晶は、近寄ってみればもう少し複雑な色をしていた。シャボン玉の表面で虹が渦巻くそれに似ている。

「魔力の塊が具現化してるんだよ」

後ろで先代が言った。俺はまじまじと水晶を見つめた。表面の虹色が俺の顔を映す。

「なぁ、現行勇者?そのまま観察を続けてもらってかまわないんだが、ちょっとまた関係のない話をしてもいいかな」

「なんだ?」

先代に答えながら、水晶に触れてみる。ぴりっと静電気のようなものが走る。

「さっきお前に家族のことを聞いたろ。俺にもな、故郷に家族がいるよ。そのへんの伝承は伝わってるのかな」

水晶は相当な分厚さがあるらしい。それに加えて表面の虹色のせいで、向こう側が見えない。いや、向こう側はおろか水晶の内側すらよく見えない。俺はじっと目を凝らした。後ろに立つ先代の姿も映っている。彼はやはり楽しげに笑っていた。

「いや。あんたの伝承は、神殿で大神官に任命されて旅に出るところからだな」

答えながら、水晶を覗き込む。どうも奥、いや、中に、何かが見える気がする。

「俺、小さい妹とな、2人で暮らしてたんだ。神託を受けるまでな。勇者として旅に出ることになったときは妹も喜んでくれたんだけど、」

先代の声の調子がふっと暗くなる。俺は観察の手を止めた。

「こんなことになっちまったからなぁ」

俺はその言葉ではっと気がついた。あんまりこの人が明るいもので、簡単なことを失念していた。この森での時間は止まっていても、外の世界での時間は流れ続けている。それはつまり、彼と関わりのあった人たちの時間も滞りなく流れていったということだ。そして彼はもうひとつの伝承、「立ち入れば2度と出られない」、それに従ってこの森に100年閉じ込められているのだ。唐突にそのふたつの事実が結ばれた。

そうか、外の世界で、この人の妹はもうとっくに。

振り向くことは憚られ、ただ水晶を見つめた。そこに映る先代は片手で顔を覆い、俯いている。俺は言葉を慎重に、ゆっくりと紡いでいった。

「あんたが100年かけて成し遂げられなかったことも、二人でやれば或いは違うかもしれない。いや、違うはずだ。きっと影を今度こそ根絶できる」

伝説の勇者にそんなことを言うのはおこがましいのかもしれなかった。それでも、続ける。

「それで、影を根絶やしにしたらこの森から出て、それで、」

息を吸う。

「ーあんたの妹さんの墓参りに行こう」

先代の表情をうかがうのはどうにも恥ずかしいような感じがした。軽々しく言って良いことではなかったのかもしれなかった。それでもと思った。

「あんたの故郷は何処なんだ?妹さんもそこに眠ってるんだろうか」

沈黙に耐えられる気もせず、俺はただ矢継ぎ早に言葉を重ねる。すると、

「ふっ..あはははは!」

先代が、唐突に、例のどこまでも明るく響く笑い声を立てる。

「いいや。故郷にはいないな」

先代は笑いを堪えられない様子で口元に手を当ててくつくつと笑い続ける。そんなにこっぱずかしいことを言ったか、と後悔に駆られ出したとき。

水晶に映る先代が、静かに右手をあげて、ツと水晶を指差した。

否、正確には水晶の中を。


「妹なら、そこに眠ってる」

「え」


同時だった。水晶の中、そこにみえるなにか、それが人の形をしていることに気がつくのと、先代が素早く長杖をこちらに向け、何事かを詠唱するのと。一瞬の出来事だった。俺が剣の柄に手をかけるのはその一瞬から少し遅れた。既に杖からは濃紫の棘が無数に繁り、俺を水晶に磔にする。

「反応が鈍いなぁ、現行勇者」

両手足首に絡みついた棘。水晶に押し当てられた背中はその強い魔力の波動を受けてびりびりと痛んだ。目の前に立つ先代はにこやかで、決して笑顔を崩しはしない。

「先代、これは」

「妹の墓参りをしてくれると言ったか?そりゃ、嬉しいね」

ぶつけようとした言葉は彼の軽い調子に遮られる。先代はまた杖を掲げ、クイとそれを後ろに引く動作をする。すると磔にされた俺の身体は水晶から剥がれ、向きを変える。ただし両手両足は件の棘に拘束されたまま。先代は俺の襟を掴んだ。そうして向けさせられた視線の先の水晶の表面から、例の虹の渦が消えていた。澄んだ水晶の中はよく見える。

「女の子...」

俺は小さく呟いた。年の頃は5,6歳と言ったところだろうか。小さな少女が、水晶の中に浮遊するように立っていた。柔らかそうな白い肌。丸い顔を囲うように垂れる髪は長く、毛先が緩くうねっている。色は淡い金、何処かで見たような淡い金。

