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319 定期報告
王子の部屋にいるトラン
王子に定期的に報告にきていた。
「異常なしであります!」
トランは姿勢を正し報告する。
本人は真剣だ。
「あの……」
アレフがトランにしゃべりかける。
「はいであります」
「普通にしゃべって
いただいていいですよ」
アレフが提案する。
「普通?」
トランは首を傾げる
「もし……よければ…
ベルグ様としゃべる時のような形でも大丈夫です……」
アレフはどこか恥ずかしそうに下を向く。
トランはアレフをみる。
王子の瞳を
子供の瞳
孤独な瞳
トランは考える。
…
…
「わかった!」
「えっ…」
「よろしくな!王子」
ニカっと笑うトラン
「あっ!はい!
よろしくお願いします!
トラン様!」
晴れた笑顔になる王子
「トランでいい」
「え?…いえ!ベルグ様のご友人を呼び捨てなど……」
トランと視線が合うアレフ
圧力のないトランの瞳
不思議な瞳
アレフは…
「では…トランさん」
「はは」
トランは笑う。




