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盗賊討伐

 洞窟の中は小さな部屋がいくつかあり、それぞれが寝室になっているみたいで、横になれるくらいの大きさの布が敷かれていた。しかし、未だに人の気配がなく、一つ一つ部屋を見ていくがもぬけの殻だ。


 用心しながら奥へ進んでいると、喧騒が少しずつだが聞こえてきた。他の所に人の気配がないのと合わせると、一箇所に集まって何かしているらしい。もしかして遅かったか、と思い焦る心を落ち着かせる。


 様子を伺うと、どうやら宴をしていたらしい。盗賊達は食べ物を食べたり酒を飲んだりして楽しんでいる様だった。もしかしたら入り口の見張りも、酒のせいで眠ってしまったのかもしれない。


 これは案外ラッキーかもしれない。酒が入っていれば動きも緩慢になるだろうし、頭も上手く働かないだろう。多少なりとも飲んでいない時程には動けないはず。その時耳に盗賊の声が入ってきた。


「あのエルフの女なかなかの上玉だったな、まずはお頭からとはいえ、俺も早く御相伴に預かりたいぜ」


「まったくだな。そういえばそろそろ見張りの交代じゃないか?」


「そうだったな。外にいる奴らにも楽しませてやらないとな」


 まずい、こっちに来る。だけどチャンスだ。俺は近くの部屋に一旦隠れてやり過ごし、後ろから見張りの交代に行く盗賊達を追いかける。そのまま入り口近くまで後をつけ、見張りの死体が見つかる前に、後ろから襲い掛かった。


 1人目は後ろから首を切り裂き、同時に2人目に≪ウィンドカッター≫を首に狙いを定めて放つ。2人目は異変に気付き振り返ってくるが≪ウィンドカッター≫が首を切り裂く。威力が足りずまだ息があるが、2人目は傷を負い声が出せず、仲間を呼ぶことが出来ない。


 俺は1人目を襲った勢いのまま2人目に突っ込み、ツインダガーを2人目の心臓に突き立てた。これで最初の見張り合わせて4人倒したが、まだまだ盗賊達は残っている。


 一応死体は隠しておいたほうが良いかもしれない。通路に転がっている盗賊達を入り口まで運び、《採掘》で穴を掘ってそこに入り口の所に放って置いた盗賊共々入れて、《アースシールド》で蓋をした。これでとりあえず隠蔽完了。俺が盗賊に見つからない限り、ある程度時間は稼げるだろう。


 再び奥まで戻り様子を伺う。《探知》の反応では宴をしている広間にはまだ8人いる。そこからさらに奥に行くと2人いて、さらに離れたところに1人いる。離れている1人は攫われたエルフだとすると残り10人だ。


 見張りの交代はさっきしたからしばらくはないだろう。もしかしたら最初の2人が戻らない事で気付かれるかもしれない。


 さーて、10人もまとめてどうしよう。そういえば《鑑定》をレベル3にしたから、スキルとかにも使えるんだった。魔法だったら範囲系の纏めて一掃できるのがあるんじゃないだろうか、と思って調べると、《火魔術》がレベル5で《ファイヤジャベリン》と《エクスプロージョン》を使えるようになるらしい。前者は《ファイヤアロー》の上位互換、後者が範囲魔法になるみたいだ。《火魔術》をレベル5にしてもまだスキルポイントに余裕がある。


 一応《剣術》もレベル5まで上げて、身体能力の底上げをしておく。《剣術》もレベル5にすると新しく《クロススラッシュ》が使えるようになった。これは《スラッシュ》を2連撃で十字に繰り出すシンプルなスキルだ。ステータスについてもAGIがSTRより少し高めで振っていて、VITとDEXは全く上げていない。


 大部屋の中いるのは8人。全て盗賊なのを確認し、《エクスプロージョン》を使う。いやはや、洞窟の中で爆発なんてやっちゃダメだね。《エクスプロージョン》の結果、盗賊達は確かに倒せた。大部屋ごと崩壊してしまったけどね。


