サーフレジェンド!
長らくお待たせしました。終わらせる気のないグダグダ小説っす。。。。
「う! 海だああああああああああああ!」
砂浜で目の前に広がる青い海に、思わず叫んでしまった。
鬼が島と呼ばれる出島を右手に見て、左には真っ白ではないが、20メートル程の幅で1キロは砂浜が広がっている。MOBは見たところ皆無。居たとしてもすぐに海の中に入るのだから関係ないと思いながら、波の状況を見ながら準備運動をする。
「2~3本慣らしでインサイド(浜辺より)で乗って調子見てからアウト(波が湧き上がってくるポイント周辺)にいきますかね~」
貸切状態の海を見ながらそんな風に独り言。
おおむね腰、腹(サーファーは、波の大きさを自分の体の部分で表す人が多い)の波が立っている。風は北よりの微風で浜辺の方から沖に向かって吹く風で、サーフィンをするには一番良いとされている、弱オフショア。
「こんないい条件の海に入った事あったっけ?」自分の短いサーフィン人生を思い出しながら、そんな言葉が口から漏れた。
仕事場の大先輩で友人でもある人に連れられて始めたのがきっかけだった。
波に乗って、押し出されるスピード感が、バイクでの加速感以上に刺激的に感じられて一回で魅了された。(泳げないにも関わらず)
人生が、波乗り中心の生活に変わってしまうのに、時間は掛からなかった。
現在進行形で、バーチャルリアルティーの世界で何とか波乗り出来ないか実験中なのである。
「んじゃ、いきますかー!」
普段なら小脇にボードを抱えてといったところなのだが、そうもいかない。何せ総松の木の削りだしなのだから。手動のドリルでフィンと、リーシュコードを通すための穴を開け、フィンを木ネジで固定すると「よっこいしょ」と、年寄りみたいな掛け声でボードを持ち上げる。
(う~ん、STRに少し振らないと、重すぎるか…)と考えながらも、海へ向かって歩みだす。海水温は、さほど冷たさを感じない。というより、気持ちのいい冷たさ程度だ。スープ(白い波が起っている状態の総称)で何度も押し返されながらなんとか腰位まで海水に浸かったところまでやってくる。(スープにこれだけ力があるなら、もんだいないでしょ~~~? 多分? )などと、希望的観測をもちながら、ボードの上に寝そべって、ボードのセンターを確認する。これがずれるとすぐに波の力でボードから振り落とされる為、しっかりと確認しておへそのあたりがセンターに来るようにボードに腹ばいにならなければならない。上体を添った状態で腕をボートのオール代わりに使う『パドリング』と言われるサーフィン独自の泳法で、沖へと漕ぎ出していく。何度か波に押し戻されながらもやっとの思いでアウトまでこぎつける。
「ボードって言うより、船だな! これは…」などと独り言を吐きながら、ロング独特の安定した浮遊感を全身が心地よく感じる。
見渡す限りの青い海に秋を思わせる澄んだ空のコントラストが、ヴァーチャルの世界だと言うことを忘れさせる。
「おっ! 来ましたねー!」
もりもりっと、湧き上がる様な波をみつけて、普段乗ってるボードよりも何倍も取り回しが難しいボードに腹ばいになって波を追っていく。普段乗っているボードは2メートルちょいの、ファンボードと言われるボードで、ボードの形にウレタンフォームを削り、その上にグラスファイバーを巻いて、樹脂でコーティングした一般的な物だ。木の削りだしのボードの方がレアであり、値段は3倍以上の開きがある。
「おもてええええええぇぇぇぇえ!」
木のボードでパドリングしながら、思わず叫んでいた。たまに振り向いて波が来る方向を確認しながら、浜へ向かってゆっくりと、肘から下でしっかり水をつかむような感覚でボードを押し出していく。
盛り上がる波にスーッと押し出されるようにボードが滑り始める瞬間を捉えて「テイクオフっと!」ボードに両手を着いて上半身を起こし、左足を起こした上半身とボードの隙間に振り上げ、左足を支えにボードの上に立ち上がる。
ボードが重い為、安定感は抜群である。
背中でワレ始める波を感じながら、波の横へと滑り出したボードにしっかりと足でふんばりながら、100メートルは離れていると感じる砂浜へと目を移す。海の上に板一枚で立っている、いつもながら不思議な感覚に身を任せながら、ゆったりとしたボードの上でガッツポーズ!
ふいに、いつもの電子音。
「プレイヤー『たあにょ犬』が、レジェンドサーファーの称号を獲得しました!」
同時に念話やメールの着信を知らせる、着信音が…
「えっ? え、え、え、え、え、え?」波乗りしてるのをすっかり忘れ、サポートメニューを開こうとしたところで、後ろから迫った波に飲み込まれる…
「うっが…おれ、泳げないって…」波に巻かれながら水中で最後に発した言葉は空気の泡となって誰にも届かない。
初めての死に戻りは、溺死でした ○ w
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「レジェンドサーファー」となって街へと帰還した俺の周りには、10代のピチピチサーフガールが…と言うほど世の中甘くなるわけが無い!!
腹が減っては…と言う事で、出発の際にサンドイッチを仕入れたオープンカフェに来ているのだが、目の前の席にはイカツイおっさんの顔があるわけで…
何でこうなった…?
それは波に巻かれて死亡する間際まで巻き戻るのだが、それはまた今度語る事としよう…
「ふこうだあああああああああ!」と叫びたくなる気持ちを抑えながら…
たあにょけんの、グダグダ小説にお付き合い頂きありがとうございます。
この小説は多分何の緊張感も無いグダグダが続きます。
用法容量をご確認の上…作者の怠惰に目をつぶってお読み下さい。。