君とゼロ距離
この作品にはGL要素が含まれております。
二人用声劇
登場人物
(想像しやすいように詳細設定も記載させていただいております。)
♀久世 環
・サバサバとした性格で常に音楽を聴いている。学校では野蛮で暴力的なヤンキーと噂されているが、実はとても真面目で勉強熱心。実際授業はほとんど聞いていない。しかし容姿は美人ゆえ裏ではモテモテ。
→生年月日:5月5日
→身長:164㎝
→好きな食べ物:イチゴショートケーキ 嫌いな食べ物:ワカメ
《容姿・服装・詳細》
・艶のある黒髪で、マッシュスタイルのアシンメトリーショート。左の前髪が長い。目はキリっとしており真っ黒な瞳をしている。
・制服の上に常に紺色のパーカーを羽織っており、スカートは短めにしている。
・青色のイヤホンを愛用している。
・千葉崎からは“久世”と呼び捨てされている。
♀千葉崎 青葉
・感受性豊かで好奇心旺盛。知りたがりな性格。父親が資産家だったが事業が失敗してしまい引っ越してきた。お金持ちであったためかなりの箱入り。世界の情報を遮断されていたためかなりの世間知らず。容姿は美人というよりかわいい系である。
→生年月日:2月22日
→身長:163㎝
→好きな食べ物:久世のお弁当 嫌いな食べ物:梅干し
《容姿・服装・詳細》
・引っ越してくる前はお嬢様学校だったためきっちり黒髪だったが、茶髪に染めた。内巻きのストレートセミロング。目はぱっちりとしておりブラウンの瞳である。
・制服は正装を着こなしており、黒色のブレザーがよく似合っている。
・久世からは“千葉”と略して呼ばれている。
※先生役が最初に出てきます。
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(SE 蝉の声)
久世「7月。教室の空気は外の熱気を窓から吸い込み、汗ばんだ体にまとわりついてくる。更に窓際の席だからか太陽の日差しが重さを持ったように肩にのしかかってくる。」
久世「あつ…」
先生「25日から夏休みだ!休みがもうすぐだからといって気を抜かぬように!」
久世「一生休みでいいのに…」
千葉崎「(小声)ねぇ!久世!」
久世「ん?」
千葉崎「(小声)今日の夜、この前みたいにプールで遊ぼうよ!」
久世「懲りないなwバレても知らないぞ」
千葉崎「(小声)久世も一緒ならいいよw」
先生「おい!千葉崎!久世!うるさいぞ」
千葉崎「ふぁ!す、すいません」
久世「いわんこっちゃないw」
千葉崎「えへへへw」
久世「このふわふわしている奴が私の相棒、千葉崎 青葉だ。苗字が長いから千葉と略して呼んでいる。」
千葉崎「久世!早く早く!」
久世「千葉、そっちから行くと監視カメラに映る。」
千葉崎「あ!そっか!さすが空き巣常習犯!」
久世「誰が空き巣常習犯だ。」
千葉崎「やっぱり私には久世がいないと速攻で指導室行きになっちゃうよ~w」
久世「褒めても何もないぞ」
千葉崎「思った時に言わないと損でしょ?久世はすごいんだよ~w」
久世「…やめろ。」
千葉崎「暗くっても顔赤いのわかるよ~w」
久世「千葉。死にたいのか?」
千葉崎「ご、ごめんなさいw」
久世「私と千葉は二年生になってから仲良くなった。きっかけは遡ること1か月前」
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久世「やっぱり深夜の学校に忍び込むのは背徳感があるな」
(SE フェンスの音)
久世「えっ…。誰かいるのか…。こんな時間に…?」
千葉崎「よいしょっと…」
久世「よく見えないな。もう少し近づいたら…。ジロリ。」
千葉崎「んーやっぱりもっと大きいライト持ってくるべきだったかな…」
久世「(あれは…千葉崎か?なんでこんな時間に、こんな場所に。)
(SE 葉っぱのカサカサ音)
久世「(やべっ…!!)
