表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界鉄道ゆる建設記 ~鉄道マニア、線路で世界をつなぐ~』  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
81/94

【E. 銃火と信号音】

銃口が一斉に光を放った。

夜を切り裂く音が、廃駅全体に響き渡る。

だが――弾丸が届くよりも早く、リリアナの腕の中の“時刻表の書”が眩く光を放った。


ページが自らの意思を持つようにめくれ、無数の線が浮かび上がる。

それは地図ではなく――人の心臓の鼓動。

光のレールが交差し、一本の“魂の経路”を描いていく。


「お願い……まだ、誰かの“約束”が残っているの……!」


リリアナの声が震えると同時に、空気が爆ぜた。

廃駅の床が微かに震え、奥の暗闇から“音”が近づいてくる――。


――チリン。

  カン、カン――。


古びた信号が勝手に点灯する。赤から黄へ、そして青。

まるで誰かが“発車”を告げているように。


そして、闇の奥から現れた。

黒鉄の機関車――心象列車イマジナル・トレイン

実体を持たない幻影の車体が、銀の光を纏いながらホームを突き抜ける。

車窓の奥には、笑顔の家族、恋人、旅立つ子どもたち……燃えた切符たちの“記憶”が映っていた。


「これは……まさか、“魂路ソウル・ライン”……!」

グランベルの瞳が揺れる。彼でさえ、その存在を伝承でしか知らない。

――人々の想いが繋がる時、線路は現実を超えて“魂の列車”を呼ぶ。


列車がホームを駆け抜けた瞬間、轟音と共に強風が巻き起こる。

兵たちは吹き飛ばされ、銃を放り出して地面に転がった。

廃駅の天井がきしみ、月光が一面に降り注ぐ。


悠真がリリアナの腕を掴む。

「行くぞ、今だ!」


二人は光の余韻を背に、ホーム裏の階段へと駆け出した。

背後で、幻の列車が夜空へと溶けていく。

その軌跡はまるで――未来へ続く一本のレールのように、空に残っていた。


信号音が、最後の合図のように遠くで鳴る。

カン……カン……。


そして静寂。

鉄と祈りが交差した夜、世界はまた一つ、見えない線を得た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