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鬼ごっこ  作者: ソエチー
セラタ編
2/5

準備時間 -1-

~ゲーム開始から〇時間目~



訳の分からない状況。


答えを見つける為に、情報を必死に集めた。


だが、謎の手紙の存在が、今までの行動を、ぴしゃりと否定する。


常人の頭で、どんなに考えたって無駄だ。誘拐犯は、きっと頭の線が一本切れているのだから。


「クソッ!」と、思わず悪態が口をつく。


俺 「(富士は、何であんなクソみたいな内容の、手紙を信じたんだ!)」


俺は、この教室に居るメンバーの中で、富士だけは、冷静で、頭が切れる、優秀な奴だと思っていた。


頼れる仲間と認めたかっただけに、先ほどの発言に腹立たしさを感じる。


何故、富士は、あんな馬鹿げた内容を、信じたのだろう。


どうしても理解する事が出来ない。


一度は、頼れるかもと思った相手だ。簡単に切り捨てたくは無い。


こんこんと怒りが湧き起こるのを抑えつつ、富士の言葉を思い出すことにした。


『君たちには、これから 【鬼ごっこ】 をしてもらう。ルールを守り楽しく遊ぶように。』


やはり理解が出来ない。誘拐犯がそんな事を言うハズが無い。


そもそも、鬼ごっこをさせる事に、何のメリットが有るのか?


そんな堂々巡りの思考をしていると、目の前から、女の声が割り込んできた


「あの~。考え中に申し訳ございません。」


この気弱そうな声は、間違いなく、さっきのアイツだ。無視したい。


考えの邪魔だと、相手にしないつもりであったが、女が持っている物に視線が釘付けになる。


俺 「おいっ! お前、確か、樹って言ったな。」


俺 「手に持っている物は、何だ?」


おびえた子犬のように、縮こまってしまった。


俺 「(チッ。面倒くさい奴だ。無理やり奪う手も有るが、騒がれたくは無いな。)」


恐る恐る、こちらを伺う様子にウンザリしつつ、「大声出して、すまなかった。」と、少し投げやりな口調で謝る。


樹 「いえ。私の気が小さいのが悪・・・。」


案の定、語尾が小さく聞き取れない。


何を言っているのか、聞き直すのも面倒くさい。次の言葉を待つ事にする。


二人の間に沈黙が降りる事、数秒。女は、控えめな声で話し始める。俺は、相槌も打たずに静かに耳を傾けることにした。


樹 「えっと、富士さんに頼まれて来ました。飲み物と携帯食料、それと腕時計を皆に渡すようにと。」


飲み物と食い物がココに有ったのか。誘拐犯は、俺達を、何日間か閉じ込める気でいるらしい。


そっと手渡された物を、まじまじと見つめる。


俺 「(500mlのペットボトルに入った水と、カロリーメイトのようなお菓子か。この量じゃ、1日と持たないな。)」


どうやら、長期期間、閉じ込められる心配は無さそうだ。


俺達は、一時的にココに集められただけなのか?


明日にでも、別の場所に移されるのだろうか?


疑問が次々と、頭の中に広がっていく。


一つ分かった事が有る。どうやら、今すぐに 【殺される】 という事は、無さそうだ。

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