338 『遊話』吸血鬼トラン続編
「ほんとにハラさんの鑑定するの?」
「ああ
興味ないのか?」
「いや…
興味はあるけど
罪悪感が……」
「大丈夫!合法だ!
お前と違って血を盗んだわけじゃない」
「僕も盗んでないから!
そういう話しをしてるんじゃない!」
怒り出すベルグ
「魔物の素材と交換してる
完全に合法だ」
続けるトラン
親指を立てる
「もういい!
君に倫理観を確認したのが間違いだった!」
「絶対進化してるぞ!アイツ!」
楽しそうなトラン
全然話しを聞いてない
「……」
沈黙する
「確かにハラさんの存在感は異常に強かったね……」
「ああ
ベルグ魔族版みたいな感じ」
ニヤリとトラン
「トランのいいたい事はわかる」
納得してしまうベルグ
なんだかんだだ
「今のハラに多分勝てないぞ
オレ」
「そんなになの?」
「だって進化前でギリギリだったからな
剣技じゃ圧倒されたし
はは」
ハラとの戦いを思い出すトラン
嬉しそうに話す
そんなトランの表現をみて口元が緩む。
「よしやるぞ!」
トランは鑑定紙にハラの血を垂らす。
鑑定紙が魔物の血に反応し光だす!
強い光
二人には慣れた光景になってきた。
トランはベルグを見てニカっと笑う。
鑑定紙に文字が浮かび上がる。
◆ハラ鑑定紙
種 : 魔剣者
星 :★★★★★★★
色 : 黄
能 : 剣護、析眼
「やはりな
くくく」
「2回目っぽいね」
「ああ
予想通りだ。」
「……」
何かを考えるベルグ
「進化2回目の準優勝コンビが
苦戦した魔物を
一人で圧倒って!お前反則だからな!」
「準優勝コンビ?何それ?」
「うるせ!
この反則やろう!
お前隠れて5回ぐらい進化してんじゃねーか」
「そんな進化簡単じゃないの知ってるでしょ!」
「…」
「でもさ
トランの最後の魔法
あれがあれば苦戦しなかったんじゃないの?
なんでやらなかったの?」
「やらなかったんじゃない
できなかったんだ
あれは隙がでかい。お前みたいな前衛がいないとできない。
……
って事にあの時気づいた
ははは」
「君ね笑い事じゃないから
…
それで
…
失ったんだから……」
ベルグは静かにトランの右腕があった場所をみる。
むかし
幾度となく剣を交えたトランの右腕と
トランの剣は
楽しく、
荒く、
優しく、
まっすぐで
強い
ベルグはトランの剣が好きだった。
「ベルグ違う
手に入れたんだ」
トランの右腕が炎として形を作る
ミキーラファイヤー
そしてベルグの前で拳を作る
炎の拳
「……」
「これなら隙はできない
ははは」
楽しそうに笑うトラン
「君はホントに……」
つられて笑うベルグ
学生時代を思い出す




