【D. 古文書との遭遇】
悠真が機関車の影を回り込むと、そこに崩れかけた積荷室の跡があった。
錆びた扉の隙間から、古びた木箱が半ば土に埋まっている。
悠真「……積載物か? いや、千年も経ってるのに形が残ってるなんて。」
そっと蓋をこじ開ける。
中から、乾いた埃と一緒に――羊皮紙の束が現れた。
焼け焦げたような縁。けれど文字はまだかろうじて読める。
悠真は慎重に手に取り、陽の光に透かす。
そこに記されていたのは、古代語のような筆記。
一部が失われながらも、核心の一節がはっきりと残っていた。
《列車とは、神々の魂を運ぶ舟。
その道を繋ぐ者、軌道を描く者を――“レールメイカー”と呼ぶ。》
その瞬間――
悠真の胸元で、車輪紋章がふっと光った。
小さく、しかし確かに。
まるで古文書の言葉に呼応するように、淡い脈動を放っている。
悠真「……レールメイカー……?」
悠真「まさか、俺の転生理由って……」
彼の脳裏に、あの“駅員神ノリテツ”の声がよみがえる。
『線路を引けますか?』
今なら、その意味が分かる気がした。
それは単なる「趣味の延長」ではなく――神々の途絶えた道を再び繋ぐ使命だったのだ。
木々の影が長く伸びる。
夕陽の光がレールを照らし、千年前の鉄が一瞬だけ金色に輝いた。
悠真「……やっぱり、あんたたち、神の乗り物だったんだな。」
悠真「なら、俺がもう一度、その道を敷く。人のために――神のために。」
風が吹き、羊皮紙の束がふわりと舞い上がる。
散った紙片が空を渡り、森の奥へと流れていった。
それはまるで――
“鉄路の再生”を告げる始発の合図のように見えた。




