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晴天  作者: よた
第四章
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第三節 友人

 授業が終わり、長い昼休みが始まった。学校には食堂と売店がある。ビリーはいつも売店で安い総菜パンを買い、決まった席で食べている。今日はミーシャがいるので、ビリーはミーシャをそこへ連れて行くことにした。


 教室でビリーが言った。


「ミーシャ、昼休みだから、食堂を案内するよ」


「はい、お願いします。それと、先ほど知り合いになった方も呼んでよろしいでしょうか」


「構わないよ。誰?」


「ビリーの隣の隣、私のお隣のソフィーさんです」


 するとミーシャが反対を向き、言うのであった。


「ソフィーさん。ビリーもいいみたいです。一緒に行きましょう」


 ソフィーは学校では目立たない女の子である。休み時間はずっと本を読んでいて、ビリーも彼女が誰かといるところを数えられるほどしか見たことがない。自分の殻に閉じこもっていて、人と話すのが苦手のはずだが、ミーシャと出会い、その日に昼休みを過ごす仲になるという事は、ビリーにとって意外であった。


 そのまま三人は食堂へと向かった。ミーシャは天気がいいだの、雲がサツマイモの形に似ているだの、どうでもいい話をするのであった。


 食堂に着き、三人は売店で総菜パンを買った。その後、ビリーがいつも座っている席のあたりに集まるのであった。全員がそろってパンを食べ始めて少し経ったとき、ソフィーが言った。


「あの……。ビリー君。ミーシャさんとは前からお友達なの?」


「うん。まぁ、そうだよ」ビリーは答えた。


「ビリーとミーシャは家族です。一緒に住んでいます」


「え、もしかして兄弟なの? でも、似ていないね。親戚?」


「そう、それ、親戚」


「ビリー。ミーシャは姉で、ビリーは弟とこの前言っていたではありませんか、先ほどと言い、なんだかビリーが遠い存在になってしまった気がして、ミーシャは寂しいのです」


「あのなー、ミーシャ。家にいる時と学校にいる時、いつも同じビリー君がいるなんて思っちゃダメだよ。いってみればそれが社交性ってやつだからね」


「嫌です。ビリーはビリーのままがいいです。初めて出会った夜は甘えてくれたのに最近はどうして……」


「なんだって! 覚えてないよそんなこと。今は僕の方が年上みたいじゃないか、って何言ってんだ、同じくクラスの人の前で……」


 ソフィーが言った。


「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ。仲がよろしいのですねお二人は」


 ミーシャは言った。


「はい!」


「いや、ちがう。ソフィー、何か勘違いしてるって」


「一緒に夜を共にする二人なんて、隅に置いておけませんね。ビリー」


 ソフィーとミーシャはニコニコ笑っていたがビリーは恥ずかしそうに下を向いた。


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