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サファイア

 今日は守護者と戦ったり、11層で色々試したりしていて時間を使ったのでそろそろ帰る事にした。ホワイトゲートに入りダンジョンの外へ出るとまだ明るく、街に帰ったとしても夕暮れまでまだ少し時間がありそうな感じだった。


 丁度良いのでタランドーさんに宝石の事を聞いてみようと思い、ホルグレンさんの屋敷を目指す。今回は衛兵さんに顔を覚えられたみたいで、あっさりと許可が下りて中に入る事が出来た。


 前回と同じ部屋に案内されてその部屋に入ると、タランドーさんとホルグレンさんが出迎えてくれた。


「おお、よく来たな。待っていたぞ」


「俺達を待っていたって、何かありました?」


「なんだ、宿屋のご主人に聞いていないのか?商談が終わったから宿に連絡しに行ったんだが誰も居なかったらしくてな、宿屋のご主人に言伝をお願いしてきたんだが……」


「ああ、すいません。今まではシェリーに留守番を任せていたのですが、シェリーもダンジョンに同行する事になりまして、そういえばその事を伝えていなかったですね」


 そういえばシェリーの事を話していなかった。それで俺達を探してくれてたみたいだ。申し訳ない。


「そうか、それはまあ良い。それで明日にはティーリアに向けて発つが、その前にホルグレンがお前たちに会いたいと言ってな、わざわざ来てもらったんだ」


「そういう事だ。冒険者ギルドが君達を探していてね、冒険者ギルドにはあれから行ってないのかい?」


 冒険者ギルドが俺たちを探しているだって?冒険者ギルドには用もなく立ち寄っていなかったけど、冒険者ギルドがわざわざ俺を探す理由が思い当たらない。とりあえず話を聞いてみよう。


「ええ、冒険者ギルドには行ってないですね。普通に毎日ダンジョンに行ってました」


「それならこの後冒険者ギルドに行くと良い。良い事が待っているぞ」


 ホルグレンさんがニヤリと笑う。良い事って何だろう。悪い事じゃない分には良いが、本当に理由が思い当たらない。


「それで、ショウジ君たちは言伝を聞いていなかったとすると、何か用があってここに来たんじゃなかいのか?」


 ああ、すっかり忘れていた。俺は《道具》からサファイアを取り出し2人に見せた。


「これを見てください」


「んん、これはサファイアだな。これがどうかしたか?」


 タランドーさんがサファイアを一目見て、これがサファイアだと言い当てた。俺は《鑑定》しないと宝石の名前とか分からないけど、一目見てサファイアだと分かるとは流石はタランドーさんだ。


「運良くジェムスライムから手に入れたんですけど、どの位の価値なのか分からなくて」


「ふむ、サファイアであれば魔術師用の杖によく使われるからな。この大きさで買取に出すとすると金貨5枚位だろう」


 タランドーさんがサファイアを手に取りおおよその価格を算出する。算出された価格は金貨5枚で、ソフィアが持つエメラルドの杖は金貨8枚で購入した。杖の本体自体はそこまでの物ではなさそうなので、実際の買取価格と売値、利益等を考えるとエメラルドとサファイアは同じ位の価値と考えて良さそうだった。


「因みにサファイアって他の宝石と比べるとどの位優れているんですか?」


「サファイアは一番ではないが上位の宝石ではあるな。魔力との相性で言えばミスリルが一番なのだが、魔力増幅としての目的では用途によって異なるからなんとも言えんな」


 タランドーさんの説明からすると、宝石の種類によって増幅度合いも違うが、宝石の色合いによっても増幅量が変わるとの事だ。宝石の色合いが赤色なら火属性、青色なら水属性、黄色なら土属性、緑色なら風属性、白色なら光属性と回復になり、黒色が闇属性といった具合に対応するらしい。


 それは知らなかった。という事はエメラルドは緑色だから風属性で、それを用意してくれたおっちゃんはソフィアがエルフだと知っていたし、《風魔術》を主に使用するのを見越して用意してくれた訳か。これはおっちゃんには感謝しても仕切れないな、帰ったらちゃんとお礼を言おう。


 ソフィアは最近水系統の魔法を使っているし、サファイアが青色だから丁度良かった。これで宝剣とやらをソフィアに作ってあげよう。そういえばおっちゃんが材料があれば作ってくれるみたいな事を言っていたし、帰ったらお願いしてみようかな。


「それじゃ明日の準備もあるし、そろそろ冒険者ギルドに行ったらどうだ?」


「そうですね、これから冒険者ギルドに行ってみます」


 明日の待ち合わせは往路と同じく早朝の日の出の時間に集合となった。俺達は2人に挨拶してから屋敷を出て、俺たちを探しているという冒険者ギルドへ向かった。


 シェリーに案内してもらって冒険者ギルドに着く。冒険者ギルドの大きさはティーリアの街程には及ばないが、それでも目の前の建物は周りのものと比べると十分に巨大だった。

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