千葉崎「誰!?ん?あれ!久世さんじゃん!!!」
久世「………」
千葉崎「なんで隠れてるのぉ~?一緒に遊ぼうよw」
久世「………」
千葉崎「もぉ~先生に告げ口するよ!」
久世「はぁ…、それだと私ら両方とも指導室行きになるだけだぞ。」
千葉崎「はっ!!確かに!」
久世「てか、こんな時間に何しに来たんだ。」
千葉崎「何って、プールに泳ぎに来たの!」
久世「………馬鹿なのか?」
千葉崎「馬鹿じゃないもん!そういう久世さんだって何してるの!」
久世「私はただ校内でもぶらつこうかなって…」
千葉崎「やろうとしてること大差ないじゃんw」
久世「まぁ、たしかに。」
千葉崎「ねぇ、久世さん!一緒に泳がない?」
久世「はぁあ!?嫌だよ!水着も持ってないし。」
千葉崎「水着?水着なんていらないよ!この服のまま飛び込むの!」
久世「やっぱりお前馬鹿だろう。」
千葉崎「そうかな?私はただ今しかできない非日常を楽しみたいだけなんだけど…」
久世「…真面目そうな顔してても頭のねじは飛んでるんだな。」
千葉崎「久世さん辛辣!グサグサ来る…!」
久世「でも、非日常を楽しみたいってところはわからんでもない」
千葉崎「本当!?」
久世「うん。じゃなきゃこんな時間に学校に忍び込んだりしない。」
千葉崎「なるほど、久世さんも毎日が退屈なんだね!」
久世「…否定はしない。」
千葉崎「えへへwじゃあ私たち気が合うね!」
久世「まともに話したの今日が初めての奴に言われたくないな。」
千葉崎「あーそっか。じゃあ今から友達になろうよ!」
久世「………」
千葉崎「沈黙はOKってとるね!友達成立!私は、千葉崎 青葉!好きに呼んで!」
久世「…久世 環。久世でいいよ。」
千葉崎「よろしく久世!じゃあ…泳ぐぞ~~!」
久世「えっ!?!」
千葉崎「いっくぞ~~!おぉおりゃ!!!」
(SE 水に飛び込む音)
久世「お!おい千葉崎!服!」
久世「私はこの時のことを鮮明に覚えている。」
久世「夜のとばりに響く水しぶき、水中から勢いよく顔を上げこちらを見つめる君の瞳に、私は釘付けになっていた。」
久世「どこまでも真っすぐで、汚れのないその瞳は容赦なく君の世界に私を引きずり込む。」
千葉崎「おいで…」
久世「君の甘ったるい声に誘われ私は、“プール”という名の海に飛び込んだ。」
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久世「これが私と千葉の出会いだ。なんとも不思議である。」
千葉崎「久世!今日はどんな面白いことしようか?」
久世「今日は考えてきたことがある。」
千葉崎「おぉぉ!なになに!」
久世「着いてからのお楽しみ。」
千葉崎「うんうん!」
久世「千葉と出会ってから世界が灰色に見えることが無くなった。それは多分、千葉の好奇心を満たすためにあれやこれや考えて、飽きさせない様に試行錯誤しているからだろう。」
久世「千葉。お前のその好奇心はどこから湧いているんだ?」
千葉崎「う~ん。今の私はとっても自由にしているけど前の私じゃこんなことできなかったから…かな?」
久世「お前は箱入り娘だったもんな。」
千葉崎「久世にも話したでしょ、お父さんの事業が失敗してお金が無くなったから引っ越して来たって。」
久世「ああ」
千葉崎「その時はさ、周りの人たちもお金持ちでやること全部堅苦しかった。変なことしたらすぐにお家の名前に傷がつくし。だから、いい子でいようと思ってた。私にとっての自由は、みんなが当たり前に得られるものだったから小学校とかでは金持ちなのに~とか結構言われて悲しかったなぁ。」
久世「千葉崎家に生まれて後悔してるか?」
