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妻が本の中に蘇り、勇者と結ばれる前に俺が魔王を倒すだけ。  作者: さんまぐ


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第28話 勝てない戦い。

城の地下は迷宮になっていた。

だが迷宮の役割は果たして居なかった。

等間隔で魔物が道の前から現れるので、それを目印に進む事にすると順調に階段が出てくる。


魔物は初めは巨大人喰い鬼や、オークリッチなどの高難度の魔物達だったが、徐々に人喰い鬼やオーク、トカゲ騎士と弱体化していく。

最後には鉄トカゲなんかの魔物になっていた。



・・・



その理由は最下層に着いた時にわかった。

玉座に座る巨体。

だが巨体はただの巨大なミイラに見えた。

朽木のような腕は動く事なく玉座の上で震えていて、時折震えが大きくなると手のひらから魔物が生まれて男達に襲いかかってくる。

断続的にそれは続き、男達が魔物を倒し、魔王の身体から魔物が生まれる度に魔王は痩せ細り枯れていっていた。


男はイリゾニアの外で読むとこう書かれていた。



-----

魔王は最後の力を使い、勇者達を討つために魔物を産み続けていた。

だが魔王の身体に限界が来ていて、魔物達は産めても弱い個体になっていた。

魔王の身体に命のカケラは残って居なかったが、不思議な力が魔王を生かし続け、魔物を産み落とさせていた。

-----



「哀れだな。やはり魔王すらこの物語の舞台装置なんだな。終わらせてやるよ」


男の呟きと同時にカインは聖剣レイザーイを構えて振り下ろす。


レイザーイの一撃は魔王の腕を斬り飛ばした。

男はこれなら勝てると確信して、次に首を斬り落としたが、魔王の命は奪えなかった。


どれだけ魔王を斬り裂いても命に届かない。

細切れの腕からは、いまだに魔物が生まれて来ていて、飛ばされた頭は小さく「殺してくれ」、「死にたい」と呟き続けていた。


後先考えるのをやめた男は、聖剣レイザーイをブランドに持たせてみた。

ブランドはニヤニヤと笑い「お前は所詮添え物、俺様じゃないとな」と言って魔王に斬りかかったがブランドの一撃でも魔王は倒せなかった。


だが全く悔しそうな顔をしないブランドは、悔しそうな顔どころか勝ち誇った顔で「ほら見ろ!やはり俺様とパールの愛の力がないとダメなんだ!」と言っている。


厳しい現実。

男も段々とそれしかない気がしてしまう。

だがそれは受け入れられない。


そんな中でもブランドは「パールぅぅぅ!魔王に勝つためには、俺とお前の愛が必要なんだぁぁぁ!」と叫び、パールは怯えた目でブランドを見てカインに目で助けを求めた。



・・・



男は最後の賭けに出る。


「パールさん、ライムさんと退避です。僕はブランドとここに残ります。僕だけの大魔法で魔王を攻撃します」

「カイン!?何言ってるのよ!」

「そうだ。危険だぞ!」

「どうやら僕は2人に傷ついて欲しくないようです。大丈夫。きっと魔王は倒します」


カインはライムに触れて「偽装術で愛を得たブランドと誤認させて攻撃を放ってみる。招陽術なんかを使ってブランドごと殺す。俺の肉体は外にある。安全機構で死ぬ前に外に戻れるはずだ。改めて迎えにくる」と伝えると、パールを見て「パールさん、魔王を倒し終わった後、僕の行きたい所に着いて来てくれますか?」と聞くと、パールは泣きながら「行きたいよ」と返す。


男はカインとして「なら僕は死ねませんね。だからまた会えますよ」と言いながら微笑んで、「さあ!逃げてください!きっと魔法陣は帰りの力も蓄えています!デイドリーに逃げてください!」と言う。


原作でも一度撤退をする。

そしてクラムとの愛を得たブルガリは、再度魔王城を目指して魔王を討ち取る。

魔法陣は生きている。

なら逃がそうと男は思っていた。



・・・



状況を見ずに、いまだに魔王の身体を細かく切り刻むブランドはもう壊れていた。


「ほらな?無理だろ?パールだよ!パールを抱かせろよ!それで万事解決だ!」


笑いながらそう話すブランドは、パールとライムの撤退にも気づかないで聖剣レイザーイを振るい魔王を細切れに変えていく。


「魔王、そうまでして生かされる苦痛。俺が解放してやるよ。お疲れさん」


カインの口から男の言葉を出した後、ブランドを殴り倒すと魔王の心臓がある胸元までブランドを引きずり、魔王の心臓と共にレイザーイを突き立てる。


「お前!?カイン!裏切るのかよ!さっさとパールを抱かせろよ!そうしたらこの世界は平和になるし、俺は全部の女を抱くんだよ!その為に術を覚えたんだ!この世界に来たんだ!」

「この世界?別の世界から来たのか?」


「そうだよ!ここは…イリゾニアは本の中の世界だ!お前はただの登場人物!俺様の冒険の添え物だ!」

「帰りたいとは思わないのか?」

「思うもんか!誰も俺様を認めない!誰も俺様を受け入れない!新しく何かを始めても、すぐに周りの人間が離れていく!低脳なのにだ!大した能力もないのに、俺様を愚弄する!俺様が導いてやるのに、着いてこようともしない!そんな世界より、ここの方がマシだ!」


それこそライムの話していた事だろう。

本来のブランドは、親の金で何かを始めてはトラブルになって、親の金で解決をして、また新たな事を始める。


それで逃げ出した先には魔術があって、物語を捻じ曲げて自分を肯定する世界を作りたかった。そんなところだと男は思っていた。


「お前は死すべき人間だ。外から来た…そんなことは関係ない。世界中の女を抱く?女達の気持ちは?お前は無視をするだろうな。平和になったこの世界に、お前は不要。お前はここで俺と死ぬべきだ」


男はそう言って冷酷な眼差しでブランドを見た。

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