90 不穏な空気
90 不穏な空気
人混みの中
ベルグの様子を伺う一人の男。
全身に黒いローブを纏い
顔は確認できない。
動きから只者でない事がわかる。
異様な姿だが、誰も気に留める様子はない。
、、、
、、
洗練された手付きで
剣を鞘から抜く。
ベルグに注目が集まり、
誰一人男の存在に気づかない。
ベルグが馬車に戻ろうとするのを見て
男の雰囲気が変わる。
一瞬で男は消えたように見える。
男の動きが速すぎ誰も姿を捉えられ無い。
一瞬でベルグとの距離を詰める男
「!!」
ベルグだけが敵意の接近に気づき剣に手をかけるが、男の驚異的なスピードにベルグは僅かに遅れる。
剣がベルグに迫る。
ガッキン!!!
「!!」
驚く男
なんとか剣が間に合うベルグ
しかし万全の体勢ではなく。
男の剣の衝撃を受け流せない。
「くっ」
顔を歪めるベルグ。
そのまま吹き飛び
後方にあった酒場の二階まで吹き飛ぶ。
突然の出来事に理解が追いつかない
護衛騎士と観衆だったが、、、
理解が追いつき始める。
「襲撃だーー!?」
「ベルグ様が襲われたぞ!!」
「帝国の暗殺者だ!?」
「襲撃者だ!」
観衆が騒ぎ出すが、
男は動こうとしない。
男は冷静だった。
男を止める事のできる脅威はベルグ以外いない事を知っていたのである。
「動くな!!」
護衛騎士が取り囲む。
「貴様!!生きて王都から出られると思うなよ!!」
護衛騎士長が凄む。