帰ろう
公園で全力で遊びたいです。
「お母さん...」
静かに涙が頬を伝い、ポツリポツリと公園の土に黒いシミを作っていく。
「お母さん!!早くきて!!」
どこにも届くはずのない私の泣き叫ぶ声は闇夜に吸い込まれて消えていってしまいました。
もう、別に悲しいわけでも苦しいわけでもない。今からお母さんが迎えに来てくれることを望んでいたわけでもないのです。
けれどなぜだか涙は止まらなかった。
「雪奈!!」
「おかあ...さん...?」
息を切らして走ってきた人ががお母さんなのか、涙が視界を邪魔してちゃんとは分からなかったが私を呼ぶこの声は絶対にお母さんのものです。
「雪奈!なんで飛び出して行っちゃったの!!」
そう言ってブランコに腰掛けていた私の方に駆け寄ってそのまま私を抱きしめてくれました。
とても暖かくて心地よくてずっとこのままでいたいと思いました。
「お母さん...ごめんなさい...」
お母さんに抱きついて私はまた声を上げて泣きました。
私が落ち着くまでずっとお母さんは背中をさすってくれていました。
「お家に帰ろう?」
「...やだ」
「...おばあちゃんのお家に行こうか?」
「うん」
お父さんが怒って手をつけられなくなるとお母さんはおばあちゃんのお家に私を連れて行きます。もちろんおばあちゃんは理由を知っているので、お父さんに文句を言いながらも泊めてくれます。
なので、私はおばあちゃんが大好きです。
「行こっか」
私とお母さんは手を繋いで公園を出ました。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。
おばあちゃんのどて煮が好きです。味噌最高。