225アルホの師匠
剣を振るアルホ
ただ
ただ
一所懸命に
剣を振る
「、、、」
何故自分が
剣を振るのか
わからない
強くなりたいのか
わからない
でも
今やらないと
後悔しそう
できる事をやろう
ひとつひとつ
、
、
、
「アルホ
力みすぎ」
ベルグが指摘する。
「はい!」
素直に返事をするアルホ
アルホは
剣術をベルグに師事していた。
トランの戦い方より、
ベルグの戦い方の方が向いているという事だ。
「剣は空間を切る。
その空間の重さを剣で感じるように」
「はい!」
アルホは一所懸命に剣を振る
◆過去
ベルグは過去を思い出す。
「ベルグさん!
自分と模擬戦してください!」
真剣な眼差し
こわばりがにじむ声
「、、、
いいよ
いつがいい?」
「ベルグさんが
いいなら
今から」
アルホ
の手は震えている
「ははは
了解
やろう!」
ベルグに挑むアルホ
アルホの知る限り
最強の剣士はベルグだ
、
、
、
、、
、
、
「ぐっ」
地面に倒れるアルホ
「、、」
動けないアルホ
何が起きたのかもわからない
レベルが
、、
まるで違う
「大丈夫?」
心配するベルグ
「、、、
大丈夫っす」
まだ起き上がれないアルホ
「アルホなら
耐えられると思って
少し本気で振ったから」
「、、
ありがとう、
、
ございます」
ベルグ
は考える
何で本気を出したんだろう
十二分に勝てる相手に
、、
「なんで
僕と模擬戦をしようと思ったの?」
「、、、
戦い方を学びたくて」
下を向くアルホ
「、、、」
ベルグは下を向くアルホを見つめる
暗闇の中
剣を振っている
来る日も
来る日も
孤独で寒い
ベルグは、、
「剣を教えるよ」
「えっ」
「僕がアルホに剣を教えるよ」
「えっ!!
いいんですか?!」
、
、
「僕じゃ不服かな?」
「いえ!とんでもないです!」
「ははは
じゃあ!これから僕はアルホの師匠だ。
よろしく!」
「よろしくお願いします!師匠!」
◆◆
「、、、」
「アルホ
今日の修練は終わりにしょう」
「えっ!
ですが!師匠
まだ日は明るいですし」
まだまだやるつもりだったアルホ
「ダメ!終わり!」
ベルグが言葉を強める
「うっ」
「アルホは
やりすぎだよ
いつも言ってるけど
休むのも修行」
「は、はい」
下を向くアルホ
「いつ何が起こるかわからない
冒険者歴が長いアルホならわかるよね。
練習の日はない
毎日が本番」
「、、、」
「疲れていたら
動きが鈍る、判断が鈍る
それが僕たちにとって
どれだけ危険な事か
アルホならわかるよね」
「、、、はい」
力なく頷く
「だから休むんだ
もう少しトランを見習わないと
ははは」
「そうですね」
アルホは少し笑う