63 旅だち
63 旅だち
トランたちは拠点にいた。
「しばらくのあいだ旅に出かけてくる。」
「どのくらいかかりそうなんですか?」
「今回は分からんな。すぐ帰ってくるかもしれないし、帰ってこれないかもしれない。」
「なるほど!クランのことは任せてください」
「これ渡しとくわ。クラン運営に使ってくれ」
トランは金貨の入った袋をアルホに渡す。
「今回行くとこはどこなんですか?」
「フヤキータ山脈ってとこで、なかなか強い魔物がいるところだ。」
「さすが兄貴!」
バルカがいきなり叫ぶ。
「アリサさんには言わないんですか?」
「あいつに言うと面倒だからな。うまく言っといてくれ。」
「なるほど、、、。分かりました。」
「じゃあな」
トランはあっさりと出て行った。
、、、、
トランが旅立ちしばらくの事
バルカとアルホはギルドに依頼を受けにきていた。
「アリサさん!依頼を受けにきました!!オススメの依頼をお願いします!」
バルカが元気良く喋りかける。
「バルカさん、アルホさん、おはようございます。少し待っててくださいね。」
アリサは書類の中から一枚の依頼書を出す。
「ボサ村からブラックスネークの討伐依頼が来ています。危険度はC級下位ですが、複数体いるようなのです。この依頼がオススメですが、どうでしょう?」
「その依頼でお願いします。」
アルホが言う。
「楽勝っす!」
バルカが言う。
「そういえばトランさんを最近見ませんね。」
アリサが笑顔で聞いてくるが、目が笑ってない。
「、、、」
アルホとバルカは押し黙る。
「何かご存知ですか?」
笑顔のアリサ
「えっと、、、」
「何かご存知ですよね?」
笑顔アリサ
バルカはあまりの恐怖にガタガタと震え出した。
「しばらく旅に出ると、、、」
アルホが小さい声で答える。
「え!トランさん旅に出ちゃったんですか!何も聞いてないですよ!」
「何処に行ったんですか!?」
「、、、」
「フヤキータ山脈ってとこに行くって」
アルホが下を向きながら答える。
「フヤキータ山脈!!そんな、、、
どうして止めなかったんですか!!
あんな危険なところ、、、」
アリサの表情がいきなり変わる。
鬼気迫る勢いだ。
「えっと、、、
兄貴が危険なところにいくのは
いつものことですよ?」
「違うんです!フヤキータ山脈だけは行っちゃダメなところなんです。誰も登ることができない。あの勇者でさえ諦めた魔境なんです!」
「「!!!」」
「トランさん、、、
ホントにあなたはいつもいつも
何を考えているのですか。」