 大部屋は土砂で埋まって通れなくなったので、他の道を探してみたが無さそうだ。仕方なしに《探知》反応を頼りに大部屋を迂回しつつ、《採掘》でどんどん掘り進んでいく。無事に大部屋の奥の部屋まで繋がり、視界が開けた所には、油断なく身構えている頭にバンダナを巻いた男と、どう見てもメイド服だろうと思われる服を着た女がいた。


 バンダナ男は《鑑定》すると称号に盗賊の頭と表示されていた。ステータスも他の盗賊より高く、俺よりも上だった。ちょっとこれはマズイかもしれない、と思いつつメイドの女の方も《鑑定》してみる。称号には奴隷と表示されていて、盗賊の身の回りの世話をさせられているのだろう。バンダナ男が背中に下げていた両手剣を構えて戦闘態勢になると、メイドは戦いの邪魔にならないように奥の方へ下がっていった。


 一応相手の両手剣の鑑定をしておく。《鑑定》のレベルを上げたばかりで、武器のステータスを比べるものがなく、手元にあるツインダガーを《鑑定》して比べてみた。うわ、武器屋のおっちゃんが驚いたのが分かるわ。相手の武器が一撃の大きい両手剣でこちらは手数の短剣二刀なのに攻撃力が倍以上ある。これならステータスのさはある程度引っ繰り返せるんじゃないかな。


「さっきの爆発はお前の仕業か?」


 俺がやった訳だしここは素直に頷いておくと、バンダナ男は怒りを露わにし舌打ちをした。


「俺の家で好き勝手に暴れてくれやがって、この代償は高く付くぞ!!」


 バンダナ男が両手剣を上段に振りかぶって切り掛かってきた。武器の性能はこちらの方が上だが、怖いので受けずに回避を選択する。しかし相手のステータスが上の所為か、振り落とした両手剣を次は横薙ぎにして追撃してきた。たまらずツインダガーを交差して受けるが、受けきれず勢い余って吹き飛ばされる。壁への衝突は免れるが、流石に純粋なステータスが高いだけあって強い。だがこちらはその分スキルのレベルは上回っている。それは《鑑定》した時には分かっていた。向こうの《剣術》は同じレベル5だし、魔法や補助系スキルもあまりない。スキルポイントを残しているかもしれないけれど、それはこっちも同じだ。


「ファイヤジャベリン!!」


 間合いが開いたので新しく覚えた《ファイヤジャベリン》を使って攻撃してみる。《ファイヤアロー》とは比較にならないほど大きな炎がバンダナの男を襲う。バンダナ男は咄嗟に両手剣でガードするが、完全にはガードしきれずに服が焼け焦げていた。だが、それだけだ。大したダメージは入っていなさそうだった。


「この野郎、やってくれるじゃねぇか。俺様も本気を出させてもらおうじゃねーか」


 何だろう、ステータスは相手の方が上なのに台詞から小者臭しかしない。よくこれで盗賊の頭なんて出来てたなと思う。基本的に強ければ誰でも良いのかもしれない。もう相手にするのも面倒臭くなって来たのでさっさと終わらせてしまおう。俺はスキルポイントを使って《剣術》を一気にレベル10にする。これで接近戦も圧倒できるはずだ。遠距離に関しては魔法もそれらしいスキルもなかったので大丈夫だろう。


《剣術》をレベル10にした事で新しく《デルタスラッシュ》がレベル8の時点で使えるようになり、レベル10で《シャープスラッシュ》が使えるようになった。更に《剣術》の上位スキルが表示されていた。《剣聖術》《豪剣術》《双剣術》の3つだ。短剣と片手剣が《剣聖術》、両手剣が《豪剣術》、二刀流が《双剣術》に当てはまり、戦闘スタイルにより別々のものに分かれるみたいだ。スキルを取得したいところだが、必要なスキルポイントがかなり高い。もっとレベルを上げないと駄目だ。とりあえず向こうの手の内は見えているし、後は《剣術》のレベル差で事足りるだろう。


再びバンダナ男が斬り掛かって来るが先程とは違い、《剣術》のレベルのおかげかその一撃に脅威を感じない。片方のツインダガーでバンダナ男の両手剣の勢いを殺し、鍔の部分で受け止める。そしてもう片方で反対側から挟み込むように斬りつける。洞窟内に甲高い金属音が木霊して、両手剣の根元から断たれた刃が床に転がった。

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