千葉崎「ううん!全然だよ!私は、お父さんも、お母さんも大好き!私を産んでくれたんだもん!それに…」
久世「それに?」
千葉崎「それに、こうやって久世に出会えたんだもん!久世に出会ってなかったら私は、こんなに毎日楽しく過ごすことできなかったって、断言できるわ!」
久世「お前はそういう恥ずかしいことサラって言っちまうよな。」
千葉崎「今朝も言ったでしょ?思った時に言わなきゃ損だよ!」
久世「………」
千葉崎「久世?」
久世「…がと」
千葉崎「ん?」
久世「ありがとう。そう言ってくれて。」(若干照れ気味)
千葉崎「へへ~んw久世って、普段は壁作って人を寄せ付けないけど、私といる時はいろんな表情見せてくれるよね!私実はそれがものすごくうれしいんだ!」
久世「や、やめろ…!」(照れる)
千葉崎「本当にかわいいね、久世!」
久世「…っつ!!」
千葉崎「さっ!早く行こ!どこ行くの?」
久世「屋上…」
千葉崎「よーし!いくぞー!ゴーゴー!」
久世「う、うん」
久世「ほら、またそうやって私の手を取るんだ…」(切なそうに)
久世「困ったことに私は、この千葉崎 青葉という女に惹かれてしまっているらしい。」
久世「今思えば出会った時には既に惹かれていたのだろう。」
久世「千葉に対する思いが日に日に大きくなっていく。今まで知らなかった特別な感情…」
久世「これは紛れもなく“恋”なのだと私は知ってしまったのだ。」
千葉崎「着いた着いた!相変わらずのピッキングスキル!」
久世「うちの学校の鍵は鍵じゃない。セキュリティが甘すぎる。」
千葉崎「久世がすごいんじゃない?」
久世「私は全然すごくない。私のはお遊びレベル」
千葉崎「将来空き巣で食べていくつもりなの?」
久世「お前は私を犯罪者予備軍だと思っているのか。」
千葉崎「うん。」
久世「うんって…」
千葉崎「ところで屋上で何するの?」
久世「夏の風物詩といえば?」
千葉崎「うーん、あの爆破するやつ!」
久世「お前の思考回路はなぜそんなにぶっ飛んでいるんだ。花火のことだろそれ。」
千葉崎「そうそう!花火!名前が出てこなかったw」
久世「はぁ…。まぁでも、正解」
千葉崎「えっ!本当に!?私花火初めて!」
久世「そうなのか?意図せずサプライズになったなw」
千葉崎「さっすがだよ久世!ありがとう!」
久世「バケツに水汲んでくる。蝋燭にこのライターで火付けといて。」
千葉崎「うん!」
久世「それからの千葉は終始狂ったようなテンションだった。」
千葉崎「見てみて!久世!この花火色変わるよ!!!」
久世「おーう」
千葉崎「久世!ロケット花火って宇宙まで飛ぶの!?」
久世「んなわけあるかい!」
千葉崎「爆竹…久世、これ爆弾???」
久世「頼むから爆竹だけはやらないで、警察来る」
久世「こんな感じである。数百本用意した花火も残すは線香花火だけになった。」
千葉崎「はぁ…花火ってこんなにも楽しいんだね~」
久世「よろこんでくれたならよかった」
千葉崎「最後は、この線香花火だけか…」
久世「線香花火は今までの花火とは違うぞ」
千葉崎「どう違うの?」
久世「やってみたらわかるよ」(微笑む感じで)
(SE 線香花火の音)
千葉崎「な、ナニコレ!!すっごく綺麗!」
久世「でしょw私は線香花火が一番好き」
千葉崎「うん!私も線香花火が一番好きだなぁ。小さいけど一生懸命燃えてるのが儚くて、とっても素敵…あぁ、もう消えちゃったよ~」
久世「私のも消えてしまったな。…なぁ千葉、ゲームをしないか?」
千葉崎「おお!いいねぇ!やろうやろう!」
久世「この線香花火が先に落ちた方がなんでもお願い聞くってどう?」
千葉崎「おもしろいねぇ!さすが久世!よーし負けないぞ!」
久世「じゃあ、行くぞ!スタート」
千葉崎「がんばれ!燃えろ燃えろ!」
