61 情報屋 再
61 情報屋 再
「おい。」
トランは情報屋に話しかける。
よくもガセ情報を掴ませたな、、と
「!!!、、、アンタは、、、」
(なんでこいつ普通にいるんだ。ワイバーンのところに向かわせたはず、、、)などと考えていた。
「、、、竜は見つかったりましたか?」
「ふざけんな!
よくもガセ情報掴ませたな。
覚悟はできてんだろうな。」
トランは剣を抜く。
「ちょっと待ってくれ、、、」
(やばい殺される。こいつの目はやばい。ためらわない目だ。)
「ちょうど新しい情報が入ったんとこなんです!
今度は信用できる筋からの情報なんで、聞いてください。」
助かろうとするあまり適当なことを言う情報屋。
「、、、言え。」
「はい、、、」
トランの剣が首の直ぐそばで止まっている。
「フヤキータ山脈の向こう側に飛んでいく竜の姿を見たと、、、。商人から情報が入っています。」
もちろんこの情報は情報屋の作り話である。
「『魔界の門』か、、、。」
トランが呟く。
フヤキータ山脈
王都ナハラの南の果てにある巨大な山脈。
フヤキータ山脈を越えた先は人類未踏の地となっていた。フヤキータ山脈は別名『魔界の門』。
山脈にはA級を超える強力な魔物が多く生息しており、魔界に繋がる門として人々から恐れられている。伝説に登場する勇者でさえ登るのを諦めた魔境である。フヤキータ山脈に登って帰ってきたものはいない。
「なるほど、、、
誰も行ったことがない場所なら竜がいても不思議じゃないな。」
「行ってみるか。」
トランは嬉しそうに笑う。
「え!?」
(コイツ正気か!まさか行くつもりじゃ、、、。確実に死ぬぞ!)
情報屋にとってトランの反応は予想外だった。『魔界の門』と聞いたら諦めると思ったからだ。
「冒険者の旦那、さすがに今回はやめた方が、、
、。竜はいないかもしれないですし、危険すぎますし、、、。」
「でも飛んで行くの見たんだろ?」
「まーそうなんですが、、、。」
焦る情報屋は下を向く
「じゃオレ行くわ!
情報ありがとな!」
「ちょっ!旦那!」
トランを呼び止めようと顔を上げる。
、、、
トランはもういなかった。