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深夜の怪音

作者: 相川 健之亮
掲載日:2021/10/03

私、片田舎の一軒家で一人暮らししてるんです。


山や田畑に囲まれた家なんですが、都心まで1時間半くらいで行くことができるので、便利なんです。


その家には3ヶ月間くらい住んでるんですがね。最近どうもおかしいんです。


夜に変なことが起きるんですね。



2週間くらい前ですかね。

翌日が休日だったので、夜更しをしていたんです。

深夜3時頃になって、やっと寝ようかなと思い、布団に入って部屋の電気を消したんです。


布団の中で目を閉じていると、変な音がすることに気がついたんです。


その音は家の外から聞こえてくるようでした。


ザクッ、ザクッ、ザクッ


という、大きなスコップか何かで地面を引っ掻くようにしている音でした。


近くの住人が外で作業をしているのだろうと、その日は一人合点しました。



しかし、次の日も同じ時間帯になると音が聞こえてきました。


ザクッ、ザクッ、ザクッ


正直少しイライラとしていました。


近所迷惑だ。

睡眠妨害だ。


窓を開けて怒鳴ってやろうか。

そんなふうに考えていた時でした。


「うわああああああああ」


という奇怪な声が外から響きました。

非常に低い、曇ったような声でした。


人間の声とはとても思えませんでした。

大型のクマか何かが家の周りを徘徊しているのではないかと思いました。


ザクッ、ザクッ、ザクッ


「うわああああああん」


またあの地面を引っ掻くような音とともに、異様な声が響いてきます。



もし本当にクマだったら危ないですし、なにやら非常に気味悪くも感じていたので、私は窓のカーテンの隙間から、家の外を確認してみたんです。


すると居たんですよ。


クマじゃありませんでした。

もっと大きいものでした。


そいつは二足歩行をしていて、私の家の周りを歩いているようでした。


異様に大きな頭は2階窓と同じくらいの高さにありました。

人間と同じような肌をしていて、服は着ていません。

その巨大な足を地面におろすたびに、ザクッ、ザクッという音がしているのでした。


僕はわけが分からず、パニックになりかけましたが、声をあげそうになるのを必死にこらえました。


そして、脈打つ心臓の大きな音を感じながら、カーテンを閉めようとしたその時でした。


目があってしまったんですよ。

その巨大な、人間のような何かと。


そいつの巨大な顔は、目を釣り上げて、口を大きく開けました。


そして、


「ガッガッガッガッ!」


とあの低く響く声を出して笑っているようでした。


私はカーテンを急いで閉め、布団に潜り込みました。


やばい、大変なことになった。

そう思いました。

家の外に化け物がいる。それだけでも恐怖でしたが、そいつに見つかってしまったことにより、より強烈な恐怖を感じていました。


それから私は布団にくるまって身を固めていましたが、外から音がしなくなったんです。


10分、20分と経っても何も聞こえてきません。


もう居なくなったのだろうか。

そう思いながら、体の硬直を解き始めた時。


コンコンコンコン


という音が聞こえました。


少し間をおいて、また


コンコンコンコン


と聞こえます。


私はあの化け物が、不気味な笑みを浮べて、2階の窓に手を伸ばして、指先で窓をノックするように叩いているのを想像して総毛立ちました。


ドンドンドン 


今度は別の面の壁が叩かれる音が響きました。


“あれ”はどうやら、また家の周りを歩きながら、手で壁を叩いているようなのです。

声を殺して、抜き足差し足で移動しながら、私が顔を出すのを待っているのです。


ドンドンドン


カンカンカン


コンコンコンコン


家のあちこちからそんな音がして、「グウ〜」という低い唸り声も聞こえてきます。


私は体を震わせながら固く目を閉じていました。


“あれ”は窓のすぐ近くまで顔を寄せ、じっとカーテンが開くのを待っているに違いありませんから。




どれくらいそうしていたか分かりません。


気がつくと、朝日がさし始めていました。


あの音や声は、もう聞こえてきません。

助かったんだ。

そう思い、安堵しました。



しかし、それだけでは終わりませんでした。


毎晩、深夜の3時になると、家の壁や窓を叩かれるような音がするようになったんです。


“あれ”が叩いているに違いないのですが、毎晩本当に恐怖でした。

しかも、その音は日増しに大きくなっているような気がして、どんどん睡眠が浅くなり、疲れも溜まっていきました。



ただ、私にはあれの正体に心当たりがありました。


その家の周りには山があります。


開発も塗装も何もされていないただの山なんですが、その山の中に古墳があるらしいんです。

なんでも、奈良時代の古墳だとか。

単体で、かなり大きなものらしく、陶器や人形が大量に出土したと聞きました。


ただ、そこから出土した陶器等は、異様に大きかったそうなんです。

普通に人間が使う物の、何倍も。


あの古墳が、私の家の周り徘徊する“あれ”に関わりがあるのではないかと思ってるんです。

正体を明言するまではいかなくとも、なんとなく、そういうことかもしれないと、自分の中では腑に落ちました。



そして、もう一つ。


昨晩のことでした。


深夜3時を過ぎると、またあの壁を叩く音が聞こえてきました。


私は固く目を閉じて、じっとしていたのですが、気づいてしまったんですよ。


寝室には照明から垂らした紐に、人形をくっつけているんですが、その人形は動くとカランカランと音が鳴るんです。


壁中を叩いている音に混じって、それが鳴るのが聞こえたんです。

かすかに。


カランカラン。

って。


で、気づいたんです。

家の外ではなく、中から音が鳴っているんですよ。


ドンドンドン

コンコンコンコン

って音が。


そして、想像しました。


“あれ”が身をかがめて、部屋の中の壁を叩いているのを。そしてその時、意図してかせずか、天井から吊るした人形に体が触れてしまい。

カランカランとかすかに音が鳴るのを。




私、もう住めないですよ。

近々出ていくつもりです。


今度、“あれ”と目があったらどうなってしまうか分かりませんから。




ちなみにその物件は千葉県にあります。


千葉って、結構遺跡とか古墳が多いんですよ。


周辺の住民も、変なことを体験している人いるんじゃないかなあ。


機会があれば聞いてみようと思います。




あなたの家は大丈夫ですか?


特に、近くに未開発の山があると危ないかもしれません。


私の家みたいに、山から何かが来るかも。



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