始まりの章∞誕生
◇◇◇
XXXX年、1月1日。
冬の時期であり、空は白雲に覆われ雪が降り、
外は銀世界であった。
ミューズ王国、東の一端に領土を持つ貴族、
《バークレイ家》。
獣人や亜人の国、ハイガル国との境界のすぐ近くに屋敷があるバークレイ家は、“東の守り神”として有名だ。
そんなバークレイ家の屋敷の中は、この時期いつもなら新年を祝う『宴』が開かれているのだが、今は、不気味なくらい静まり返っていた。
バークレイ家に仕える
使用人達は、一階にある広いバルコニーで神に祈りを捧げていた。
「…神様。どうか……」
昼の刻を過ぎた頃。
「オギャア、オギャア」
一つの声が屋敷内に響き渡った。
「あぁ、神様!!」
「……ありがとうございます!」
一瞬にして活気が戻る。
しかし、次の瞬間。
再び静寂に包まれた。
……あの泣き声が、途切れてしまったのだ。
「医術師だ…、医術師を呼べ!!」
バークレイ家当主の焦った声がとぶ。
「あ、あなた。
赤ちゃんは?私の、私達の赤ちゃんはドコ?」
「大丈夫。大丈夫だ。
お前は心配せず、ゆっくりと休め。な?」
これは、弱くて脆い身体を持ってしまった彼が、バークレイ家次男として
頑張って頑張って、
頑張りまくって生きる話