第二節 ボルトアクション
ビリーとミーシャは公園や街のメインストリートを歩いたあと昨日行った職場案内所に到着した。職場案内所は閉まっていたが掲示板に気になるポスターを見つけた。
〇本日、午後二時から職業案内フォーラムを開催いたします。仕事選びに困っている方は是非、お越しください。 〈職場案内所 所長より〉
「ミーシャ、これ面白そうじゃない? いろんな人が来るみたい。工場だけじゃなくて銀行とか警察署とかもだ。行ってみる?」
「うん、ビリーが良いなら構わないのです」
街を一通り歩いた後だったので二人は少し疲れていた。職場案内所の外にあるベンチを見つけると二人は座り時間が経つのを待った。数分後、次第に人が集まり、職場案内所のドアが開いたので二人は会場に入った。すると威勢のいい男の声が聞こえてきた。
「おっと、そこのお二人、もし暇だったら寄ってかない? ちょっとしたお祭りみたいなもんだからよ」
男はビリーに興味を持っているようで、少々強引にビリーを自分のブースに連れて行った。ミーシャは置いて行かれないようにビリーとその男に付いて行った。すると、ブースの中には様々な種類の拳銃やライフル銃が並べられていた。そして男がリーのボルトアクションが如何に革新的な発明かを解き始めた時、ミーシャが銃に触ろうとした。すると男が言った。
「おっとお嬢ちゃん。刃物がついてるのもあるから触りたいなら声かけな」
と言って、男はライフル銃を手に取りミーシャとビリーに渡した。そしてライフル銃の説明をまた始めるのであった。
「いいか、ライフル銃って言うのはな、こうやって引き金を引くんだ」
男は顔を真っ赤にしながらライフルのハンドルを引き、引き金を引いて見せた。すると銃からは火薬ではなく、鈍い鉄の音がした。
「はぁ、どうだ。かっこいいだろ。お前もやってみな」
ビリーはハンドルを後ろに引こうとしたがビクともしなかった。
「ダメだ。動かせる気がしないよ」
「私もやってみるのです」
「はっはっは、女の子には無理だろ」
ガシャン……カチン……パチン……
ガシャン……カチン……パチン……
ガシャン……カチン……パチン……
「これでいいのでしょうか」ミーシャは首を傾げて言った。
「お、お、お、お、えっ! 壊れてるんじゃないかそれ、ちょっとこっちのでやって見ろ。これはちょっとくせ者で、そう簡単には……」
ガシャン……カチン……パチン……
ガシャン……カチン……パチン……
ガシャン……カチン……パチン……
「なな何て馬鹿力だ。しかも連射。お嬢ちゃん。お嬢ちゃんはその外見で、何人か天国に送ってたりするかい」
「はい。少し前まで毎日やっていましたよ」
男の目は輝き、ミーシャに名刺を渡して自分のところで働くことを勧めるのであった。そして男の話が一通り済んだところで解放されるのであった。
ミーシャはビリーに言った。
「なんということでしょう。ビリー以外にも私のことを信じてくれる人がいたのです」
「いいや、ミーシャ、それはちがうと思うよ……」
ビリーとミーシャはブースを出て他の仕事がないか見に行くことにした。




