55 トランの謎
55トランの謎
「気になってたんですが、」
「なんだ?」
「副団長ベルグ様とトランさんってどういった関係なんですか??。すごい親しそうだったんですが、、、。」
アリサは今回の件で、1番気になってた事を聞く。
ベルグが冒険者ギルドにきた時、誰もが驚いた。何故、冒険者同士の喧嘩にこんな大物が動くのかと、、、。
ベルグ・ジーカは王都で知らない者がいないほど有名な騎士になっていた。
数々の戦果、伝説を残し、最年少という若さで騎士団副団長になったベルグ。
圧倒的な実力とその甘いマスクはベルグを一気に人気者へと押し上げ、王都を代表する騎士の1人として王都民に広く知られていた。
ベルグがそんなことになっているとは知らないトランであった。
「あぁー。そう言えば言ってなかったな。」
「ベルグはオレの友達だ。」
トランは笑う。
トランのこんなに優しい笑顔を初めて見るアリサ。(ドキッ、、、)
(今のは、、、)
「え、えっと、なんで騎士団副団長様とトランさんが友達なんですか?」
「あいつは騎士学生時代の同期だ。」
「えっ、、、騎士学生、、、」
「冗談ですよね?」
「いや、事実だ。オレは騎士学生だった。」
「、、、、
ええええーーー!!!
トランさんってもしかして、、、。貴族のお坊ちゃんとかだったりするんですか!?」
「お前うるさいぞ!
オレが貴族に見えるか!?
平民に決まってるだろ!」
「はい、、、貴族にはまったく見えないです。
、、、
トランさんが騎士とか想像できません、、、。」
考えこむアリサ
「ああ。
運よく入れただけだ。」
トランは無表情で答える
、、、
「というか!なんで!
騎士学校に入ったのに冒険者になってるんですか!?」
アリサがまた叫びだす。
「ホントにうるさいなお前」
「教えてください!!
騎士になるのは、ものすごく名誉なことですし、
誰でもなれるわけじゃないですよね?」
「はぁ〜」
呆れるトラン。
「オレはもともと騎士になるため騎士学校に行ったんじゃない。飯をタダで食わしてやると言われたから行ったんだ。
騎士になるなんて一言も言ってない。」
「トランさん!
騎士学校に入るのに騎士にならないなんて普通誰も考えないですよ!!
詐欺ですよ!トランさん!
食い逃げです!泥棒です!」
「黙れ!オレが何しようがオレの自由だ。
それにオレが騎士に向いてると思うか!?」
、、
沈黙が流れる。
、、
、
「、、、確かに。
、、、
トランさんが騎士にならなかったことで、
王都の平和は、、、
守られたかもしれません。」
静かになるアリサ
「死にたいのかアリサ」
無表情のトラン
「いやー
冗談ですよ、、。」
アリサは冗談ではなかった。
「、、、」
「ちなみにどこの騎士学校だったんですか?」
「アルトールだ」
「えっ!超名門じゃないですか!
今からでも騎士に戻ったら、、」
「じゃ帰るぞ」
、、トランはアリサに背を向け去っていく。
「ちょっと!トランさん!
、、、いっちゃた
アルトール騎士学校なら出世間違いなしなのに、、、
、、、
やっぱりトランさんは異常だ、、、」
、、、
アリサはトランのことを討伐依頼大好きの狂人と思っていた。
しかし、今回の一件でAランク冒険者を圧倒したこと、ベルグ・ジーカと仲がいいことを知り、
(もしかしてトランさんってすごい人なのかも)と上方修正されることとなった。