53 処分
53 処分
ギルドからの処分が決まった。今回の抗争の原因となった『赤獅子の牙』のハヤキとラババには1週間の活動停止処分が決まった。トランには3日の活動停止処分となった。
トランは騎士団の訓練場でベルグと剣を交えていた。
「はっ」
ベルグの剣がトランの首元で止まる。
「負けたーー」
大の字で倒れるトラン。
「魔力を体に纏わせて身体能力を上げるなんて、、、」
「トランは相変わらず変なこと考えるね」
「おまえみたいな化け物が他にもいるかも知れないからな。」
「僕をなんだと思ってるんだ。」
「人のような化け物」
「はぁ〜、まったく!トランは変わってないね。」
「おまえが騎士団副団長になってるとはな。」
「スゲーな。」
「ははは、これでも王都騎士団ではかなり偉いね。そこら辺の貴族よりも権力はあるよ。」
悪い笑顔をするベルグ。
「今回は助かった。アリサのこともな」
「それにしても、あの副クラン長のやつ強そうだったな。」
「ナハラサさんの事知らないの?」
「有名なのか?」
「超有名だよ!冒険者で知らないのトランぐらいじゃない。ははは。」
「『赤獅子の牙』のナハラサって言ったら最強の冒険者の1人だよ。全冒険者の中でも十指には入る実力者って団長が言ってたよ。」
「王国で誰が最強かって話しになったら、必ず出てくる名前だよ」
「へー、、、」
(ぶっ飛ばすとか言っちゃた、、、。目付られなければいいけど。)
「今、ぶっ飛ばすとか言っちゃたって思ってた?」
「なぜわかった!お前心も読めるのか?」
「トランの顔に出るからね。」
「『赤獅子の牙』は今回の件もあるし、大人しくすると思うよ。王都騎士団も絡んでるし、」
「それよりも心配なのは他の5大クランがどう動くかだよね。」
「なんで他のクランが関係あるんだよ」
「トランは今回の抗争で目立ち過ぎた。良い意味でも悪い意味でも。名前が知られた冒険者は活動しやすい。知名度や信頼もあるから割の良い依頼も来やすい。これがいい意味。悪い意味では、5大クランの勢力抗争に巻き込まれる可能性がある。
」
「どういう事だ?」
「5大クランは表向きでは仲良くしてるけど、裏では小競り合いはしょっちゅうしてる。他のクランが潰れれば、依頼を独占できる。冒険者がいなければ存続できない小さい国はけっこうある。そういった国では強力なクランはものすごい権力を握ってるんだ。5大クランは国は持ってないけど、武力だけなら大国に匹敵するからね」
「マジか、、、
しょうもな〜。」
「そういったクランがやってるのが、実力ある冒険者の獲得だよ。Bランク以上の冒険者の半分は5大クランに所属してるらしいから。」
「5大クランにはトランがAランク冒険者のハヤキを倒したことはもう知れてると思うよ。」
「めんどくさくなりそうだな。」
「トランはBランクなのに今まで何もなかったのが、不思議なぐらいだよ。」
「オレは特例でBランクになったからな。公にはなってない。」
「なるほどね。普通2年でBランクになれないからね。不思議に思ってたんだ。」
「5大クランもノーマークで、今頃びっくりしてるだろうね。」
笑いながら言うベルグ。
「笑えねーよ」
ベルグを睨むトラン。
「5大クランの勧誘から逃れるいい方法があるよ。」
得意げに微笑むベルグ。
「教えろ!」