「俺の妹だよ。可愛いだろ?お前の言った通り、今は眠ってるけどね」

俺の髪を掴んだまま、先代は言う。甘ったるい感じが滲んでいた。

「先代、一体、どういうことだ」

棘は魔力を帯びているらしく、触れている箇所から力が抜けていくような感覚がした。先代は俺を乱暴に地面に投げ出した。なめらかな動作で俺の腰から剣を引き抜く。散々な苦労をして作り上げた最強の武器は、なにか山吹色の光に包まれたかと思うと無残な音を立てて金属片に成り果てた。

「髪の色がさ、綺麗だろう。いや、俺とお揃いだからあれを綺麗と形容するのはどうも自己陶酔みたいになるか。なぁ、ほら、星色なんだ」

先代はクルクルと自分の髪の毛先を弄んでみせた。

「だからかな、あの神殿に暮らす民は星の民って名乗ってた。いつの頃からだろう、その中でも守護の魔法に特化した妹が星巫女と呼ばれるようになったのは」

"星巫女"その言葉に、つい先ほどの光景が脳裏をよぎる。星巫女についての伝承を、やたらと聞いてきた先代勇者。

「妹が星巫女と呼ばれだして数年後に、兄である俺にも特殊な素質が見出された。妹が星巫女として神殿の仕事をしてるのを迎えに行ったんだ、あの日は。そうしたら神官がな、言うんだよ。『これから世界に訪れる闇の脅威を祓うのはお前だ。神がそう告げている』。俺がどう思ったかわかるかい」

先代は笑った。しかしそれは先程までとうって変わった暗い笑みだった。自らを、嘲っている。

「浮かれた。そりゃもう浮かれたよ」

はっ、と、乾いた声が彼の口から漏れた。

「勇者に任命されたんだ。『世界を救え』って。妹と手を叩き合って喜んだね。すぐに旅支度を整えた。出立の朝は忘れない。空に最も近い神殿と呼ばれるそこから、下界へ降りてくんだ。妹はいつまでも手を振ってた」

彼は楽しげに俺の前に回り込んだ。しゃがみ込み、包帯の奥から俺と視線を合わせてくる。

「旅は良かった。良かった?優良だったというのが正しいか」

水晶を背にした先代と、水晶のなかの少女は本当に同じ髪の色をしている。

「人を助けた、街を助けた、闇を祓った。少しずつ魔王に迫っていった。本当に奴を追い詰めたときだった、彼奴は空の中に隠れてしまった」

伝承をなぞるように、先代は語る。いや、彼にとって"伝承"は"記憶"だ。

「あとはお前が語った星巫女の章のはじまりはじまり。なんだっけ?"空に最も近いと言われる幻の神殿に暮らす彼女は、勇者が手に入れたオーブでその力を増長させ、空を裂いて魔王のもとへの道を示した。勇者はその道を昇り、魔王との最終決戦に向かった"....だっけ?そうだよ、その通りだ」

吟遊詩人の調べにも乗らない、綺麗な言葉で飾られることもない。主人公その人の唇から絞り出される物語はひどく無骨だった。

「そうだ、いくら星巫女の力でも魔王を探し出して道を開くには足りないと。その為に魔力を増幅させるオーブを手にいれて、あの子のところへと持って行った。星の民の力が最も強くなるのは夜だから、深夜‪零時‬、道を開くことになった」

先代の指先が包帯に触れる。

「日が落ちたら儀式の支度だ。だからそれまで、2人で過ごした。覚えてる...あの子は怖いと言った。オーブの力で魔力を増幅させるのも、その魔力で大規模な魔法を使うのも、どうなってしまうかわからないようなそんな気がして怖いと。繋いだ手が震えてた。夕暮れの時刻だった。小さな手だった」

水晶の中の少女は微動だにしない。

「日が暮れはじめて、あの子は瞑想と詠唱を始める。周りには見送りの人がたくさんいた。あの子の立つ場所から魔法陣が広がってく。深夜‪零時‬、星空が裂けて、俺の前に光の階段が形成される」

星降る夜の最終決戦、だ。とぼんやり思った。棘が少しずつ思考力を奪っていくようだった。指先が痺れたようになり、意識に靄がかかってゆく。

「俺はどうしたと思う?駆け登ったよ。振り返りもしなかった、道を作ってくれたあの子を振り返りもしなかったんだ。ただ魔王を倒してやるってことしか頭になかった。そうして俺は、天上で魔王を倒し、救った世界に戻った...」

