第二節 秘められた能力
能力バトルものと銘打っておきながら導入がそこそこ続きそうです申し訳ない( ´・ω・`)
車を地下駐車場の奥に停め、上月先生と羽田さんの後を歩いていく。通路の突き当たりに小さな扉がある。羽田さんがポケットからカードのようなものを取り出し扉の前にかざすと、自動で扉が開いた。中に入ると正面に受付カウンターがあり、右側の壁には扉がいくつかあった。
「本部長、お疲れ様です」
「ご苦労。エレベーターを地下9階にセットしてくれ」
「承知しました。右から2番目でお待ちください」
羽田さんは受付係と言葉を交わし、扉の前に立った。しばらくすると扉が開いた。どうやらこの部屋は受付兼エレベーターホールのようだ。
エレベーターに入り、扉が閉まった。中では誰も口を開くことなく、地下9階へと到着した。
「正面の部屋です。私は資料を取ってくるので先に入って着席していてください」と羽田さんが言った。
上月先生と部屋に入ると、中は10人程度が収容できる会議室になっていた。
適当な席に座り、上月先生に尋ねた。
「先生、ここはいったい……」
「お答えしよう。異能力者特殊犯罪対策国際本部というのは、名前の通り異能を使い犯罪を犯す人々、通称「異能怪人」を取り締まるための国連直属の専門機関だ。そして羽田さんは本部長。もちろんこういう組織があることは公表されなかったから、君が知らないのも当然だ」
「どうしてこのような組織ができたんですか?」
「異能力者は、並の人間では対処出来ないからね。同等に異能力者をぶつけるしかないのさ。だが、異能なんて世界で持っている人間は限られるし、自覚は困難だ。そこで、各国が協力して異能力者を捜索・訓練しようということになったのだよ」
「なるほど…」
ドアが開き、羽田さんが入ってきた。後ろにはもう一人男性がいる。茶髪をワックスで固めた、精悍な顔立ちの浅黒い肌をした外国人だ。
「ご紹介しましょう。こちら、アサーヴ・メノン教授。インド哲学の権威で、異能研究局長だ」
「お会いできて光栄です、明智さん」驚くほど流暢な日本語である。
「明智くん、メノン教授からはあなたの持つ異能について説明をしていただく。準備はよろしいかね」
「大丈夫です」とは言ったものの、正直頭の整理がついていなかった。
「では、説明をしましょう。明智さん、アカシックレコードというものをご存知ですか?」
「名前くらいは……」
「アカシックレコードとは元始からのすべての事象、想念、感情が記録されている、いわば宇宙の図書館のようなものです。普通の人間であれば存在すら知ることはできません。しかし、あなたは違う。あなたの見た夢、本に触れた時のビジョン……これらが意味することが何か、わかりますか?」
「お恥ずかしながら……」
「つまりあなたは、『アカシックレコードにアクセスすることが出来る』ということです」
あまりの驚きに言葉が出なかった。と同時に、夢やビジョンの光景が繋がっていき、脳内で意味をなしていった。
「僕が……アカシックレコードに……?」
「その通りです。あなたは『アカシック・ライブラリアン』と呼ばれる能力者です。過去の記録を参照し、歴史に名を残す偉人を異能英傑として現世に復活させられるのです」
「復活……というのは、文字通り?」
「厳密には違います。復活――我々は投影と呼んでいます――した偉人の肉体を構成するのは異能の源であるエーテルです。実際の身体と変わらないはたらきをしてくれますが、著しくダメージを受けた場合は消滅してしまいます。それからもう一つ。投影された偉人は必ず何らかの異能を持ちます。属性は四大性質――火・風・地・水――から一つ与えられます。」
「信じられない……」それらが可能だということにもだが、何より自分が能力を持っているということに驚いた。
「素晴らしいでしょう。アカシック・ライブラリアンは最も稀有な異能ですからね」
「さて、ご理解いただけましたか。それでは、私からお願いがございます」
羽田さんが改まった口調で言った。
「我々対策本部の一員となって、ともに異能犯罪に立ち向かいませんか」
突然の申し出に当惑した。
「僕でなくても、他の異能力者の方がいるのではないですか?」
「いいえ、あなたしかいないのですよ、現時点では。アカシック・ライブラリアンは非常に稀有な能力です。先日のモスクワの爆発にライブラリアンが巻き込まれまして、殉職してしまったんです。対策本部に所属するライブラリアンは彼一人だけだった。強力な切り札であるライブラリアンを失った今、勢力を急速に拡大する異能怪人に対処するにはあなたしかいないのです」
「その通り。君は世界を異能怪人から救うための切り札なんだ。確かに辛い任務ではあるが、その分やりがいもある。頼む、明智」上月先生が語りかける。
「しかし、僕にも生活はありますし、両親にはどうやって説明すれば……」
と、その時。会議室の扉が勢いよく開き、若い女性職員が駆け込んできた。
「本部長、大変です!我が国で異能怪人によるものとみられる殺人事件が発生しました!」
「なんだと?!場所はどこだ!」
女性職員の読み上げた住所と被害者名を聞いて、愕然とした。
―――両親が、殺された。
急展開にしてしまいました、ええそれは富士急ハイランド並の。ストーリーを進める上で必要な犠牲だったんです()
心情表現死ぬほど下手な人間なので次はいつもにまして低クオになる予感_(┐「ε:)_