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1 最強召喚士、追放される

「ほ、炎の矢……!」


「……チッ! てめぇシロウ無駄撃ちしてんじゃねぇ! いつになったら召喚とやらを使うんだよ! もうパーティーから出てけ期待はずれ野郎!」


「ねぇアルコ、やっぱこいつ使えないね。クビだねクビー!」




 お昼過ぎ、ダンジョンの探索を終えた俺たちは街に戻り、冒険者センターで依頼料を受け取る。



「四千Gか、じゃあ一人千Gで山分けだな」


「やったー、綺麗な宝石買えるー!」


 パーティーのリーダーであるアルコという男性が受け取ったお金を三人のメンバーに配るが、俺の前にはそのお金を置かず一枚の紙を押し付けてくる。


 なにこれ。


「あ、あの俺のお金は……」


「はぁ? なんでお前みたいな足引っ張りのクソザコ君にお金を配らないとならないんだ? つぅかお前のせいで何度も危険な目に遭ったんだよ、だからお前にはこの請求書だ」


「……プッ、アルコあくにーん。あはは」


 突きつけられた紙に書かれた金額に目を見開いていると、その様子を見ていたメンバーの女性盗賊がニヤニヤと見下したような視線で俺を見てくる。


 紙に書かれていた金額は一万G。


 それって日本感覚だと百万円じゃねぇか。そんな大金どうやって支払えと。



「これってどういう……」


「あぁ? 勇者である俺様がこんなに優しく言ってやってんのに、まだ分かんねぇの? クビだよクビ! 死にたくなかったらさっさと迷惑料支払ってどっか行けって言ってんだよ!」


 意味が分からず俺が聞き返すと、パーティーのリーダーである男が激怒し、俺に剣を突きつけてくる。


 迷惑料って……この異世界に先月日本から来たばかりの俺がそんな大金、支払えるわけがないだろう。


 金があったら日銭稼ぎの冒険者なんてやってねぇっての。


「金がねぇ? お前最強職って言われてる召喚士なんだろ? ザコとはいえ、今の俺たちみたいにその肩書きだけで騙して色んなパーティーに紛れ込んで稼いでたんだろ!? それを全部出せって言ってんだ!」


 リーダーの男性が俺を蹴り飛ばし、倒れ込んだところに他のメンバーからも蹴りを何発もくらう。


 くそ……別に騙してねぇし……痛……いてぇって!



「アルコ、こいつマジで金持ってねぇぞ」


「あぁ? ったくよぉ、あの最強職の召喚士様だって言うからこの辺りじゃ有名な勇者である俺様のパーティーに入れてやったってのによぉ! 箔がつくどころかマイナスだ!」


「うっそー。アルコ、こいつ絶対金持ってるから適当なところで殺して金奪おうとか言ってたっしょー」


「おっと、バラすなって、ぎゃははは!」


 痛みで動けずにいたら、メンバーの男が俺のカバンを奪い中を探る。




「……ちっ死なねぇか……じゃあな嘘つき野郎。俺様は優しいから有り金全部で許してやるよ!」


「あはは、たったの五百Gだって! こいつ生きてる価値ないねー」



 建物の裏に連れ込まれた俺は、殴り、蹴られ、金目の物全て奪われ地面に倒れ込む。


 アルコたちが高笑いしながら街へ消えていく。



「……つかアルコ、殺さなくてよかったのか、アイツ」


「うっせぇ、いつもの感じで殺すつもりでやってたよ! なんだかあいついくら殴っても死なねぇんだよ。普通あれぐらいやれば死ぬんだが……」





「いつつ……あいつらマジで殴る蹴るしやがって……」


 やっと動けるようになったのは夕方。


 フラフラと立ち上がった俺は残った所持品を確認するが、当然お金は無し。


「ああ、リングは取らなかったのか。これ、見た目しょぼいしな……」


 俺はいわゆる日本からの転移者で、気付いたらこの異世界にいた。


 こういうとき必ずあるお約束のチート武器は無く、なんだかしょぼい見た目の腕輪を両手に装備していただけ。


「よく分からんが俺の異世界での能力は、ちょっと炎と風の魔法が使えることと……よっと、ほら出てこいピヨすけ」


「……ピ、ピピピ!」


 意識を集中し魔力を両手に込める。


 発生した魔力の渦から黄色くて小さな小鳥……まぁ簡単に言うとヒヨコが現れ、俺の足に嬉しそうにすり寄ってくる。


 うーん、いつ見ても俺のピヨすけは可愛い。


「ピ、ピピ」


 頭を優しくなでてあげると、俺の手の平に乗っかってきて安心したように目を細める。


「はは、可愛いなぁ。ほんと、この異世界に来てから何も良いことなかったけど、お前がいるから頑張れているよ。……さて、呼び出して悪かったな、もうお帰り」


 俺はもう一度魔力の渦を発生させ、ピヨすけを元いた場所に戻してやる。



「……ふぅ、癒やされたぜ。さて……お金盗られたし、今日寝るとこ探さないと……」


「す、すごい……! あ、あの今の召喚ですよね!?」


 勇者を名乗るパーティーに受けた肉体的な傷はすぐには癒えないが、心の傷は俺のピヨすけの可愛らしさで一瞬で癒せた。


 さて頭切り替えて明日からまた生きるためにお金稼がないと、と思っていたら、背後から女性の驚く声が聞こえた。



「……え? あ、ああうん。大した召喚じゃあないけどね……」


 振り返り声の主を見ると、俺と同じ十六歳ぐらいの女性が興奮気味に立っていた。


「すごいすごい……! 私ラッキーかも! こんな外れの田舎なのに世界でも数えるぐらいしか存在しない最強と呼ばれる職業、召喚士さんと出会えるなんて……!」


 女性が我慢できない、といった感じで俺に走り寄って手を握ってくる。


「あ、いや、最強とかの呼び名に相応しいのは他の人だと思う。俺はその、さっき見せたヒヨコを呼べるだけで……」


「それがすごいんですって! 普通はゴーレムとか隕石なのにヒヨコって……! あの、出来ましたら私の護衛をお願いできないですか? お金ならもちろん最強召喚士様相応の額をお約束しますから!」


 俺が真実を言うも、女性は超笑顔で握った俺の手をブンブン振り回してくる。


 うぬぬ……この子、すげぇ美人さん……いい香りもするし……




 俺の異世界での能力はちょっと炎と風の魔法が使えることと、ヒヨコを呼び出せること。


 つまり『召喚士』ってわけだ。



 ……まぁご覧の通り胸張って名乗れるような強さは無いし、この一ヶ月、どこのパーティーに入ってもヒヨコ呼び出しては使えねぇ判断されて、連続追い出され記録更新中だけども。



 ──ああ、最後に確認だが、俺のピヨすけは可愛い。さんはいっ。













++++++++++++++



【以下定型文】




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     影木とふ

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