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妻が本の中に蘇り、勇者と結ばれる前に俺が魔王を倒すだけ。  作者: さんまぐ


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第10話 陰口。

十万の魔物を退けたカインは、報奨金を4等分して、それを自身の故郷に半分だけ送る。

それでも相当な金額で、故郷の忠誠心はコレでもかと増えていく。


男はブランドが動けないので、休息と訓練に時間を充てていると、ライムから「故郷に送っているの?」と聞かれた。

男は「ええ、僕は最初に万の魔物を送り込まれた時に、村の皆から早く魔物を倒せと石まで投げられ、倒せばこの力を悪魔のようだと言われました」と答えると、顔をしかめたライムは「ならなんで?」と質問を続ける。


「父母はまだ村にいます。多少過激な方法に出ましたが、家族や僕の居場所を守る為に金銭を使いました。動機はどうアレ、村は豊かになりました」


カインの半分嘘にライムは「なら金貸しは?」と聞く。


「どう伝わっています?」

「困窮している者に金を渡して、カインの悪口を言う人間を攻撃させてるって…」


恐らくパールの言っていた悪い噂とは、その辺りのことだろう。


「なるほど、かなり曲解されてますね。僕は無償で渡していますよ。ただ貸しても貸さなくても悪く言われます。貸せば困窮者を弄んで楽しいかと言われ、貸さなければ金持ちなのに人の心もないのかと言われます。僕が願ったのは、『誹謗中傷を行う者の誤解を解いて欲しい。一緒になって僕を悪く言わないで貰いたい』です。ただ何人目かの人は、僕を擁護する為に暴力に走った。それからは何も言えなくなりました。次の人から釘を刺せば、条件を変えたと悪く言われるからです」


ライムは困惑の表情で、「なんでそこまで悪く言われるの?石?」と、初めに石を投げられた話も出して聞いてくる。

男はカインとして村の方角を見て、「わかりません。人の心でもあやつる魔物がいて、人心を乱すとかなら解決は容易いのですけどね」と言って笑うと、ライムは心配そうにカインを見て、「あなたは人々を守って魔物を退けた。悪く言われる謂れはない。私からパール達に言っておくわ」と言う。


「ありがとうございます。今のままだと僕達はバラバラですよね。ブランドが復調しても、魔王退治どころではありませんよね。でもライムさんまで悪く言われては困るので、一度言ってみてダメならそれでいいですからね?」


男はライムを見送ると本の外に意識を向ける。


ブランドの奴は再起不能に近かったが、イリゾニアはそれを許さない。

不思議なことが起き続けて、激痛と共に再起可能な範囲まで怪我が治ると、後は自然治癒や薬品、治癒魔法頼みになる。

パールは甲斐甲斐しくブランドの元を訪れて、日々治癒魔法のヒールを使っている。


まだ3日。

たった3日でパールからは軽蔑された。

もし愛情が数値化されるなら、ゼロを大きく下回っているだろう。


それもこれも全てはブランドがパールを唆していた。


「アイツは勇者じゃないかもしれない。この勇者ブランドが倒せなかった魔物達を蹴散らす大魔法…。魔王が送り込んできた刺客で、全てが自作自演なのかも知れない」

「アイツは勇者の俺を見殺しにしていた。それが狙いだったのかも知れない」

「勇者の俺が旅立てないようにして、時間稼ぎをしているのかも知れない」


とにかく自分は謀殺されかけた被害者で、カインは裏切り者だと吹聴するブランド。

本来知り得ない陰口だが、男は外で読んでいて全て見知っている。

まるで高次の神のような状態で、心情まで見てしまう男は精神的に参ってしまうが、それを顔に出せばイリゾニアに付け入る隙を与えてしまう。


傷つくことは外の自分に任せて、中の自分はカインを演じ切ることにした。

だがまあパールも酷い。


[勇者ブランドがカインを疑っている。本当に魔王の刺客なのかしら?]


一瞬はブランドの言葉に異論を唱える考えもしたが、次の行からは[確かにそうよね。アレだけの力があったのに、自分では助けようともしないでライムさんと私に回収に行かせていたわ]となって、[酷い人。ライムさんは純粋で騙されやすそうだから、私と勇者ブランドは気を引き締めて疑ってかからないと]と結ばれていた。

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