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眠る少年トラン  作者: たみ
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38 第2章 冒険者編

38 第2章 冒険者編


トランは冒険者ギルドに来ていた。


冒険者ギルドとは冒険者の活動を斡旋する組織である。冒険者ギルドには数多くの依頼があり、その依頼をこなすことで報酬を得ることができる。



依頼には魔物を討伐して報酬を得る『討伐依頼』、鉱石や薬草などの採取をする『採取依頼』、要人を護衛をする『護衛依頼』がある。


依頼は危険度によりランク分けされている。

Dランク依頼対象: 駆け出し冒険者 

Cランク依頼対象: 初級冒険者

Bランク依頼対象: 中級冒険者

Aランク依頼対象: 上級冒険者


冒険者は活躍によりランクが分かれる。

すべての冒険者はDランクから始まり、自分の持つランクと同じランクを一定数達成する事でランクを上げることができる。

同ランク以上の依頼を受けることはできない。


冒険者は危険が伴うためCランク冒険者でも十分に生活ができる。

冒険者の9割以上がD、Cランク冒険者であり、Aランク冒険者は世界に数十人しかいない。冒険者のほとんどがD、Cランクなのである。


トランはCランク冒険者であった。

騎士学生時代から冒険者ギルドに登録し、依頼をこなしていたため、3回生の時にDからCランクになった。

トランはもっとも危険度が高い討伐依頼をメインに活動していた。


理由は二つあった。

一つ目は報酬がいい。二つ目はランクを上げやすい。


DランクからCランクに上がる条件は

Dランク採取依頼達成数80件以上

もしくはDランク討伐依頼達成数30件以上


CランクからBランクに上がる条件は

Cランク採取依頼達成数300件以上 

+討伐依頼90件以上

もしくはCランク討伐依頼達成数100件


BランクからAランクに上がる条件は

Bランク討伐依頼100以上+各支部ギルドマスターからの推薦である。


討伐依頼を達成した方が効率よくランクアップできるのである。これは冒険者ギルドが冒険者に必要なスキルとして、採取よりも討伐が重要と考えていてるからである。


ランクが上がるごとに討伐依頼の達成が重要になる。



トランの直近の目標はAランク冒険者になることである。Aランク冒険者はになると冒険者ギルドに保管されている過去の依頼情報や普通の冒険者では見ることができない貴重な資料も見ることができる。


冒険者ギルドの歴史は古く、古代遺跡の情報や勇者伝説記録、トランの探している竜の目撃情報などが保管されたいる。


トランはその情報が欲しかった。



、、、、



冒険者ギルドに入って討伐依頼を探すトラン。


「、、、」


冒険者ギルドは木造でできており、一階は依頼の受付と依頼が貼ってある巨大な依頼ボードがある。2階にはギルド職員の会議室、資料室などがある。


ギルド内には常に20人ほどの冒険者で賑わっている。パーティと呼ばれる複数人で依頼を行う冒険者もいる。ギルドを待ち合わせ場所に使うこともよくあるため、つねに賑やかになっている。



「トランさん!おはようございます!」

トランにギルド職員が話しかける。


「、、、」

トランは聴こえていないのか、反応しない。



「トランさん!」


「、、、」


「トランさん!なんで無視するんですか!?」


「あー、、、アリサか」

トランがいやそうな顔でギルド職員アリサに反応する。


「アリサかって!

すごくいやそうですね!?

これでもトランさんより年上なんですよ!」

トランの反応に怒るアリサ。


この時トランは16歳、アリサは17歳であった。


「、、、どうせ依頼だろ」



「!」


「さすが!察しがいいですね!


トランさんにお願いしたい討伐依頼があり・・・」


「断る。」

アリサが言い終わる前に断りを入れるトラン



「な!なんでですか!」


「オレは忙しい」

「そしてお前が持ってくる依頼は面倒くさい依頼ばかりだからな」


「むむむ、、、話しだけでも」


「断る!」


「そこをなんとか!トラン様!

話しだけでいいので」

鬼の粘りを見せるアリサ



「、、、はぁ〜。話しだけだぞ」

溜め息をもらすトラン




「ありがとうございます!

