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妻が本の中に蘇り、勇者と結ばれる前に俺が魔王を倒すだけ。  作者: さんまぐ


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第15話 地獄絵図なんて生ぬるい地獄。

ナイメアは滅んだ。

カインが辿り着く前に、大軍のセウソイがナイメアを包囲すると、ナイメアの民達はブランドとパールに保護を求めた。


それは勇者に対して当然のことだった。

護衛兼監視者のメイジーも、この土壇場ならブランドも本気を出すと思ったが甘かった。


パールは周囲を囲む魔物の群れに恐怖し、震える声で「私も勇者、頑張ります!」と言って、村の外で待つセウソイの元に向かおうとしたが、ブランドはこの期に及んで口八丁で逃げ出そうとした。


「立てよ町民!」


そんな言葉から始まり、「君達は俺達が居なくなっても、敵を倒す事をしなければならない!今は俺もパールも居る。共に敵を討とう!」と言って人々を先導する。


散々ブランドに抱かれて、十万の魔物を蹴散らした武勇伝を聞かされた娼婦達は、「ブランド様!私達のために戦って!十万の魔物を滅ぼした時の御力を、今ここで示してください!」と口々に言う。


そのやりとりを見てセウソイは鼻で笑うと、「我が大軍の大半を殺したのは、お前ではなかろう?勇者カインに殺された事は魔王様から聞いている」と言う。


その瞬間にナイメアに漂う絶望の空気と、ブランドの張り付いた笑顔。

一度剥がれたメッキが一気に剥がれるように、ブランドの底を知り青くなるナイメアの民達。


そこにうわ被せるように、「お前はトカゲ騎士の1人も倒せずに、ずっと魔物達に袋叩きにされていたそうだな。それでもそうして生きている生命力だけは、見事だと誉めてやる」とセウソイが続けると、ナイメアはパニックになった。


母親が子供の手を取って家屋に逃げ込んで布団を被る。

震える手で武器を持つ男連中。


そんな状況でも、ブランドは「ならカインの奴を追えよ!」とセウソイに怒鳴る。

だがセウソイは「魔王様は、弱い者から先に殺してこいと言ったのでな」と言って笑うと、「殺せ」と魔物達に言った。


その声でナイメアを囲んでいた魔物達が、一斉にナイメアへと雪崩れ込んできた。

地獄絵図なんて生ぬるい地獄だった。街を守る男どもは人喰い鬼の一撃で肉塊にされるとその場で食われてしまう。


グチャグチャという咀嚼音を聞きながら、悲鳴を上げる女どもはオークに食い殺されて、子供達はゴブリンにおもちゃにされながら食われた。


ブランドに助けを求める絶叫と悲鳴の中、魔物達はブランドもパールも無視をしてナイメアの民を殺して回る。



パールは「やめなさい!私と戦いなさい!」と声を震わせながら、現段階で唯一扱える攻撃魔法のファイヤーボールを放つ。

確かに勇者の一撃なので、当たればオークでも人喰い鬼でも焼き殺せるが、範囲魔法ではないし、そもそもの数の差がある。


圧倒的な数の暴力により、何をしても焼け石に水で、オーク達は老若男女を次々と殺していった。



・・・



ようやく殺す民が居なくなると、人喰い鬼がブランドを一撃で殴り殺す。


だがブランドは肉塊になろうとも不思議な力で蘇生する。

そして生きている限り、魔物達がコレでもかと袋叩きにする。


死なないブランドを見て、「ほぅ」と驚きを口にするセウソイは、「弱い者から順番にしてもこれでは意味がないな!同時にやろう」と言ってパールを見た。


パールを守っていたメイジーは必死になって「お逃げください!パールさんだけでも逃げてください!」と言いながら3匹の人喰い鬼を殺す。


セウソイは「余程勇者より出来るではないか」と言いながら前に出てくると、メイジーを金棒で殴り飛ばした。



一撃でやられてしまったメイジー。


メイジーは絶命の瞬間、天を仰いでいた。

耳には今も聞こえるブランドを袋叩きにする音と、ブランドの「やめ…」「たすけ…」と言う情けない声、そしてパールの「メイジーさん!」と言う声。



メイジーは絶命までの一瞬の間にブランドを呪い、パールの無事を願い、カインとライムに今すぐ来てくれと祈った。



その瞬間、空に2つの点が見えた。

点は徐々に大きくなって人の形になる。

メイジーには、それがカインとライムだとすぐにわかり、安堵の中この世を去った。

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