第一節 仕度
ビリーとミーシャは朝食を食べている間、今日という一日をどう過ごすべきか話し合った。そして今日は溜まった洗濯物を片付けた後、買い物のついでにビリーが街を案内することにした。
ビリーが母親の部屋にミーシャを連れて行きクローゼットを開けて言った。
「そうだ。お母さんが出かけるときに来ていた服がクローゼットにあるからそれを着ていくといいよ。ってあれ……」
ミーシャがその服を着てみると丈が合っておらず袖はぶら下がっていた。
「あーしまった。ミーシャが縮んじゃったからサイズが合わないのか。どうしよう……」
「ビリーの服で良いのですよ」
ビリーの顔が少し赤くなり、恥ずかしそうに言った。
「えぇっ……。うん。わかった。持ってくる。ちょっと待ってて」
ビリーは自分の部屋に行き服を何着か持ってきた。
「あの……。僕の趣味じゃなくて。昔お母さんが買ってきたやつがあるんだけど……。自分じゃ恥ずかしくて着れないやつがあるんだ。でもミーシャだったら似合うと思うからこれ着てみて。それと僕がいつも着てるようなやつもね」
ビリーが持ってきた服は少しフリルがあるデザインの白いドレスシャツとグレーのサスペンダー付きのパンツ、それに地味な色のカーデガンだった。
「あとはハンチング帽とコート、革靴っと。ジャケットはいらないか……。うん。よし、思った通りだ。だいぶボーイッシュな感じだけどミーシャ似合うね」
ミーシャは嬉しそうに言った。
「ありがとうございます。とっても良い服なのですよ。なぜビリーさんは着ないのですか?」
「そのシャツのフリルがね。やっぱり抵抗があるんだよね男には」
「そういうものかしら?」
ビリーはミーシャに洋服を渡したあと、直ぐに洗濯を始めた。ミーシャはその間、窓を開け部屋にたまった埃を叩き、丁寧にテーブルや棚を拭いて落ちたごみを箒で集めた。時々二人はくしゃみをしながら家事を済ませるのであった。
家事が終わるころには既に昼飯時になっていたのでビリーがサンドイッチを作り二人で食べるのであった。その後、二人は家を出て並んで歩き、ビリーが街を案内するのであった。




