エピローグ
エピローグ
目をうっすらと開けると、ほのかな日差しが目に入り込んできた。
今日は金曜日だ。今日が終わればまた解放される。
ちょっと早起きできた嬉しみをかみしめつつ、ベッドから降りる。
今日は卵焼きにしようかな。
髭をそり、髪を整え、服を着る。
・・・よし、行くか。
金曜日にしては、割と雑念の感じない朝だった。
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電車に揺られながら、外の景色を見る。
なんだか今日は、心が落ち着いている。
・・・ああそうだ。確か明日はお母さんの誕生日だった。
帰りがけに何か買うか。
化粧品は、何が足りないって言ってたっけ・・・
時は過ぎてゆく・・・
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「ちっ先輩め。定時ギリギリで仕事振りやがって」
そう悪態をつきながら、駆け足で坂を上っていた。
実家に帰るときはいつも、この急勾配の坂を走っていたもんだ。
そして今日も。
「はあはあ」
横目に公園が見える。
何か本らしきものが見えたが、気にせず前へ進んだ。
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「ふう」
家の前に立つ。
実家に帰るのは一年ぶりだった。
「ただいま」
青空には夏の大三角が燦然と輝いていた。