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眠る少年トラン  作者: たみ
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39 ダークウルフ討伐

39 ダークウルフ討伐


トランはオクトール山脈にある『ザウスの谷』にきていた。目的はダークウルスである。


ダークウルスの体調は2mほどあり、黒い毛並みに金色の瞳を持つ狼型の魔物だ。C級上位の魔物とされる。『ザウスの谷』に多く生息している魔物だ。


オクトール山脈の危険度はD級のため、駆け出し冒険者が活動場所にすることが多い。しかし『ザウスの谷』の危険度はB級であり、知らずに迷い込んだ冒険者が命を落とすことが多い。



「、、、」 


トランにとって『ザウスの谷』はベルグとの思い出の場所であり、命を落としかけた場所でもある。あれから何度も訪れているが、巨大フクロウには2度と会うことはなかった。





トランは森の中で動く黒い影を捉えた。


(いたいた)


(ダークウルフだ)


トランは剣に手をかける。しかしダークウルフの様子がおかしい。何かと闘っているようだ。


(なんだ。先客に取られたか、、、。いや待てよ、、、)



「タァ〜!!」

少年の声が聞こえてくる。

少年が剣を振り上げるのが見えた。


剣はダークウルフに余裕を持って回避される。


「なんだ!この化け物は!速すぎる。」

少年はダークウルフの動きについていけない。

「アルホ!これはユニーク種に違いない。」

もう一人の少年に話しかける。



「なるほど!ユニークならこの強さも納得だ。」


(ダークウルフはユニーク種じゃないぞ。)トランはそんなことを思い観察することにした。


ユニーク種とは特殊な進化をした魔物のことをいい。通常種の魔物には無い、特殊な能力を持つことが多い。危険度の区分も別にされる。希少種なため、その素材高値で取り引きされることが多い。



「この魔物を倒せばおれたちは有名になれるぞ!」


「D級でユニーク種を倒したとなれば、有名クランからスカウトされるかもしれないな!!」


「やったぜ!」


「オレ達伝説の冒険者になっちゃうかもな!!」



(何が、「やったぜ!」だ、、、。あいつらホントに大丈夫か?ダークウルフを倒せるようには見えないが、、、。)


トランの心配をよそに、大はしゃぎしている2人。



「いくぞアルホ!」


「おう!」

、、、


息巻いてダークウルフに斬りかかる2人であったが、剣はまったく届かない。


「クソ!」



ダークウルフが攻撃体制に入り、赤髪の少年、バルカという少年を狙う。


ダークウルフはスピードに乗り体当たりする。少年は持っていた剣でガードするが、勢いを殺せず。剣ごと吹き飛ばされる。


「グフッ!!」



「バルカ!!」

仲間の青髪の少年が叫ぶ。



「、、、う、う」

バルカと言う少年は立ち上がれずにいた。


少年にダークウルフの牙が襲いかかる。


「逃げろ!!バルカ!!」


バルカは近づいてくる牙をみて避けれないこと感じる。両腕で顔を守る。


ガッキン!!!


何かがぶつかる音が聞こえた。

ダークウルフの攻撃はこない。


不思議に思い、両腕の隙間からダークウルフを見る。



「!!」 


そこには



、、、、






黒髪の少年が立っていた。



、、、





「大丈夫か?」

トランは少年に話しかける。



「、、、あっ!はい!」

混乱する少年



「この魔物どうする?オレが倒してもいいが?それとも自分達でたおすか?」


魔物の横取りはギルドで禁止されているため、討伐していいか確認するトラン。


助けた後に自分で倒すつもりだったと言われたら面倒くさいからである。


「っ!!お願いします!!」

少年が魔物の討伐を許可する。



トランはダークウルフに普通に近づき、心臓を一突きする。ダークウルフは何も反応出来ずその場に糸が切れたように倒れる。


「なっ!!」

「、、、」


少年達にはトランの動きが速すぎてほとんど見えていなかった。トランがダークウルフに何かしたのはわかったが、まさかそれでダークウルフが倒されたとは思っても見なかった。


「お前達怪我はないか?」


「、、、」

少年達はボーッとトランをみていた。


「おい!?」


「あっ!はい!」

「えーっと、怪我は大丈夫っす!」

赤髪の少年が答える。


「そうか」


二人が何故こんな危ないところにいるのか聞くことにした。


「なんで『ザウスの谷』で活動してたんだ?ここの危険度はB級だぞ。」


「えっ!!B級ですか!」

「ギルドではD級と聞いたんですが、、、」


「確かにこの山、オクトール山脈はD級だが、一部の場所(ザウスの谷)は危険度が跳ね上がる。だから絶対に近づかないようギルド職員が注意喚起してるはずだぞ。」



「、、、確かそんなようなことをアリサさん言ってたような。地図を見せられたような」



(こいつらの担当アリサだったのか、、、)


「オレ達、頭が悪くて地図をみてもさっぱりでして、、、。なんとなくオレわかったふりをしてたっす。」

「バルカはすぐカッコつけるから!」


「ごめんアルホ」


(こいつらほっといたらすぐ死にそうだな。)



「やっぱりそうか、今度からわからないことはちゃとギルド職員に聞いたほうがいいぞ。冒険者は危険な仕事だ。カッコつけて死ぬのは割りに合わないだろ。」


「「はい!!」」


「オレは今から王都に帰るところだから、谷の出口まで送ってやることが出来るぞ?」


「いろいろとありがとうございます!」

青髪の少年、アルホが頭を深々と下げる。

(こいつの方が少し賢そうだな。)


「あっ、ありがとうございます!!お名前を教えてくだせい!!」

青髪の少年をみて赤髪の少年バルカが勢いよく頭をさげる。


「オレはトランだ」



「トラン、、、」

「トランの兄貴!!助けてもらった御恩は決して忘れません!!」

二人の少年はまた頭を下げる。



「大袈裟だなおまえら、恩は忘れてもいいから、この魔物を運ぶの手伝ってくれ。」


「「はい!!」」



トランは結局少年達と王都まで帰ることになった。帰り道で地図の読み方を教えることにした。バルカの方はさっぱりだったが、アルホは直ぐに理解していった。


そうこうしてる間に3人は王都に着き、

冒険者ギルドに帰ってきていた。


「オレは依頼達成報告をしてくる。」

「お前達は少しここで待っててくれ。」


うなずく二人。

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