損はしない話しですので!」


アリサは依頼について話しだす。


基本的に冒険者は受けたい依頼を依頼ボードから探し自由に受けることができる。

しかし、人気のない依頼(難易度の高い依頼や報酬が割に合わない依頼)は遅延依頼となり達成されず残ることがあるため、ギルド職員により担当冒険者に依頼を割り振ることがある。


ギルド職員には一人一人に担当冒険者が割り振られており依頼精査やサポートなどを行っている。


冒険者の死亡率を下げることも、ギルド職員の仕事である。力量に合わない依頼を受けた場所に警告を出したり、担当冒険者の特性が発揮できる依頼をすすめたりする。



「お願いしたい依頼なんですが、ダークウルスの討伐になります。」


「、、、普通だな。C級の魔物の中では強い方だが、パーティを組めばたいして手こずる相手じゃないだろ。」


「そうなんですが、、、。問題は討伐の条件なんです。『出来る限り』傷を付けずに討伐してほしい。とのこなんです。」


「じゃオレには無理だろ?オレは剣士だ傷つけないで討伐なんてのはできない。」


「いえいえ!『出来る限り』なんで多少は大丈夫です。」


「、、、なるほど。で『出来る限り』ってどの程度なんだ。」


「切り傷一つ、最悪二つ以内でお願いしたいと、、、」


「は?一撃で倒せってことじゃねーか。この依頼Cランク冒険者じゃ無理だろ?Bランクに頼めよ。」


「だからトランさんに頼んでるんじゃないですか!!Bランク冒険者が不足してるのはトランさんも知ってますよね。」

「Cランクでこの依頼が受けれる冒険者なんて、このギルドにはトランさんぐらいしかいません。」



「この依頼を受けるメリットは?」


「この依頼を達成することを条件にBランクに昇格とします。」

「もちろんギルドから追加報酬を用意されていただきます。」



「、、、ほぉ〜」

「報酬はどうでもいいとして、、、。

Bランクに昇格、そんなこと出来るのか?

オレは昇格条件まだ達成てきてないが、、、」



「報酬も喜んでくださいよ!

ギルドマスターの判断です。Bランク以上の実力がある冒険者をCランクとして使うのはもったいないと言って」



「ギルマスの判断か、、、なるほど。」

「その依頼受けよう。」



「やったー!!

ありがとうございます!!

ランクアップなんて興味ない!とか言われたらどうしようかと思いました。」

飛び上がって喜ぶアリサ。

狂人トランは何を言い出すかわからない。



「じゃ手続きさせてもらいますね!」



「ああ、頼んだ。」



「討伐には明日出るから、2日後にはダークウルフを持ってくる。」


「さすがトランさん!!仕事が早い!!

お待ちしてます!!」



トランはギルドをあとにする。


、、、

、、



「トランは依頼を受けたのか?」

1人の男がアリサに話しかける。


「あ!ギルドマスター!」

「はい!トランさんは依頼受けてくれました。」

笑顔のアリサ



「、、、そうか。」



「ホントに大丈夫なんですか?トランさんをBランクにして、、、

トランさんはまだ16歳ですし、危険なような。」



「これを見ろ。」

ギルドマスターは一枚の紙をアリサにわたす。


「これは?素材売却リストですよね」


「トランの過去の売却リストだ。」



「そうなんですね、、、」

「!!」


「これは!!なんでB級の魔物の素材があるんですか!?それにダークオーガってB級上位の魔物ですよ」

「Bランクのパーティで挑む魔物のはず、、、」



「そうだ。あいつはもうB級を討伐してる。しかも相当前からな。」


「なぜそんなことをするんですか?トランさんがB級を討伐しても依頼達成にはならないですし、素材は売れますが、依頼報酬は出ないので割りに合わないですよね?」


「そうなんだが、、、わからん。」

「分かるのはアイツがB級上位をソロで討伐する冒険者ってことだ。」


「、、、信じられません。」




「アイツは他にも謎が多い。」


「ここ最近は近くの空き家を借りてるらしいが、それ以前の宿泊情報は一切ない。依頼達成情報はあるのにだ。」

「アイツのことを知ってる冒険者もほとんどいない。」



「、、、トランさんって何者なんでしょう?悪い人には見えないんですが、」




「さあな。

とにかくアリサ、、、

トランから目を離すなよ。」


「、、、はい。」





トランの予測のできない行動はギルドから目をつけられることとなる。


本人の知らないところで、トランへの警戒は上がっていくのであった。



少し長いですが、直ぐ元に戻ります。



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