久世「そう簡単に落ちるんじゃないぞ花火君~」
千葉崎「あっ!揺れてる!揺れないで花火君!」
久世「いいぞもっと揺れろ!」
千葉崎「久世酷い~!あっ久世のも揺れてる!」
久世「こりゃどっちが勝つか分からなくなってきたな」
千葉崎「うんうん!がんばれ花火君!君ならやれるぞ!」
久世「いっけぇ~~~~!」
千葉崎「はぁうう!私の負けだぁぁぁ…!」
久世「ふふん。これが線香花火検定2級の実力だ!」
千葉崎「絶対ないでしょそんなの~!微妙に2級なのも腹立つぅ!」
久世「でも、楽しかったな」
千葉崎「うん!で、久世は何がお望み?」
久世「えっと…」
千葉崎「変なのはやめてね?私にできそうなやつにして?」
久世「その…あの、夏祭り…」
千葉崎「夏祭り?」
久世「8月にある夏祭り、一緒に行かないか?」
千葉崎「いいよ!行くに決まってるじゃない!」
久世「そうなのか?」
千葉崎「うん!だってゲームに勝ったのは久世だもん!それに…」
久世「それに?」
千葉崎「久世がいるなら私はなんだって楽しいんだ~!」
久世「…っ!!またそうやって…」
千葉崎「私にとって何をするかより、誰といるかだよw」
久世「かわいい顔して、かっこいいこといってんじゃねぇよ。」(照れながら)
千葉崎「へへ~んw」
久世「じゃ、じゃあ、夏祭り…楽しみにしてる。」
千葉崎「私も!」
久世「…帰ろうか」
久世「もちろん私はこの日眠れなかった。」
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久世「そして!夏休みに突入した!私と千葉は、ほぼ毎日遊び倒した。」
(ポップなBGM)
千葉崎「久世~!めっ目が回るよぉぉぉ」
久世「ち~ば~左だぞ左~」
千葉崎「ひょえええええ」
久世「覚悟するんだな千葉。お前に明日はないぞ」
千葉崎「久世さ~ん油断したらあきまへんわ~」
久世「いざ!尋常に勝負!」
千葉崎「おらぁくらえ!ウォーターバルーン千葉崎スペシャルアタック!」
久世「ふん!甘いわぁ!その程度の攻撃で私がやられるとでも?」
千葉崎「ぐぬぬぬ!」
久世「お、おい千葉…!や、やっぱり帰らないか!?」(震え声)
千葉崎「ふふふ、久世にも怖いものがあってよかった!」
久世「だからって肝試しってなんだ!」
千葉崎「ビビっている久世が見たいが為に、引っ張ってきてよかったぁ」
久世「だからって丑三つ時に墓地に来る必要ないだろ!」
千葉崎「ビビりすぎだよ~!本当に出るわけ…」
(ガサガサ音)
千葉崎・久世「ぎゃあああああ!!!でたぁぁぁぁぁ!!!」
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久世「そして遂に…夏祭り当日。」
久世「きょ、今日は、な、夏祭りだ…。ん?千葉からライン来てる…」
久世「“おはよう!今日お祭りだね!久世の浴衣楽しみにしてるね!”」
久世「………。おかーさん!浴衣あったけ~~!」
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(夏祭りBGM)
久世「…家にあったおさがりの着物着てきたけど…私、変じゃないかな…」
千葉崎「く~ぜ~!おまたせ~!」
久世「お、おう」
千葉崎「わぁ!久世!浴衣すっごっくかわいい!天使じゃん!」
久世「ち、千葉もすごくかわいい…」
千葉崎「えへへWやった~久世に褒めてもらうためにポニテにもしたんだ~」
久世「…うん。最高。」
千葉崎「がんばった甲斐があったよ~W」
久世「千葉は私を殺したいの?」
千葉崎「えっ!?そんなわけあるかい!WどういうことよW」
久世「無意識なのかすごいな。」
