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第十話「 」
もう夜は終わろうとしていた。
世界は新しい朝になろうとしていた。
この朝を、彼と見ることが出来るなんて、あたしはなんて贅沢者なんだろう。
彼が砕いたガラスの破片は、もう海に落ちてしまったらしく、彼に背負われていたあたしみたいに、波間でゆらゆらと楽しそうに揺れていた。
……ああ、やっぱり最後に言いたいことがあるなあ。
「 」
あたしが叫んだ、その最後の言葉は。
どこまでも。どこまでも。
海の先へ。
空の先へ。
遠い未来の、彼の物語の最終回に向かって。
ガラスを派手に突き破って。
きらきらとした破片を撒き散らしながら、飛んでいった。
ここまでこの二人にお付き合い下さり、本当にありがとうございました。




