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期待

 冒険者ギルドに着いた俺とソフィアはプリメラさんにダンジョンをクリアした事を伝えた。


「ええ!?もうクリアしちゃったんですか?確かにショウジさん達なら、新しいダンジョンだと階層も少ないし、すぐ終わってしまうのも頷けますね」


「13層が最後でしたね。モンスターも結構強かったし、危ない場面もありました」


「それはそうですよ。ダンジョンの最後には迷宮主が居ますからね。守護者と違ってどの階層が最後になっているか分からないですから、遭遇したら一度イジェクトストーンを使って撤退が基本ですね」


 プリメラさんがそう説明してくれた。確かに攻略している最中にいきなり迷宮主と戦う事になったら、相手の手の内をよく観察してから一度撤退、対策を立てたり準備をしっかりしてから再び挑戦するべきだった。今回はアペルに助けてもらったが、次はどうなるか分からない。迷宮主と戦う事自体が少ないから、次があるかは分からないが、もしあったとしたらそうしようと思う。


「それでダンジョンコアはどうしました?」


「南のダンジョンに行けば良いだけだから、ダンジョンコアは破壊して手に入れてきたよ」


 ダンジョンコアは産出量が少ない為にとても高価だ。値段が付くという事は需要がある訳で、コレクションとして欲しがる者もいるだろうが、基本は冒険者ギルドが買取だ。冒険者ギルドが買取したダンジョンコアは国へ上納され、人々の為に使われる。ダンジョンコアを加工し、それを使用する事によって、生活基準の向上がされるからだ。


 例えばこの世界には水道なんてものはない。では井戸みたいな所から、地下水を汲み上げて生活しているのかと言うとそうではない。加工したダンジョンコアが水を生み出すのだ。他にも火を起こしたり、夜の明かりのとして使われたりと、加工されたダンジョンコアは様々な物に使われていたりするのだ。


「入手したダンジョンコアはどうされます?出来れば買取に出して頂けると助かるのですが、そこはもちろんショウジさんの判断に委ねられます」


「欠片がいくつかあるけど、ダンジョンコアを入手する事が稀だし、ちょっと手元に置いておきたいかな」


「そうですか、ショウジさん達ならそのうちまた手に入れるでしょうし、その時はよろしくお願いしますね」


 俺達がこのまま順調に強くなっていけば、今までクリアされていなかったダンジョンをクリア出来るようになり、その分のダンジョンコアが手に入る。今の所確認されている中でも、攻略されていないダンジョンはいくつもあるらしいのだ。それらが攻略されるのをプリメラさんは期待しているらしい。この前の模擬戦を見てから更にその思いは強くなっていて、今日のダンジョンクリアの話を聞いて、それが確信に変わったとの事だ。


 期待してくれるのは嬉しいけど、その期待が大き過ぎる気がする。他の人と違って勇者の恩恵でスキルの取得や成長をさせやすいのが、他からすると急成長しているように見えるのだろう。確かに急成長の新人が居たら期待してしまうのも無理はないか。


「暫くは街の南にあるダンジョンへ行く予定です。他のダンジョンの事はその後考えようかな」


 ちなみにティーリアの街の南にあるダンジョンはクリアしたとしてもダンジョンコアの破壊は禁止されている。ヘルグミルの街で行っていたダンジョンも同じで、ダンジョンがなくなってしまうのを阻止する為と、冒険者達の育成場所を失わないようにする為だ。それ以外のダンジョンはクリアした人の自由に出来るが、ほぼ高確率で破壊される。残しておくメリットがほとんどないからだ。例外なのはダンジョン内にレアモンスターが出現する場合や、レアアイテムが手に入る場合だ。


 そういったダンジョンに関する事も全て冒険者ギルドが管理しているとの事で、一応念の為にダンジョンコアの破壊をしてはいけない場所を教えてもらった。ただそれらのダンジョンは最低でも30層はあるとの事で、その中で特に興味を持ったのが鉱山の所にあるダンジョンだ。ここは全てのフィールドが洞窟になっているのだという。そして名前の通り鉱石類の取得がし易く、貴重な素材類も他のダンジョンに比べるとより楽な上層で手に入れる事が出来るらしい。もしかしたらツインエッジの強化に使うミスリルも手に入るかもしれない。ただその鉱山ダンジョンは場所が遠く、ヴァナガルド王国とヘスペル王国の国境にある山々の中にある。ある程度レベル上げも一段落したら、アペルの実家に行ったりそこから北上して鉱山ダンジョン、そしてそのままヴァナガルド王国に行ってみるのも良いかもしれない。


「あ、ダンジョンコアは買取に出せないけど、いくつかアイテムが溜まってるから、それの買取はお願いしても良いですか?」


「私も結構溜まってるから一緒にお願い」


 俺達はそのままプリメラさんに買取をお願いして《道具》の中を整理するのだった。

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