184 民貴対戦
4年に一度行われる剣術大会。
ハルとジン、
2人は毎回のように決勝で戦った。
王国民達はこの決勝戦の事を
『民貴対戦』と名付け、
今回はどっちが勝つか負けるか
と語り合い楽しんだ。
この『民貴対戦』、
5回繰り返されることになる。
20 年にも及ぶ戦いである。
最初の対戦は第38回大会
この時は前回優勝者、天才剣士ジン
前人未到の剣術大会連覇が濃厚とされていた。
しかし、ダークホース、ハルが登場。
当時、最強とされたジンに激戦の末に勝利し、王国中で大きな話題となる。
そして平民の大会優勝は初の出来事だった。
この時より、
戦いは激化していく
第39回大会
リベンジに燃えるジンがハルに勝利し
王座奪還に成功。
第40回大会
ハルが勝利
大会連覇をまたも阻止されるジン。
第41回大会
ジン勝利
第42回大会
ハル勝利
『民貴対戦』は第42回大会が最後になる。
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トランが新大陸に来る10年以上前の事だ。
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5回の対戦が終わり、
王国が落ち着きを取り戻しつつあったある日
公爵領付近に強力な魔物の群れが出現した。
当時、
山の向こう側から砂煙が上がっていると、領民から通報があった。
もうすでに公爵だったジンは山の向こう側に調査隊をおくる。
そして砂煙の正体が調査隊の報告により判明したのだ。
夥しいほどの魔物、魔物、魔物
行進による砂煙だった。
報告には続きがあった。
一体の奇妙な猿の魔物の存在が報告に上がる。
報告によると、その猿の魔物は知性があり、ほかの魔物に指示を出していたというのだ。
猿の魔物が群れのリーダーである事は間違いないが、指示を出せるほど知性的な魔物は今まで聞いた事がない。
ジンは考える。