先代は落とした言の葉を探すかのように、カクンと頭を垂れた。金の髪が流れる。しばしの沈黙ののち、少しずつ、水底から泡が立ち上るそれによく似て、彼は笑い出した。低く漏らしたそれは次第にけたたましく上ずったものに変わり、森にわんわんと反響した。彼は息も絶え絶えといった様子で笑い続け、狂気的に絶叫する。

「そしたらどうだ!?死んでた!!!!!あの子は死んでた!!!!!」

あはははは、と甲高い彼の声。

「強い魔力に身体が保たなかったんだって神官が言った。わかるか!!!?ほんの昨日まで握ってた手に触れても、冷たいんだよ...なぁ、死んでたんだあの子は、俺の妹は!!!」

先代が俺の首根っこを掴み、水晶に叩きつけた。先程はあんなにも痛んだ魔力の波動も感じられなくなっていた。

「お前さっき、言ったな!?家族だって世界には代えられないって。俺、いいと思うよ。そういうのいいんじゃねえかな!?お前勇者向いてる、超ッ勇者向いてるよ!!!世界救えちゃうんじゃねえかな!!!」

突き刺すように彼は叫ぶ。

「勇者って役割に酔ってる感じ!?すげぇわかるよ!俺もそうやって世界救ったもん!!!向いてる向いてる、超勇者向いてる!!!」

あははははははははは、あはははははははは。杖をふりあげて、彼は俺の顔のすぐ真横に突き刺した。パキンと小さな音がして、水晶の破片が散る。


「それでもって、俺はそんな傲慢な「勇者様」が大嫌いだ!」


絶叫。彼は笑っていたが、ひどく苦しげだった。

「星巫女に導かれてここに来たってさっき言ったよな???それは嘘じゃないぜ、あっははは。気がついたんだぁ」

先代は笑い疲れたのか、唐突にふっと声を落とす。ひゅーひゅーと落ち着かなげに息をしながら。

「冷たい、動かない、あの子を見て、俺の世界は、俺が救った世界とは別だって気がついたんだぁ。ずっと妹と2人で暮らしてた。俺の世界はあの子しかいなかったんだよなぁあ。世界なんか救ったってあの子がいないんじゃ意味ないんだよなぁああ」

ふと空を裂く何物かの音がして、朦朧とする意識の中で先代の右手に目をやる。そこには黒い、刃の形が徐々に創られている。

「花の溢れる棺の中の、あの子の死体を見ていて、思い出したね。旅の最中耳にした時間の狂っている森のことを。気がついたらあの子を抱えてここに居た。でも駄目だ、ここに居たら確かにあの子の死体は朽ちはしない、けど、それじゃ足りない」

右手の黒は酷く見覚えのある黒だった。旅する間に幾度となく斬った、影。あの影。各地に突如として現れ、俺が旅に出るきっかけになったあの影、その黒だ。

「それは案外簡単なことで、それは案外難しいことだ。人の死は覆らないから、いかなる魔法を持ってしても。それなら、だ。それなら、あの子が死ぬ前へ時間を巻き戻してしまえばいい」

先代の右手の中の黒い刃は少しずつ鋭利になっていく。

「必要なのはふたつ。戻したい瞬間の記憶"と、"巻き戻したい分の時間"。難しいのは後者だ、時間を集めるっていうのはなかなか骨が折れる。こういう道具を使ってもな」

先代が左手で軽く手まねきすれば、地面からムクムクと影が湧き出た。右手のそれと、同じ色をしている。

「影に襲われた者は忽ちに干からびたようになって死ぬだろう?あれは時間を吸われてるのさ、俺の魔法で創った此奴らにね。ただ厄介なことに、時間を戻すにあたって吸った時間は結晶化しないといけない。そうするとどうにも量が減る、だからなかなか手間がかかる」

いよいよハッキリとした形を持った影の剣がその手に握られていた。すっかりあやふやになった脳髄と視界、然しその剣から発せられる波動は冷水のような悪寒を走らせる。

「でもこれが不思議なことに、世界への貢献度が特別高いニンゲンは時間の価値も高いらしい。他の脇役どもよりずっと多くの水晶を狩れる。さて、ここまで言えばわかるだろう?」

にこ。先代は思い出したかのように、ちょうど初めて会った瞬間と同じ、屈託のない笑顔を見せた。辺りはただひたすらに静かだった。


「先代勇者のワガママのために、死んでくれるかい現行勇者」


振り上げられた影の剣。




俺は一瞬、最期に、勇者だった。





先代の狂気による悪寒は、その冷たさでもって俺の思考を今一度明瞭にしていた。先ほど壊された剣、あれは長旅の中で鍛えた伝説の武器だった。しかし元来使っていたのは彼れではない、俺は左袖に忍ばせていた短刀を素早く手に握った。盗賊時代に愛用していたものだった。先代の表情がピキリと固まった。俺を拘束していた棘は、魔力のバランスのせいなのか影の剣が完成した頃には散っていた。先代はまさか俺がまだ動けるとは思っていなかったらしい、口元から笑みが消える。