千葉崎「んー!もー!」
久世「ごめんW」
千葉崎「ほら!久世先生!私の初めてのお祭り楽しませて?」
久世「まかせて」
久世「千葉これが金魚すくい。」
千葉崎「ふぁああ!すごい!なにこれ!お魚さんかわいい~!」
久世「これがわたがし。」」
千葉崎「雲だ!雲を食べれるの!?」
久世「これがチョコバナナ。」
千葉崎「この世にこんなにもおいしい組み合わせがあったとは…」
久世「これは射的」
千葉崎「久世~全然取れないよ~」
久世「千葉どう?初めてのお祭りは。」
千葉崎「私が知らないことばっかりで最高。」
久世「それはよかった。はいこれラムネ」
千葉崎「ありがとう~!…ぬぐ!ゲホゲホ!」
久世「大丈夫か?」
千葉崎「大丈夫大丈夫Wこの飲み物もしゅわしゅわして不思議な味だね」
久世「また発見だな」
千葉崎「久世、今日は本当にありがとう。私をこんなにも輝いた世界に連れてきてくれて。」
久世「私以外でもできるよ。たまたま私だっただけ。」
千葉崎「そんなことないよ。これは私が勝手に思っているだけなんだけど…」
久世「なに?」
千葉崎「私たちの出会いって運命だとも思うの。」
久世「運命?それは言いすぎじゃない?」
千葉崎「ううん。私たちの出会いは、出会うべくして出会ったんだよ。」
久世「………」
千葉崎「だってさ、普通に考えたら深夜の学校で出会うとか漫画みたいじゃんW」
久世「たしかに」
千葉崎「私に必要な人だったから、神様が私と久世を引き合わせてくれたんだよ」
久世「随分ポジティブだなW」
千葉崎「うまく説明できないんだけど…何が言いたいかって言うと。出会ってくれてありがとう!」
久世「きゅ、急だな。私の心臓に悪いから、そういうこと言うときは前もって言ってくれ。」
千葉崎「だって、いきなり言ったら久世の照れ顔見れるって気づいちゃったんだもん!」
久世「…っ!?ちょっ!えっ!?はぁあ!?」
千葉崎「顔真っ赤だよ~W久世は本当にかわいいよね~」
久世「いっ!いきなりなんだよ!」
千葉崎「えへへWかわいすぎてイタズラしたくなっちゃったW」
久世「殴るぞ」
千葉崎「やぁめぇてぇ~」
久世「でも、私も千葉と出会えてよかった。千葉に出会ってから私の世界も鮮やかになった。」
千葉崎「んふふん~うれしいなぁ~」
久世「私からも、出会ってくれてありがとう。」
千葉崎「千葉崎 青葉と久世 環は最強ペアだね!」
久世「そうかもなWあっ、もうすぐ花火始まるぞ。」
千葉崎「打ち上げ花火って、この前の100倍はすごいんでしょ?」
久世「手持ち花火なんか非にならないよ~」
千葉崎「わくわく!」
久世「千葉、少し移動してもいいか?もっと見える所に行こう」
千葉崎「うん!行こう行こう!」
久世「ここなんだけど…」
千葉崎「わぁ!すごい!こんなところに穴場があったんだね!」
久世「こっち側は街灯もないし、家もないから人が来ないんだ。この公園もベンチしか無いし人が来ることは滅多に無い。」
千葉崎「久世は物知りだねW経験豊富だW」
久世「そんなことは…」
千葉崎「花火始まるまで、ラムネで乾杯しようか!」
久世「うん。それじゃあカンパーイ!」
千葉崎「カンパーイ!」
(SE 花火の音)
千葉崎「わぁ!すっ、すごーーーい!!」
千葉崎「綺麗…」
久世「私は、花火で照らされる千葉の横顔を眺める。花火なんかよりその整った横顔はどこまでも純粋で澄み切った笑顔を浮かべていた。」
久世「まただ、出会った日と同じあの不思議と吸い込まれる感覚に襲われる。」
久世「あぁ…きれいだ…」
久世「私の胸の奥が徐々に熱くなっていく。この熱さの正体は何なのだろう。夏の暑さにやられているのだろうか。それとも…」
