第五節 ティータイム
アントニーはミーシャを食堂に案内して椅子に座らせた。ミーシャは食堂の広さに驚いた。入り口には今日の昼食メニューが十種類近く書かれており、お茶も飲み放題であった。
アントニーはミーシャを見て言った。
「ミーシャさん。コーヒーか紅茶はいかが? あとお菓子もあるよ」
「紅茶でお願いいたします」
「はいよ。ちょっと待っててね」
アントニーは、食堂のおばちゃんに声をかけ、紅茶とコーヒーを注文した。何かが削れるような音がしたあと、今度は誰かが勢いよく筒状の何かに息を吹きかけるような音がした。コーヒーの独特な香りがミーシャに届いた。アントニーが戻ってきて、静かに時間が過ぎていった。
ミーシャは思うのであった。
「このまま何もせず、ただお茶を飲んでいても良いのでしょうか。私にはやらなければならないことがあるのではないでしょうか。でも、今はどうして良いのかが分かりませんから、ただお茶を飲むことしかできることがないのです。はぁ、ビリーは今頃どうしているのでしょう」
時間がゆっくりと過ぎ、時計を見ながらアントニーは言うのであった。
「さて、そろそろフレンダさんが戻ってくる頃だ。戻ろうか」
「はい」ミーシャは答えた。




