表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/183

検証と対空遠距離戦の練習

 なんとかサンドマンを無事に倒した俺達はソフィアの魔力切れから休憩を取った。ちょっと早いけれど昼御飯も一緒に済ませ、ソフィアもある程度魔力が回復した所で11層へ向かう事にした。


 休憩中にソフィアに聞いた話だが、ソフィアが使用した《アブソリュートゼロ》は《氷魔術》レベル5の魔法で、サンドマンの核を見つけられず、このままではこちらが消耗してやられるだけなので、打開策を探して《氷魔術》のレベルを上げたとの事。《火魔術》や《土魔術》は上位魔術を俺が所持しているし、《氷魔術》か《光魔術》のどちらか悩んだ所、《光魔術》はレベル1から上げていく形になり必要ポイントも多くなる為、《氷魔術》を選んだらしい。


 他にソフィアが使っていた魔法を確認すると、《水魔術》のレベル5で《ウォータープリズン》、レベル10で《アクアウェイブ》が使えるらしい。


 今回は完全にソフィアに助けられた。やっぱり別々の魔法を所有していった方が、色々な場面で対応出来るから良い。後は《光魔術》を育てていけば全属性の魔法をコンプリートする形になる。


 そういえば冒険者の心得(中級編)には《怨念魔術》もあった。どういったものかは記されていたが、使用は禁止されている魔法なので取得の仕方は記載されていなかった。《怨念魔術》は相手の精神に直接ダメージを負わせるみたいな事が出来ると書いてあり、主に20層より下層で出てくるゴースト系のモンスターがこの魔法を使用してくるとの事だった。


 ホワイトゲートを潜り転送された11層は樹々が生い茂っている森のフィールドになっていて、進んでいった先で遭遇したモンスターは針が一際巨大な蜂で、デッドリーホーネットという名前だった。


 デッドリーホーネットは3体で行動していたが、こちらに気付くとすぐに襲い掛かってきた。デスニードルスコーピオンのように遠距離からその巨大な針を飛ばしてくるが、俺は飛来するそれを一刀両断に斬り伏せた。相手が遠距離攻撃をしてくるのでシェリーに《結界》を展開し、デッドリーホーネットとの間合いを詰めていく。


 とりあえずは1人で1体を相手取り、慣れていったら1人で複数相手にしていく形のいつものパターンでいく事にした。10層でサイドワインダーが4体出たのと同じように、11層でも4体で纏まって行動している奴等がいるだろう。その場合は必ず誰か1人が2体を同時に相手取らなくてはいけなくなる。今まで複数相手には練習してきたが近距離がほとんどで、遠距離攻撃をしてくる敵との複数同時は思い返してみるがないんじゃないだろうか。うん、多分ない。それならこの層で練習しておいたほうが良いなと思いつつ間合いを詰めたのだが、デッドリーホーネットは高度を上げ俺の間合いから逃れていった。


 俺は新しい戦法を試すべく収納していたダガーを取り出した。これはずっと《道具》の中で眠っていたが、盗賊を討伐した時に盗賊から頂いた物だ。ツインダガーがツインエッジになってからも《投擲》用に取っておいたのだ。


 デッドリーホーネットを狙いダガーを投げる。しかし《投擲》のレベルの低さからか、デッドリーホーネットに回避され当たらなかった。デッドリーホーネットがお返しとばかりに再生した針を再び放ってくるが、俺はそれを問題なく回避する。


 《スチールワイヤー》を使えるようになっていて良かった。《スチールワイヤー》は太さの調節から伸縮も自在で、あらかじめ取り付けておいた鋼線を短くしていきダガーを回収した。再びデッドリーホーネットを狙いダガーを投げつけるが、それも当たらない。《投擲》のレベルを上げれば当たるようになるだろうが、今はまだスキルポイントは残しておきたいので自力で当てられるようになるまで練習をする事にした。


 何度も繰り返してダガーを放つが、なかなか当たらないのでダガーの数を増やす事にした。2つのダガーを《投擲》する。2つでも当たらないので3つ、3つでも駄目ならば4つと数が増えていき、最終的には片手で4つずつ計8つのダガーを《投擲》した。《投擲》のおかげで投げ続けるのにも苦労はなく、ようやくデッドリーホーネットの回避行動を予測できるようになり、当てられるようになった。


 大分狙い通りに当てられるようになってから次に試したのは、投げたダガーの間に《スチールワイヤー》を張り巡らせ網のように隙間をなくし、ダガーを避けたとしても網の方で捉えるというものだった。


 網の鋼線を細く頑丈に作ると、デッドリーホーネットの身体にを鋼線が細切れにしていった。太くすると網に掛かったデッドリーホーネットを支点にダガーに付いた鋼線が絡まっていき、地上へと引きずり下ろした。これなら返しの付いた武器がなくても問題なさそうだった。


 そしてアペルも俺の実験を見て、自分の新しい《闇魔術》や《深淵魔術》の検証をしていた。《シャドウエッジ》という魔法は影から刃が飛び出たり、《フェイタルブロウ》は黒い何かが波状に真っ直ぐ伸びていき、デッドリーホーネットに当たった瞬間灰になっていた。自分がどういう魔法を使えるのかを知っておかないといざという時に使いこなせないから、今のうちに検視しておくのは良い事だと思う。


 その辺りソフィアはかなり応用できている。サンドマンの時がまさにそれだった。先の先まで読めるような柔軟な思考も持っているし羨ましい限りだ。


 俺も休憩の時にどうやったらサンドマンを倒せたのか考えてみたけど、俺の使える魔法の中でも《グラビティフィールド》だったら、重力によってサンドマンの砂を削ぎ落として核を見つけ出せたかもしれない。


 魔法の応用を考えそれを検証したり、対空遠距離戦の練習といった形で11層をゆっくりと攻略していったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