久世「私の体は徐々に理性を失い千葉の体に引き寄せられる。もう止まらないし、止めることもできない。」
千葉崎「久世みてみて…っ!?!?」
千葉崎「っ…んん…」
久世「私の唇は、千葉の小さな唇を軽く覆い隠した。恐らくほんの数秒のことなはずなのに、何時間にも感じられた。」
久世「…はぁっ。」(吐息)
千葉崎「…く、久世?」
久世「やってしまった。やってしまった。やってしまった。」
久世「私は黙って俯いた。この場から逃げ出したい。いや、千葉に嫌われるくらいなる死んでしまいたい。千葉は、どんな顔をしているのだろう。いきなりあんなことされたら、千葉だって引いてしまうだろう。」
久世「ごめん」(絞り出す様に)
久世「私は絞り出す様に声を出す。花火の音にかき消される程小さな声で。」
千葉崎「…久世。」
久世「………」
千葉崎「今のはどういう気持ちでキスしたの?」
久世「………」
千葉崎「ねぇ、久世?大丈夫だから教えて?」
久世「私は、恐る恐る顔を上げる。千葉は、私の手をそっと握り、あの瞳で真っすぐ私を見つめる。」
久世「わ、私は…。千葉のことが…」
千葉崎「うん」
久世「千葉のことがす、好きだ。」
千葉崎「久世…。私もだよ」
久世「千葉は、そう言うと私の唇を軽く奪った。」
久世「ちっ…!?…ん!!……。」
千葉崎「えへへ」
久世「ど、どうして…。」
千葉崎「さっきも言ったでしょ?私も久世のこと“恋愛として”好きだよ」(微笑みながら)
久世「…えっ!?」
千葉崎「それとも久世の好きは、私の好きと違う?」
久世「う、ううん…」
千葉崎「よかった~w花火の途中に告白しようと思ったのに~wいきなりキスされて、私ビビっちゃった~w」
久世「ご、ごめん…。千葉があんまりにも綺麗で…」
千葉崎「キスしたくなっちゃた?」
久世「…っ!!そ、その言い方だと私が欲求不満みたいじゃないか…」
千葉崎「やっぱり、久世のその照れ顔は私だけが知っていたいな~!」
久世「こんな顔…千葉以外に見せたことない…」
千葉崎「久世。」
久世「な、なんだよ」
千葉崎「私たち、付き合おうよ」
久世「うん…ん?えっ!?つ、付き合う!?」
千葉崎「うん、嫌だった?」
久世「いや、じゃないけど…私たち女同士だよ?千葉はそういうの抵抗無いの?」
千葉崎「んー。私は別に?だって私の好きって気持ちを、他人が否定しようが、拒絶しようが、全部その人の勝手だもん。世の中にはたくさんの人がいるしそんなこともあるでしょ~」
久世「でも…」
千葉崎「久世は真面目だね~w」
久世「ごめん…」
千葉崎「久世、私はね、男だからとか女だからとかじゃなくて、久世 環っていう人間を好きになったんだよ。久世はどう?」
久世「わ、私も…私も、千葉崎 青葉という人間が好きだ!」
千葉崎「それが聞きたかったよ。久世、私たちは私たちだよ。それはこれからも変わらない。」
久世「うん」
千葉崎「久世、こらからも…」
久世「まって!わ、私から言わせてくれない?」
千葉崎「うん!いいよ!」
久世「千葉…私とこれからも一緒に居てくれませんか?」
千葉崎「もちろん…」
久世「千葉は私の頬に手を滑らせ、ふわりと私の唇に優しくキスをした。」
久世「あんなに大きな花火の音も今では心地いい。終わらないで欲しいとこんなにも願ったことは無いだろう。」
久世「私たちの関係は、周りから見たらけして普通とは言えないのかもしれない。けど、好きという感情に正解も不正解も無いのだ。私たちは私たちの幸せを、私たちのやり方で見つけるのだ。」
千葉崎「久世、大好きだよ」
久世「私も」
―END―
この作品を見つけていただきありがとうございました。
声劇台本としてだけでなく、一つの読み物として楽しんでいただけると幸いです。