71 クラン 『箱』
71 クラン 『箱』
「『箱』の冒険者と会うのは初めてだよ。」
「トラン兄貴を入れて僕たち3人しかいないんで」
苦笑するアルホ。
(3人のクランなんて聞いたことないぞ。クランとして成り立つのか?)
「あっ。あれ!ヤマさんのお仲間さんじゃないですか」
2人の冒険者がこちらに走ってくる。
「ヤマ!!」
「よかった無事で」
ヤマと抱き合う冒険者達。
「君たちがヤマを助けてくれたんだな。
ありがとう。」
「ありがとう。」
「いえいえ。気にしないでください。
それじゃ僕たち急ぎで帰る用事があるので!」
ヤマを仲間に引き渡すと急いで立ち去ろうとする2人
「いくぞバルカ」
「おう!」
2人はものすごい勢いで去っていく。
「あっ!本当にありがとう!
今度きっちり礼させてくれ!!」
ヤマが2人の背中に向かって叫ぶ。
その声に反応し手を振りながら2人は去っていった。
「ヤマ、若い冒険者だったな。」
「あれは子供じゃないのか?」
「彼らは『箱』の冒険者らしい。」
ヤマがつぶやく。
「!!
『箱』ってあのA級冒険者を倒したって言う冒険者の?たしか名前は…」
「トランだろ。」
「そうそう」
「彼らはそのクランの冒険者だ。」
「大丈夫だったのか?
トランって言ったら、ヤバイ噂しか聞かねぞ。」
「オレもそう思ってたんだが…
彼らと話してみるとどうも噂は違うように思う。」
「なるほど、『赤獅子の牙』がやられた腹いせに変な噂流したんだろ。」
「…やりそうだな。」
「5大クランはメンツが大切だからな」
ヤマはベテラン冒険者だった。
数々の冒険者をみてきたが、仲間を大切にしているクランかどうかは、冒険者の表情を見ればすぐわかる。
アルホ達はとても明るく、
そしてクラン長であるトランをとても尊敬していた。
(『箱』、噂と違っていいクランじゃないか。
しかし、B級上位の魔物を倒せる冒険者が2人もいるクランか…
しかもその上のトランはそれ以上の怪物だろうな。ある意味やばいクランが出てきたもんだ。
もしかしたら100年間崩れなかった、
5大クランのバランスを崩すクランになるかもな…
まっ、それはさすがにないか)
いつもありがとうございます。
ペースダウンしてます。
すみません。