『何もしなかった恋の話』③
最終エピソード掲載日:2026/01/19
放課後の教室。
隣の席に座る彼の手は、触れようと思えば触れられる距離にあった。
けれど、私は動かなかった。
彼も、触れなかった。
会話はなく、ただ静かな時間だけが流れていく。
それなのに――なぜか、触れていないはずの手のひらが、温かかった。
互いに何も言わず、何も確かめず、
それでも確信だけは共有してしまう。
「何も起こらなかった」はずの放課後。
けれどその日から、私は知ってしまった。
触れないという選択が、
最も深く残ることがあるのだと。
これは、触れなかった手の温度が、
その後の人生にまで残り続ける話。
第三話『触れなかった手の温度』
2026/01/19 23:59