332 王子と勇者
「あの
トランさん」
アレフがトランに話しかける。
トランとベルグのやりとり
ずっと気になっていた。
「なんだ?」
「伝説の勇者って……
ホントに実在したんですか?」
疑問に思った事を聞く
「あ?……
昔の勇者が
実在したかはわからんが、
勇者は実際いるぞ」
「「!!?」」
驚くアレフとリスナ
ベルグが口を開く
「あまり知られていないのですが、
現在、勇者の印を持つ少年が王都にいます。」
「えっ!王都に!
…
……その方が本物の勇者なのですか……」
初めての情報に驚くアレフ
「本物かどうかは判断が難しく。
勇者の印があるだけで、正式に勇者とできていないのが、王国や騎士団の見解です。
…しかし
私は…
勇者で間違いないと
思っています。」
「ああ
アラグはやばいぞ
はは」
トランが笑いながら同意する。
「……アラグ?」
呟くアレフ
「はい
アラグは勇者であろう少年の名前です。
今はアルトール騎士学校の学生です。
教官いわく歴代最強だと」
「アルトールという事はベルグ様と同じ…
それに歴代最強という事は……」
「はい、学生時代の私より強いという事です。」
「記録更新された自称最強!ベルグ!
ははは」
「だから!自称してないから」
慌てて訂正するベルグだが
……
「「……」」
学生時代のベルグより強い学生がいると聞いて
唖然とするアレフとリスナ
それほどに王都で"王の剣ベルグ"は別格とされていたからだ。
沈黙
……
その中
少し微笑むトラン
トランには
少しバカな勇者の顔が浮かんでいた。




