【E. 再始動の決意】
夕陽が沈みかけ、森がゆっくりと夜の色に沈んでいく。
残光の中で、悠真はひとり、機関車の残骸の前に立っていた。
長い時を経て錆びついた車輪。
朽ちたレール。
それでも、どこか誇り高く空を見上げるその姿に――
悠真は“生きていた記憶”を感じていた。
悠真「……誰も走らせないなら、俺が走らせる。」
声は静かに、しかし確かに響いた。
悠真「お前の眠りを終わらせてやるよ。もう一度、世界を走ろう。」
その言葉に応えるように、風が森を抜ける。
枯れ葉が舞い、朽ちた煙突が微かに震え――
**“ぽぉお……”**と、かすかな汽笛の幻が空へ溶けていった。
まるで“ありがとう”と告げるように。
悠真は目を閉じ、胸の前で両手を重ねた。
掌の奥、車輪紋章が淡く輝く。
その光が足元へ伝わり、眠っていたレールの継ぎ目を照らす。
キィィン……と金属が震えるような音。
地の底で、何かが目を覚ます。
次の瞬間――
レールが光の帯となって走り出した。
森を抜け、丘を越え、遠くの地平まで。
錆びた線が命を取り戻し、夜の帳の中に一本の光の道を描く。
悠真「……始発の軌道、か。」
その声に合わせて、車輪紋章がさらに強く輝く。
まるで、“レールメイカー”としての資格を認められたかのように。
悠真はゆっくりと帽子をかぶり直した。
風が止み、あたりに静寂が戻る。
悠真「行こう。もう一度、世界を繋ぐ旅に。」
夜空の下――
再び始まった“鉄道と神の物語”の最初の一歩が、静かに刻まれた。




