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ガバメントマスター

ガバメントマスターの終戦

作者: 川里隼生

川里隼生二百作記念

 春から世界的に流行していた新型コロナウイルスの抑制に失敗し、日本国内でも感染者数が日に日に増加の一途を辿っていた二〇二〇年八月十五日の午前八時頃、JR渋谷駅で一人の男性が腹部を刺された。被害者は本田ほんだ基旗もとき。かつて国際テロ組織『世界統一委員会』から世界を救ったヒーロー『ガバメントマスター』の変身者だった。


 本田を刺した浅野あさの義憲よしのりは駆けつけた警察によって逮捕された。搬送中の救急車で、救急救命士がこのような本田の言葉を聞いている。

「きっと罰だ。これまで多くのテロリストを殺してきた。やっと解放された気がする。ああ、人殺しのいない世の中にするのは難しい」


 警察の取り調べにおいて浅野は『世界統一委員会に利用されていた兄を殺害された復讐』が動機であると供述した。浅野の兄は二〇一八年に発生した田町銃乱射事件の実行犯であり、本田の攻撃を受けて死亡していた。浅野には世界統一委員会への所属経験がなく、前科もなかった。にも関わらず、インターネット上では極刑が適当であるとする投稿も散見される。


 数百とされるテロリストを殺害することで七十億余りの人命を救ったヒーローは緊急手術の甲斐もなく、同日正午、死亡が確認された。奇しくも終戦記念の日だった。本田にも友哉ゆうやという兄がおり、世界統一委員会に洗脳されていた。本田は友哉も殺害している。兄をテロリストと断定し殺害して以降、政府関係者に世界統一委員会への復讐を行動目標にしているとも取れる発言をすることがあったという。


 自らも復讐の為にテロ組織を壊滅させ、人殺しのいない世の中を目指した本田基旗は、人殺しの復讐として刺殺された。ガバメントマスターを殺した男に与える鉄槌として相応しいものは何か。明日、東京地方裁判所で浅野に判決が言い渡される。

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