314 怪しい人
「えっ!トランくん!?」
「こっちこっち」
リスナを呼ぶトラン
襲撃者?トラン?
トランはリスナを見ていないのに
リスナの存在に気づいている。
いつから?
リスナは不思議に思うが、
トランが何をしているか気になる。
何故、こんな時間に厨房に…
怪しい…
「何してるの?」
、
、
、
「夜食を作ってたんだ。
見ろスープ!」
子供のように
嬉しそうに笑うトラン
そんなトランを見て
緊張感が一気に抜けるリスナ
そして
教育係リスナは
「勝手に厨房使ったらダメだよ!
それにトランくんは…」
考えるリスナ
「だからこっそりやってるんだ
はは」
全然気にてしないトラン
「……」
言葉が出ないリスナ
(この人は何を考えてるんだ。
屋敷の緊張感が高まっているこの時期に…)
「これ食べてみろよ」
トランは自分が作ったであろうスープをすすめる。
「えっ?
いいよ私は…」
「いいから
いいから」
楽しそうに
すすめてくるトラン
「じゃ…ちょっとだけ…」
リスナはスープを
スプーンですくい口に運ぶ。
「えっ!……美味しい」
「ははは
だろ?」
「なんでこんなに美味しいの?
トランくんって料理得意だったの?」
「いや、俺もよくわからないだが、うまくできた!はは」
「すごく…美味しい……
それに
……
優しい味」
ここ数日、緊張感でリスナは
あまり寝れず、食べれてもいなかった。
リスナは緊張感が和らぐのを感じる。
スープの暖かさが優しく包む。
体の中が落ち着くのを感じる。
リスナの様子をみたトラン
「もっと食うか?
結構作ったんだ」
トランはカップにスープを入れリスナにわたす。
「……ありがと…」
リスナはカップを握りしも
スープを見つめる。
カップの暖かさ
スープの優しい香り、、
そして
突然ーー
「私はトランくんを信じてる!」
トランの瞳をみるリスナ
「あ?」
混乱するトラン
「みんな噂してるんだ。
トランくんは怪しいって
この時期に新しい使用人がくるのは変だって
……それに……。」
リスナはトランの無くなった腕を見る。
身に纏う雰囲気は明らかに使用人のそれとは違う。
(だけど……)
(私は……信じる。)
真剣な瞳のリスナ
「ははは」
そんなリスナをみて
何故か笑うトラン




