268 『箱の王』と『ゴミ山の王』
「久しぶりだなトラン」
「ああ
ゴミ山から出てってから戻ってないからな」
「このバカが
お前がいないせいで
ゴミ山が溢れたではないか」
「オレのせいじゃないだろ」
呆れるトラン
「外では派手にやってるそうだな
中まで聞こえているぞ」
「ぼちぼちだな」
笑うトラン
「それよりも
トラン
その右腕はどうした」
ドンはトランの無くなった右腕について
尋ねる
「ああ
これか、、」
トランは無くなった右腕をみる
「、、、」
「冒険の跡だ!
ははは」
嬉しそうに笑うトラン
晴れやかな表情の
トランに
ドンは
、
「、、、」
「楽しい思い出があるんだな」
「ああ」
トランは思い出す
ハラやサーネ、
ジン
ヤハラマーン王国の人々を、
、、
、
、
そして
「、、、」
2人の表情が変わる
「ヤバイのか?」
トラン
「、、、
ああ」
「『箱』を通ってきたが
ほとんど人がいない、、
抗争じゃないよな」
「抗争ならオレ達で捻り潰せる
今は住民の移動を制限してる
もっとやっかいな敵だ」
「、、
、
、
、
疫病か?
」
「さすがだな
トラン
そういえば12年前の疫病
お前も経験してたな」
「ああ
あの時は確か、、、
」
「15000人が感染し
5000人が死んだ」
「オレが知ってる中では箱で最悪の事件だな」
「今回はあの時より広がるスピードが速い
今の状況は700人の感染を把握してるが
実際はもっと広がってるだろう」
「薬だな」
トランは確信する
「話しが速いな」
「だから冒険者を呼んだんだろ」
「今ある薬はもう底をつき掛けてる
外や闇市でも買い漁ってるが到底間に合わん
」
「何人分いる?」
「一週間以内に5000人分だ
それだけあれば
なんとかできる」
「5000...」
トランの表情が変わる
「今はなんとか大人しくしてるが、
アイツら箱のやつらだ
感染してもっとなんとかなるだろうと
そのうち動き出す奴が出てくる
そうなったら、、
もう手に負えん」
「、、、」
沈黙するトラン
「トラン
できるか?」
「、、、」
目を閉じ考えるトラン
「、、、」
「、、、
薬には薬草ラシがいる、、
オレと仲間で全力で採取やったとしても
1000がいいとこだ」
「、、、
そうか
、
、
トラン
とれるだけ薬草を集めてくれ
一家で
他のルートも探してみる」
「ドン
あてはあるのか?」
「、、、」
ドンの表情は変わらない
だが側近の雰囲気でおおよそわかる
自分達でなんとかできるなら
冒険者に助けはもとめない