影の剣をかろうじて弾き返す。反撃の焦点は決まっていた。この位置から心の臓に突き刺すよりは、もっとずっと効果的なところがある。俺は先代の目を潰すつもりで、彼の包帯に沿うように短刀を薙ぎ払った。しかし、

「おっとぉ」

先代はしなやかに後ろに避けた。深く入れたつもりだった刃に、肉を断つ感触はない。ない力を振り絞っての攻撃に、2度目はなかった。糸が切れたかのように己の動きが止まるのがわかった。

「頑張ったよ現行勇者。そら、おかげでいいもんが見れる」

先代の声に、閉じかけた瞼をゆるりとあげる。俺の短刀はどうも彼の目に傷をつけることは叶わずとも、そこを覆っていた薄汚れた布を切り裂くには充分すぎたらしい。先代の目元の包帯が落ちていた。

「綺麗だと、思わねえ?」

明かされたそこには、恐ろしいほど美しい色をした双眼。橙と金と緋を溶かして流し込み、薄く輝かした色。

どうしてそんなことが起きたのかはわからない。ただ先代の刃が俺の心の臓を貫いたとき。ドッ、とそこから血液が流れ出し、時間が流れ出したとき。俺は先代の瞳のその色から、記憶の景色をみた。



辺りは夕暮れに染まっていた。風が吹いているのか、足元の短い草が揺れていた。視界の中の全てが橙色をしていて、少し離れた丘の上の神殿はシルエットになってそこに沈んでいた。

『お兄さま、怖いのです。なにが起きるのかわからず、怖いのです』

低い視点。俯いた地面にはふたつの長い影が伸びている。上の方から声が降ってきた。

『怖いのはわかるけど、大丈夫だから、なんにも心配はいらねえって。俺は勇者で、お前は勇者の妹、そして星巫女なんだ。わかるか?主役は必ず上手くいくってセオリーがある』

優しい、空気にしみていくような声だった。記憶の視点が上を向く、声の主人をみる。淡い色目の金の髪は、時折記憶の視界をちらつくものと同じ。自信に満ちた横顔は、勇者と呼ぶに相応しかった。

『お兄さま、わたし』

『嗚呼ほら、日暮れだ。儀式を始めなくちゃな』

こちらを向いた、一点の曇りもない確信。



「あの子の記憶。あの子が死んでしまう、寸前の記憶」

干からびた死体から影の剣を引き抜きながら、ポツンと呟いてみる。真面目な奴だったなあとしみじみ思う。いや、自分がかつて勇者の名を欲しいがままにしていた頃も、こんな風に周りからは見えていたんだろうか。

傍の水晶は、100年かけて世界中からかき集めたもの。と、時折この森に迷い込む憐れな旅人から狩ったもの。この森には元々、「時間が狂っている」という伝承しかなかったのだ。

「騒がしくしてごめんなぁ、怖かったろ」

水晶のなかの妹に語りかける。現行勇者のおかげで、結晶はまた一回り大きくなったような気がする。その中で眠る彼女の身体は朽ちることなく美しい。普段は魔法を介して景色を見ているので、その姿を見るのは久々だった。ついしばらくの間見惚れてから、ふと自分が直接景色を見ないよう包帯を巻いていた理由を思い出した。

「死者の記憶っていうのは脆くていけない。あの子の身体からこちらへ移したのはいいものの、他の景色にすぐに上書きされかねないんだった。それをあの阿呆勇者め、このズタズタの包帯どうしてくれんだ」

悪態をつきながら、足元に散らばった包帯を掻き集めた。短くなってしまってはいるが、継接ぎしてまだ使えなくもない。

「決戦のあの夜の寸前の記憶。俺が戻したい瞬間の記憶だ、無くすわけにはいかない」

包帯を巻きながら呟く。しっかりそれを元通りに秘めたあと、ふと思い立って干物になった足元の現行勇者に声をかけてみる。

「綺麗だったろ、俺の目の色」

ふふ、と自然と笑いがこみあげる。声を潜めて、気分は秘密話だ。


「"昨日の夕日の色"なんだ」


書いててとっても楽しかったです

現行くんが「世界より家族」と答えたところで先代のとる行動は変わりませんでした、彼は自分の傲慢をもう肯定しています


カットしてしまいましたが、損得勘定で世界救済を狙う「次代勇者」の物語も描こうかと思っていました

彼の次代で現行くんは勇者なり損ないの臆病者扱いされています


こういった悲劇の英雄譚は大好きです

自分の力量不足が悔しいですな

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