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休日

 俺は寝台の上で何回も寝ては起きてを繰り返し、思う存分に惰眠を貪った。いつの間にか外が明るくなってきていて、誰かが寝台から出ていく音が聞こえた。俺もそろそろ起きようと思って寝台から這い出し、先に起きていたシェリーに挨拶をする。


「シェリー、おはよう」


「ショウジ様、おはようございます。すいません、すぐに着替えてお茶をご用意致します」


「ああ、うん。急がなくていいよ」


 シェリーも起きたばかりでいつものエプロンドレスではなく寝間着のままだった。それはそうか、シェリーが寝台から出て行く音を聞いて俺も起きたのだから。よくある着替えを目撃するなんていうラッキースケベなんていうものもなく、シェリーは奥の方の死角へ行って着替えてくると俺にお茶を淹れてくれた。


 暫くしてソフィアもアペルも起きてきた。朝食を取りながら今日の予定をどうするか確認する。向こうでもほぼ毎日ダンジョンに通っていたし、昨日までの疲れ等も考えて今日はオフにしても良いのではないかと考えたからだ。俺はオフになったら装備屋のおっちゃんに会いに行く予定で、サファイアを使って宝剣をおっちゃんに作ってもらうつもりだ。


「それなら私も付き合う」


「うん、良いよ。ソフィアの武器を作ってもらう訳だしね、一緒にお願いしに行こう」


 ソフィアが動向の意を示し、俺はそれに頷いた。その場合シェリーとアペルはどうするのだろうか聞いてみた所。


「それなら私はあーちゃんと一緒に買い物にでも行ってくる事にしましょう。それとダンジョンに行かないのであれば、晩御飯は私が用意致します」


「それならお願いしようかな。久しぶりに魚介類食べたいし」


「承りました。腕によりをかけて作らせて頂きます」


 なんか凄くシェリーが張り切っている。ヘルグミルでもダンジョンに行きっぱなしで、最後の方は外食ばかりしていたからなあ。シェリーの手料理も魚や貝も久しぶりで楽しみだ。


 買い物に行くというシェリー達と別れ、俺はソフィアとともに装備屋へ向かった。


「おっちゃん、久しぶり」


「うん、あんちゃんじゃないか。そっちは元気にしていたかい?」


「今日は休みにしたけど、相変わらず毎日のようにダンジョンに行っているよ。それで良い物を手に入れたから相談なんだけど」


 俺は《道具》からサファイアを取り出して、それをおっちゃんに見せた。追加でダマスカス鋼を取り出してカウンターに置く。


「前に良いものを手に入れたらおっちゃんに装備を作ってもらうって約束してたじゃん。だからこれでソフィア用に宝剣って武器を作ってもらえないかなーと思って。出来そう?」


「宝剣ってまたそう簡単に作れる物じゃないんだがな。確かにこのサファイアならば宝剣に使う分には申し分ない上物だ。だが金属はミスリルが一番良いんだがこのダマスカス鋼を使う形で良いのか?」


 ここでもやっぱり出てくるミスリル。本当にミスリルって凄い金属だと分かる。ツインエッジの強化にも使うし早く欲しい。


「ミスリルがあればそっちのほうが良いけど、まずミスリルなんて持ってないし他に良い金属って何があるの?」


「今の手持ちの中だとあんちゃんの持ってきたダマスカス鋼が一番だな」


「じゃあそれで。後は宝剣になったら杖を持たなくていいし盾が必要かな?」


 安全の為には空いた片手に盾を持たせるのが一番だろうが、俺みたいに二刀流という選択肢もある。特に盾だと相手の攻撃を受ける為の筋力も必要になる。その辺りはステータスがあればどうとでもなりそうだが、ソフィアのやりたい方で良いだろう。


「ソフィアは盾と俺みたいに二刀流どっちが良い?」


「うーん、宝剣2個持ったら増幅の増幅になる?」


 ソフィアの一言に衝撃が走った。確かにそれが可能なら二刀流が良いかもしれない。この前は魔力の使い過ぎで倒れそうだったし、今の所上位魔術の高レベル魔法が使えるのはソフィアだけだ。両方で増幅が可能なのであれば、魔力の消費量も緩和出来て上位魔術を使っても魔力切れを起こし難くなるだろう。


「それ凄く良いかもね。おっちゃんそういう話って聞いたことある?」


「残念ながら俺もそんな話は聞いた事がないな。もし二刀流で行くなら前の杖に付いてるエメラルドを再利用するかい?」


「え、そんな事出来るんですか?」


 そんな事が出来るなら今回サファイアとダマスカス鋼を使って宝剣を作り、ミスリルを手に入れたらそちらで作り直す事が可能という事だ。だがそうなると宝石が出れば出るほど、使いまわせるので需要より供給の方が多くなり価値が下がるはずだ。それなのにサファイアは高価だったので何か条件か理由があるのだろう。


「ああ、出来るぜ。だが必要なアイテムがあってな、これが高価なんだわ」


 予想通り条件があるらしい。高価なアイテムか、一体いくらするのだろう。


「必要なアイテムって何なんですか?」


「解除液と言ってな、それに武器を漬けておくと武器と液体が消えてなくなり、宝石だけが残るんだわ。値段はあんちゃんが持ってきたサファイアや今使っているエメラルド、それらよりは安いがそこそこして金貨5枚だ」


 金貨5枚か。ヘルグミルで貰った報酬が数えてみたら大金貨2枚、金貨47枚、大銀貨6枚だった。そこからすると金銭的には問題ない価格だった。本来この報酬は参加した人数で分配する形だったのだそうだが、俺達で総取りだった為にかなりの金額になった。


「それなら買える。おっちゃんそのアイテム持ってたりする?」


「おう、武器に思い入れがあってそういった客も居るからな。在庫は常に持つようにしてるぜ」


 流石はおっちゃんだ。ソフィアは杖をおっちゃんに渡し、宝剣を2つ作ってもらう事になった。

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