64 魔界の門1 フヤキータ山脈
64 魔界の門1 フヤキータ山脈
トランはフヤキータ山脈を登っていた。
「お出ましか」
巨大な熊の魔物が現れる。
全身赤く。目は黒い。爪は異常に長く、トランを両断できそうなほどだ。
「次から次へとA等級がゴロゴロいるな。」
トランが山脈を登り始めて5日がたっていた。
その間ほぼ休み無く戦い続けていた。
多い時は同時に三体のA等級と戦うこともあった。
致命傷はなかったが、
トランの体には多くの傷が刻まれていた。
トランはほとんど寝ていなかった。
昼夜問わず魔物は襲ってくる。
まさに魔界の門。
魔界から無限にわいてくるように魔物が押し寄せてくる。
「はっ!」
巨大な熊の魔物の首を切り落とすトラン。
「さすがにヤベーな」
、
、、、
魔物達との死闘は10日が過ぎた。
疲労は限界に達していた。
自身の体重が重く感じる。
頭は割れるようにいたい。
口の中は乾燥し、視界は霞んでいる。
、、、、
30日を過ぎた。
ほとんど意識が無く戦い続けた。
トラン自身は本当に戦っているのかすら分からなくなっていた。
今自分は何をしているのか?
自分は何処にいるのか?
自分が何処を目指しているのか?
わずかな気配を頼りに剣を振り続けた。
感覚が研ぎ澄まされていく。
魔力が研ぎ澄まされていく。
、、、、
100日が過ぎた。
、、、
トランは寝ていた。
そして戦っていた。
トランは寝ながら戦うことができるようになっていた。
なぜ寝ながら戦えるようになったのか?
トラン本人もわからなかった。
極限の状態がもたらした奇跡か。
トランに備わっていた才能か。
神の悪戯か。