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遭遇

 《土魔術》の上位魔術《鋼魔術》をゲットしたので、早速使ってみたくなりアクアハーミットクラブを探して浜辺を歩いていた。《鋼魔術》のレベル1は《スチールワイヤー》が使えるみたいで好きな所に鋼線を張り巡らせる事が出来るみたいだ。主に狭い空間でのトラップ等に使えそうだ。そして《土魔術》の方はレベル5で《ロックバレット》と《アースクエイク》、レベル10の時に《グラビティフィールド》が使えるようになった。


 アクアハーミットクラブを見つけたので試させてもらった。《スチールワイヤー》を左右のツインエッジの間に張って巨大な鋏の振り下ろしを受け止めてみたが、切れる事無く鋼線部分で受け止める事が出来たので耐久度は申し分ないだろう。鋼線の太さも好きなように変える事も出来るみたいで、今回は受け止める為に太くしたが、逆に細くすれば相手の固さによっては鋼線での切断も狙えそうだった。


 次は《グラビティフィールド》だ。これは効果範囲内の敵の重力を増やす魔法だ。試しにソフィアのいる所に使用してみたが、ソフィアは何も感じなかったらしく、味方を巻き込む事はないようだった。一方的に相手の動きを遅くする事が出来て、速度重視の俺にはありがたい魔法だ。


 続いて《ロックバレット》は直径50センチくらいはありそうな岩を相手目掛けて飛ばした。普通では考えられない速度で放たれた巨大な岩が、アクアハーミットクラブの貝殻を砕きその可愛らしい胴体を晒させる。


 そして最後は《アースクエイク》だ。名前の通りなら地震だが、《アースクエイク》を使用するとアクアハーミットクラブの足下周辺だけが振動した。地震によって動きのままならなくなったアクアハーミットクラブ、それを巨大な口を開いた大地が飲み込んでいった。


 以上が新しい魔法の数々だ。この中で《スチールワイヤー》は上位魔術なだけあって、色々な事に使えそうでワクワクする。例えばロックモスなんかの空中にいる敵に返しの付いた刃物を《投擲》で当て、その刃物に《スチールワイヤー》を付けておけば地上に引き摺り下ろす事ができるだろう。そもそもそれなら《投擲》で投げた物をそれで回収出来るのか。これは《投擲》が物凄く使い易くなったんじゃないかと思っていると。


「ショウジがまた新しい魔法いっぱい覚えてる。ずるい」


 ソフィアがなんか言っている。これで攻撃魔法はほぼイーブンだろう。《氷魔術》がレベル3なだけソフィアの方が上だ。


 しかし俺の《鋼魔術》に感化されたソフィアは、《雷魔術》をレベル3に上げてしまったらしい。また離されたしまった。


 ソフィアはアクアハーミットクラブに新しく覚えた《チェーンサンダー》を使う。アクアハーミットクラブの頭上から雷が落ち、隣のアクアハーミットクラブに連鎖していた。雷の直撃を喰らったアクアハーミットクラブは一撃で灰になり、連鎖して喰らった方は既に虫の息になっていて、《ライトニングボルト》を放ったソフィアにとどめを刺されていた。属性の相性が良いからか、一撃とはやりおる。


 こうして新しい魔法を試したりして進んでいると、とうとう俺達はダンジョン内で初めて他の冒険者達を目撃する。そのパーティーはアクアハーミットクラブ2体と戦っていた。片方を全身鎧と巨大な盾を持った壁役の人が抑えていて、もう片方を盾と短剣を持った少年が相手の攻撃を避けながら戦い、後衛にいる弓を持った少女が間隙を突くように弓を射っていた。それとは別の杖を持った少女が《ウィンドカッター》を放ち、最後の鈍器を持った少年がいつでも《回復魔術》が使えるように戦況を見守っていた。そこにはバランスの取れた5人のパーティーがいて、俺達はその様子を遠くから眺めていた。


「バランスの取れた良いパーティーだなあ」


「あたし達も十分バランス取れているです」


 それは勇者の恩恵のおかげだ。もしスキルがあまり取れていなければ、俺達は前衛担当3の回復担当1だ。これはバランスが取れているとは決して言えないだろう。恩恵のおかげで前衛担当のアペル、自由枠の俺とソフィア、回復と攻撃魔術担当になりつつあるシェリーで何とかなっているだけだ。もう1人後衛がいたら完全にバランスが良くなる。と言っても全員魔法使えるし過剰火力になりそうだけど。それでも俺もソフィアも前に出たい性があるから、シェリーを守れる後衛は必須だろう。


 そして時間を掛けたが5人組のパーティーはアクアハーミットクラブを倒していた。狩場が被るのはあまり良くないかなと思って俺達はその場を離れ次の階層に行く事にした。


 意外と近場にホワイトゲートがあって、昼には早いが少し休憩をとる事にした。シェリーが収納していたお茶やカップ取り出して全員に渡し、それを受け取った俺はお茶を口に含み一息付く。


 お茶を飲み終えシェリーがカップを収容し、8層に向かおうとホワイトゲートに入ろうとした所で悲鳴が聞こえてきた。方向からしてさっきの5人パーティーだろう。俺は皆に視線を配ると思いが伝わったようだ。


「助けよう」


「助けるです」


「助けに行きましょう」


 俺は大きく頷くと声のした方へ駆け出した。それを追付いする形で3人も動き出したのだった。

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